有吉弘行

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 松本人志は著書『松本』(朝日新聞社)にて、「テレビのバラエティー番組で、何か新しいことをやろうとしても、必ず過去の何かに似てきてしまう」と吐露している。

 20年以上前でこれなのだから、2017年にまったく新しい企画が生まれるとは到底思えない。萩本欽一、BIG3、ダウンタウンを経た今、もはや発想は出尽くしたであろう。では、どうすればいいか? 1995年の時点で、松本は以下のように記している。

「オレも含め、若いお笑いの人たちは、それを認めたうえでがんばるしかないのだ。過去の人たちが作ったパターンを利用して、自分たちの新しいアレンジを駆使してやっていけばいいのだ」(『松本』より)

 構造は前時代のそれとかぶるものの、部分的に新しいアレンジを加えてブラッシュアップを図る。草木一本も生えない状況に等しいが、なんとか進歩を試みる。つらい戦いだ。とはいえ、アレンジの跡がまるで認められないようなら、それはそれで問題。多くの人に後ろ指をさされるだろうし、SNSが普及した現代ならなおさらである。

 7年前、破竹の勢いにあった頃の有吉弘行が、こんなツイートをしている。
「企画を丸々パクる図太さがあるなら、打ち合わせで『えー全部パクりなんですけど。』と舌をペロッと出す図太さもあって欲しい。気分的に助かる。。」(2010年3月14日)

 有吉は、アレンジが認められない企画の盗用に辟易していたのだろうか? とはいえ、パクリを全否定する意思はツイートからはうかがえない。機転の利く彼らしさがあり、若さゆえの悪童オーラもほのかにただよう当時の発信である。


■『ダレトク!?』新企画の既視感に、視聴者も大荒れ

 8月8日放送『有吉弘行のダレトク!?』(フジテレビ系)にて、新企画が行われた。その名も「NOT10万円」。

 横浜中華街を代表する高級中華の名店で、参加者が食べたい料理を順番にオーダーしていき、合計金額が10万円を超えた時点で“ドボン!”。オーバーさせた人が、10万円以上の食事代をガチ負担するというものである。

 今回の参加者である千鳥のノブ、大悟、藤田ニコル、小宮浩信(三四郎)、篠原信一の5人は、ここぞとばかりに高級料理をオーダーしまくる。フカヒレ、北京ダック、アワビ、和牛ヒレ肉、ツバメの巣などなど……。

 結果、全員のメニュー額を低く見積もっていたノブが欲張って「真鯛の広東式刺身」をオーダーしてしまい、ドボン! 合計101,270円(税別)を、彼が全額負担することになった。

「なんでロケして10万も払わなあかんねん! おかしいやろ、どう考えても!」

 激高するノブであったが、それはTwitter上の視聴者も同じであった。

「『ダレトク』が『ゴチ』みたいなことやりだした……そうじゃねーだろ!」
「『ダレトク』毎週楽しみにしてるのに、今日のこれ、ただの『ゴチ』じゃん……まんまじゃん……」
「さっきの『ダレトク』の10万円料理企画、『Not 100』と『ゴチ』をミックスしただけみたいで迷走してるけど大丈夫かな」

 もはや言うまでもないが、この新企画は『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)の名物企画「グルメチキンレース・ゴチになります!」に、あまりにも酷似している。何しろ、Twitterの検索窓に「ダレトク」と入力したら、関連ワードで「ゴチ」が候補に上がってくるくらいなのだ。

 しいてアレンジの跡を探すとすれば、20年前まで放送されていた人気番組『ぷらちなロンドンブーツ』(テレビ朝日系)の名物企画「Not 100」のテイストが若干加わっているくらいか? 確かに、今回の新企画のタイトルは「NOT10万円」。なかなかの図太さだ。

 加えてこの日のスタジオには出川哲朗が出演、有吉らと共にロケVTRを見てコメントを発している。出川はかつて「ゴチ」にレギュラーメンバーとして名を連ねていた時期があり、キャスティングに関しても大胆極まりない。


■さらに、もう一つのパクリも発覚!?

 今回の『ダレトク!?』はもう一つ、「この商品、昭和生まれ?平成生まれ?」なる新企画もスタートさせている。

 スーパーマーケットを模したスタジオにさまざまな商品が陳列され、参加者はその中から思い思いに選んだ商品をレジカウンターへ持っていく。そして、その商品の発売が昭和からスタートしたものか、それとも平成からの商品なのかを予想するコーナーだ。

 この新企画にも既視感がある。Twitterでは、以下のような声が見受けられた。

「これ、『はねるのトびら』の100円ショップの100円か100円じゃないかを平成昭和に変えただけじゃないの?」
「今してるのも、『はねるのトびら』のほぼ百円ショップに似てるし」
「『ダレトク』が『ゴチ』と『はねトび』のパクリかよ」

 一回の放送で大胆な盗用を二度も決行する番組というのも、珍しい。勘のいい有吉が、これに気づいていないとは思えない。

 果たしてスタッフは新企画の趣旨説明の際、有吉に「えー全部パクりなんですけど」と、舌をペロッと出す図太さを見せたのだろうか? いろいろな意味で、これは記念回である。
(文=火の車)