クリエーティブディレクターの江角泰俊と有働幸司

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 日本人デザイナーを迎えた「コスチューム ナショナル(CoSTUME NATIONAL)」が本格的に展開を開始する。ブランドは今春、ウィメンズに「ヤストシ エズミ(YASUTOSHI EZUMI)」の江角泰俊を、メンズに「ファクトタム(FACTOTUM)」の有働幸司を、新クリエーティブディレクターにそれぞれ起用。イタリアのDNAと日本のクリエーションを掛け合わせたグローバルブランドとして新たな舵を切る。
 コスチューム ナショナルは1986年にエンニョ・カパサ(Ennio Capasa)とカルロ・カパサ(Carlo Capasa)兄弟によりイタリアのミラノで設立。創業30年の節目となる昨年3月カパサ兄弟が退任し、2010年頃から日本におけるブランド運営およびリテール事業を統括してきたCNジャパンが小売事業を引き継いだ。同時に、今年5月に落合宏理手掛ける「ファセッタズム(FACETASM)」とも資本提携を結んだネクスグループの連結子会社で投資会社のバーサタイルが、コスチューム ナショナルのトレードマークおよび知的所有権、運営権を取得した。 創業デザイナーのエンニョは、ブランド創立前の20代の頃に「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」のアシスタントデザイナーとして従事。デザイン哲学やデザインアプローチにおいても日本から影響を受けていることから、ブランドとしても日本はゆかりがある地。今回ブランドを刷新するにあたり、コスチューム ナショナルの歴史を理解するとともに、ブランドに新たな風を吹き込む日本人デザイナーとして有働と江角を抜擢した。三河宏彰CNジャパン社長はデザイナー選定にあたり「コスチューム ナショナルにかちっとハマるというよりかは、そこから90度くらいずれた感覚を持ち合わせていてブランドの新たな側面を見せていける2人。ブランドの歴史をリスペクトしながらも、そこを壊すくらいの気持ちで臨んでもらえたら」と期待を寄せる。
 現在のデザインチームの体制としては日本とイタリアにアトリエを構えており、現地のスタッフとコミュニケーションを取りながら2人が総括的なディレクションを手掛けている。日本で先行発表となった2018年春夏コレクションでは、メンズ・ウィメンズともに日本チームによる国内製造のアイテムが50型、イタリアチームによるイタリアラインが20〜30型ほどで構成されている。  ディレクター就任にあたり、ブランドについて江角は「90年代中盤〜後半にかけてのミニマルかつシャープでエッジの効いたデザインが印象的。服をしっかり見てみると作りは細身だけど、実際に着ると服が体型を綺麗に見せてくれるところにイタリアのパタンナーの巧さを感じた」と語り、一方で有働は「90年代初頭はビームスで働いていて、インポート商品としてコスチューム ナショナルが入ってきた時期だった。自分はアメリカンカジュアルに親しんでいて、それまで袖を通したことがなかったが、実際に着てみるとテーラードがしっかりしていてモード感があり『かっこいいな』というイメージ」があったという。
 両者とも、自身のブランドとの違いにイタリアならではの「セクシーさ」を挙げるが、「構築的なカッティング」(江角)であったり「リアルクローズ」(有働)などの共通点も制作の過程で見出した。2018年春夏ではメンズ・ウィメンズともにアーカイブをインスピレーション源にコレクションを制作。江角は「98年の2シーズンに使われていたジップ使いやスタッズなどロックやパンクといったテイストを現代的に表現し、ブランドのDNAを自分の中に浸透させるようにした」といい、有働は「ラインナップにはテーラードだけでなくジーンズをモダンしたシリーズやライダース、ミリタリーベースのアイテムもあり、ブランドの持つ雰囲気を壊さずに自分らしさを表現した」とデザイン過程を振り返る。
 ブランドは2016年秋冬シーズンをもって日本と香港の直営店を除く卸販売を休止していたが、来年1月に全世界向けて2018年秋冬コレクションを発表し、卸販売も再開させる。開催場所は現時点では未定だが、ブランド生誕の地ミラノ、もしくはピッティ・イマージネ・ウオモ (Pitti Imagine Uomo)でのショーの開催を計画している。今後は「反応を見ながらではあるが、チームとしての仕掛けを施していきたいと話していて、『残しながらも破壊する』ことをやっていき、根本的な部分は残しながらイタリアンブランドを日本人デザイナーがやる意味を示していきたい」(江角)「イタリアンメイドが、自分の創作に取り入れられるのは嬉しいし、逆にファクトタムで培った日本人の持つハイカジュアルな要素もコスチュームナショナルに取り入れていければ。日本とイタリアのチームでやっていく難しさはあるが、一つのコレクションとして見せていくために本当の意味での日本とイタリアが融合したクリエーションを作り上げていきたい。ブランドがフレッシュに生まれ変わるので、若い人を含む新しい顧客にもリーチできたら」(有働)と、本格的なグローバル展開に向けて抱負を語った。