映画『銀魂』公式サイトより

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 8月5〜6日分の週末映画興行成績(興行通信社)が8日に発表。良くも悪くも注目を集めていた山崎賢人主演、三池崇史監督の『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』は土日2日間で動員11万7,000人、興収1億6,600万円の5位と、微妙なスタートに終わってしまったことがわかった(『ジョジョ』は金曜日の4日に公開。3日間合計では動員16万4,000人、興収2億2,600万円)。

 山崎に加えて神木隆之介、小松菜奈、岡田将生、山田孝之、そして伊勢谷友介といった豪華キャストが顔を揃え、東宝とワーナー・ブラザースが長い歴史のなかで初めて共同で製作、配給を手がけ、全国325スクリーンで公開された期待作『ジョジョ』。

 ところが、5日公開の『劇場版 仮面ライダーエグゼイド/宇宙戦隊キュウレンジャー』(2位)、公開2週目の『君の膵臓をたべたい』(4位)の後塵を拝してしまったのだから、かなりのコケ具合であることは否定できない。三池監督の前作で木村拓哉主演の『無限の住人』の初週(土日2日間で動員14万5000人、興収1億8900万円)すらも下回っている。

 熱心なファンが多いことで知られる荒木飛呂彦の大ヒットコミック『ジョジョの奇妙な冒険』が原作とあって、実写化映画が公表されたときから反発する声は多かったが、実際に本作を鑑賞してきたというネット上の声を拾うと「思いのほか原作に忠実だった」「CGも邦画にしてはなかなかの臨場感」と、それなりに評価する声が多く、ファンが心配していたほどの駄作という声はさほど多くない。ではなぜ、興行収入が伸びなかったのか。

「1987年から連載開始、第4部が掲載されていたのは92〜95年と歴史があるだけに『ジョジョ』の原作ファンはそこそこ年齢も高いですし、癖のある、個性的で独特な原作のビジュアルや世界観、ストーリが好きなわけですから映像化には特に厳しい。役者さんたちはがんばってビジュアルを原作に寄せていましたが、それでも以前からの原作ファンを動かすのは難しかったんでしょうね。

 さらに、原作を知らなければ珍奇なコスプレをしているように見えるでしょうから、山崎さんや神木さんなど個々の俳優のファンも興味をそそられなかったのでは? もともと『ジョジョ』も好きだが邦画、三池監督作品も好きというのが、観客の主だった層なのではないでしょうか。であれば、好意的な感想が多いのもわかるような気がします」(アニメ誌ライター)

 一方で、快調に興行収入成績を伸ばし続けているのが、7月14日公開から4週連続でランキング入りし、興行収入27億円を突破した『銀魂』だ。『ジョジョ』と同じく人気コミック(作:空知英秋)を原作とし、小栗旬主演、福田雄一監督で初実写化されたこちらの作品は、原作やアニメファンの支持の獲得に大成功している。

 同じ「週刊少年ジャンプ」で長期に渡って掲載され(『ジョジョ』は第7部途中から「ウルトラジャンプ」に移行」)、アニメ化もされた人気作。しかも両作とも配給をワーナー・ブラザース(『ジョジョ』は東宝との共同配給)が担当している。出演している役者陣の豪華さや話題性では引けを取らないが、なぜ『ジョジョ』はスタートダッシュにつまずき、『銀魂』はここまで支持を獲得できたのだろうか?

「同じマンガとはいえ、まったく方向性が違いますから、並列に語るのもどうかと思いますが……『銀魂』の場合はまず福田監督の起用が大きかった。マンガ原作の映画『HK 変態仮面』、ドラマ『アオイホノオ』、マンガ原作ではありませんが『勇者ヨシヒコ』シリーズなどは、マンガ・アニメ好きの中にもファンが多いですし、何より作風的に原作のギャグのノリとも相性が良さそうなことが感じられました。発表初期から反発ももちろんありましたが、『福田監督なら任せられる』というムードがありましたね。

 その福田監督や、小栗をはじめとする役者陣から原作のリスペクトが感じられたことも大きかった。もちろん『ジョジョ』も原作に敬意を表していましたが、『銀魂』はアニメにもしっかり気を配っていました。

『銀魂』のアニメ版は06年にTVアニメシリーズ第1期の放送開始、通算で4シリーズを放送、劇場版も2本公開しています。『銀魂』が人気コンテンツとなったのにはアニメの影響がとても大きい。実写版『銀魂』はそのアニメ版の声優たちも公開前のイベントに動員するなど、同じ役を演じる映画の俳優陣とアニメの声優陣を絡ませ、親和性を構築していました。実に上手い手法だなと思いました」(アニメ誌ライター)

 原作者の空知は、すでに『銀魂』の最終回が近いことを発表しているが、単行本は現在69巻まで発行されているご長寿マンガ。今回の実写映画で映像化されたのはその中の「紅桜篇」という長編がベースとなっているが、ボリュームでいえば2冊ちょっと程度でしかない。原作マンガやアニメで人気となった、映像化に向いていそうな長編はまだまだ残っているだけに、今回のヒットを受けて第2弾が製作されることもあるかもしれない。

 一方、『ジョジョ』のほうもタイトルに「第一章」と銘打たれているように、三池監督や製作再度は続編の製作に色気を見せているが、それも本作の興行収入次第だろう。第二章以降が製作できるぐらいの成績を残せるのか、それとも立ち消えとなってしまうのか。今後の動向に注目してみたい。
(文=編集部)