キスの仕方は生まれつき決まっていた

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アナタはキスをする時、頭を右に傾けますか、左に傾けますか? こう聞かれても、「ハア〜、それが何か?」とたいていの人が思うだろう。

この「キスの仕方の右利き・左利き問題」がついに解決した。科学誌「Scientific Reports」(電子版)の2017年7月14日号で、英国とバングラデデシュの国際共同チームが、「キスの仕方は生まれつき決まっている」と発表したのだ。

右利きの人は頭を右に傾けてキスをする?

この研究は英国バース大学とバングラデシュ・ダッカ大学の心理学者と脳神経学者たちが協力して行なったもの。論文によると、研究者たちはバングラデシュの48組の夫婦に自宅でキスしてもらい、その直後に別室に待機していた研究員が夫婦それぞれに「どちらから先にキスを始めたのか?」「キスの際、頭を右に傾けたか、左に傾けたか?」「利き腕は、右利きか左利きか?」などの質問に答えてもらった。その結果、次のことが判明したという。

(1)48組の79%が夫から先にキスを始めた。
(2)キスを始めた側の74%、応じた側の69%が頭を右側に傾けた。
(4)キスを始めた側が「右」だと、応じた側のほとんどが「右」に頭を傾けた。つまり、キスをしやすいように相手に合わせたのだ。
(5)そして、頭を右側に傾けた人のほとんどが利き腕も右利き、左側に傾けた人のほとんどが利き腕も左利きだった。つまり、キスの仕方と利き腕は同じ傾向であることがわかったのだ。

それにしても、この結果のどこに学術的な意味があるのかと不思議に思う人が多いだろう。ダッカ大学のレザル・カリム博士は論文の中でこう説明している。

「キスの際、頭を右に傾けるか、左に傾けるかは、腕の右利き・左利きに関係があることがわかりました。実は腕の右利き・左利きは生まれつきであることが最近、わかってきました。胎児の時に子宮の中で右向きに寝る(右手を下に)子どもは右利きに、左向きに寝る(左手を下に)子どもは左利きになる率が高いのです。これは、人間の発達のプロセスで生じる『非対称』という現象です。右脳・左脳の違いも非対称が関わっており、人間の神経や心理を考える上で非常に重要な問題なのです」

「キスご法度社会」と「キスオープン社会」の差は

ところで、今回の研究ではバングラデシュの夫婦を対象にしたことが重要なポイントだ。実は、キスの仕方の右利き・左利きの調査は欧米で何度か行なわれており、今回と同じ結果が出ている。たとえば、ドイツの空港や駅、公園で観察した研究では、キスをしたカップルの80%が頭を右に傾け、ドイツ国民の右利き率と一致している。しかし、欧米の人々は公共の場でも平気でキスをする「キス社会」なので、他人のキスを見て右に傾けるようになったという指摘を否定できないでいた。

バングラデシュではテレビや映画のキスシーンが検閲され、カットされている。キスがご法度の文化の中で、48組の夫婦は他人のキスを見ないで育った。だから48組のキスは、社会的・文化的な影響を受けない「人間の生まれつきの自然な行動」というわけだ。今回の結果について、バース大学のマイケル・プロルクス博士は論文の中でこうコメントしている。

「バングラデシュの結果は、これまでの欧米の研究結果とまったく一致しています。欧米の人もバングラデシュの人も、キスをする時、頭を傾ける方向が利き腕の方向と同じでした。このことは、胎児の非常に早い段階で『非対称』が決まってしまい、生まれついての行動が成人になっても影響するということです」