就任から200日を迎えたトランプ大統領。これまで政権に批判的なメディアを「フェイクニュース」と激しく攻撃してきたが、今度は自身のフェイスブックで「Real News(リアルニュース)」という動画ニュースの配信を始めた。

 トランプタワーから放送されているというこの動画、キャスターはトランプ大統領の熱烈な支持者として知られるCNNの元コメンテーター、ケイリー・マクナニー氏だ。トランプ大統領の1週間の活動を1分半で紹介している。

 トランプ氏の次男エリック氏の妻・ララ氏も出演している「リアルニュース」だが、「ロシア疑惑」などトランプ大統領に不利な情報は伝えていない。その一方、先月30日の配信では、失業率の低さや株価の上昇をアピールしており、自身に批判的なメディアに対抗する狙いがあるとみられている。

 この「リアルニュース」に対し、大手メディアは冷ややかだ。

 「トランプ大統領がフェイクニュースだと言っているニュースは全て真実だ。自分が気に入らない内容をフェイクだと批判しているだけだ」(CNN)

 「トランプTVの『リアルニュース』はリアルプロパガンダのように聞こえる」(ワシントン・ポスト)

 「トランプ大統領の場合、報道の内容が気に食わないなら自分でニュースをプロデュースする」(NBC)

 また、マクフォール・前駐ロシア大使も「私が外国で目にしてきた国営テレビとそっくりで不気味なほどだ」とコメントしている。その一方でトランプ大統領のFacebookのコメント欄には「大手報道機関は偏見なしで自分たちの仕事をきちんとやるべきだ」「アメリカよ、目を覚ませ。ここには仕事ができる大統領がいるんだ」と、歓迎する声も上がっている。

 番組を見たAbemaTV『AbemaPrime』の技術スタッフからは「背景はパネルではないか。上部の照明が強く、下からの照明が弱いのではないか」「ピンマイクはもっと下、胸元に付けるべきではないか」「赤・青・白の画面は、見ただけで米大統領に関するものだとわかり、イメージとしてはよくできている」「セット自体は10万円程度でできるのではないか」といったコメントが上がっていた。

■町山氏「憲法上の問題になってくる可能性もある」

 『AbemaPrime』の取材に対し、アメリカ在住のコラムニスト町山智浩氏は、「アメリカの"メディア戦争"は、1900年代から1930年代にかけて、ラジオ・新聞が政治に対して力を持ち始めたことに始まった。ラジオで政策を説明することで国民を動かしていたルーズベルト大統領に対し、反ルーズベルトだった大手新聞、特にメディア王と言われたランドルフ・ハーストは、対抗するプロパガンダを徹底的に流していた」と話す。

 「ブッシュ大統領がイラクに攻め込んだとき、イラクが核兵器を開発していると主張、メディアの多くが疑問を呈したが、ニューヨーク・タイムズのある女性記者が、"核兵器はある"という記事を書き続けてしまった。それに多くのメディアが流され、結局戦争になってしまった。最終的にその女性はブッシュ政権とつながっているということが明らかになってクビになり、ニューヨーク・タイムズが謝罪するということがあった」(町山氏)

 しかし、アメリカではそんなテレビ、ラジオの視聴者は減少、新聞も"ほとんど読まれていない状態"なのだという。今後、まだ再生回数140万回あまりの「リアルニュース」が、こうしたメディア離れの流れにのって、より大きな影響力を持ってしまう可能性もある。町山氏は「リアルニュース」がトランプ政権の成果だと主張している、

就任以来100万人の雇用を創出した
失業率はここ16年で最低
NYダウは最高値を更新中
移民法改革案を導入
退役軍人マックローガン氏に名誉勲章授与

といった点について「オバマ大統領による業績の延長線上にあるものもあり、トランプ政権だけの手柄かといえば、非常に疑問とされている。むしろ経済政策は全て株価を下げるようなものだった」と指摘、「リアルニュース」の内容が拡散されることでの影響を懸念する。

 その上で「プーチン大統領はメディアを私物化して、自身に都合の良いようにコントロールするだけでなく、海外に対しても民意を操るような情報を流すしている。世界的な情報戦が始まっている。『リアルニュース』も成果報告だけならまだいいが、今後、記者への個人攻撃など、メディアとの戦いの武器として使うと、憲法上の問題になってくる可能性もある」と警鐘を鳴らした。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


▶『AbemaPrime』は月〜金、21時から放送中!