「家庭内の除菌・脱臭を行う家電」というと、まず思い浮かぶのが空気清浄機でしょう。脱臭フィルターでニオイのもとを捕集し、かつ内部で生成したイオンを室内に放出し、菌やウイルス、ニオイ成分の働きを抑える機種はいまも根強い人気です。

 

空気清浄機ではできなかった「常に発生し続けるニオイ」を除去できる

ですがそうした空気清浄機は、強いニオイの脱臭や室内の菌・ウイルスの徹底的な除去には十分には対応できないのが現状。空気清浄機の主要機能はあくまでほこりやハウスダスト、花粉などの集じんであり、タバコや料理臭には対応できても、常に発生し続けるニオイや付着菌・付着ウイルスを徹底除去できる機能は搭載していませんでした。

 

そこでパナソニックは、集じん機能をあえて外し、菌とウイルスの抑制、ニオイ除去に機能を特化したモデルを開発しました。それが次亜塩素酸 空間除菌脱臭機「ジアイーノ」です。

↑次亜塩素酸 空間除菌脱臭機 ジアイーノ F-MV3000

 

プールでも使われる次亜塩素酸を適正に使って安全に除菌・脱臭

次亜塩素酸とは除菌などで使われる活性因子。最も身近なのは水道水の浄化やプールの除菌ですが、台所用品の除菌・漂白剤、浴室のカビ除去剤にも使われています。さらに、カット野菜や食肉の洗浄など食品関係の現場でも利用されており、適正に使えば安全な成分と言えるでしょう。

 

ジアイーノはその次亜塩素酸を本体内で作るのが特徴。水トレイに専用の塩タブレットを入れて食塩水を作り、これを電気分解して次亜塩素酸イオン(OCl-)と次亜塩素酸(HOCl)を含む電解水(次亜塩素酸水溶液)を生成します。この電解水は弱アルカリ性で安全性が高く、かつ高い除菌・脱臭効果を発揮するとのことです。

 

同機はこの電解水技術に、さらに加湿空気清浄機などで使われる通風気化システムを融合。水トレイの中の電解水を回転式の繊維フィルターが吸い上げ、そこに本体内に吸引した室内の空気を通過させ、空気中の菌とウイルス、ニオイ成分を分解・抑制します。

 

さらに、フィルターから水が気化する際に揮発した次亜塩素酸(HOCl)が、ファンの送風により部屋の隅々まで届き、ドアノブや室内スイッチなどについた付着菌・付着ウイルスを分解・抑制します。この安全性と強い除菌脱臭効果の両立が、ジアイーノ最大の特徴なのだそうです(ちなみに、上記の次亜塩素酸生成技術はパナソニック独自のものだそう)。

↑次亜塩素酸の生成イメージ。水トレイに塩タブレットを入れて食塩水を作る。これを電気分解することで次亜塩素酸(電解水)が生成されます

 

業務用モデルはすでに発売され病院、ホテルなどで稼働中

製品発表に先立って行われたメディア向けセミナーでは、同社と次亜塩素酸の共同研究を行っている三重大学の福粼智司教授から次亜塩素酸についての講義も行われました。

 

「次亜塩素酸イオンは水溶液中で安定し、高い脱臭効果を発揮します。一方、次亜塩素酸は次亜塩素酸イオンの50倍も除菌力が強く、かつ水溶液中でも、揮発しても、除菌力は変わりません。次亜塩素酸は菌に付着すると表面の細胞壁を酸化すると同時に菌の中まで浸透し、内部をスピーディに酸化・分解。このため、耐性菌が生まれにくいのも特徴です」(福粼教授)

↑セミナーには幅広いメディアが参加。家庭用では画期的な電気分解式次亜塩素酸空間除菌脱臭機への関心の高さがうかがえました

 

ちなみに、ジアイーノはすでに業務用モデルが発売中。介護老人ホームや病院、ホテルなど幅広い現場に導入され、高い評価を受けています。セミナーではそのうち、大学受験の予備校、河合塾の導入例も紹介。河合塾では今年1月、自習室と学生寮にジアイーノを導入したそうで、同塾中部企画管理部の坂本綾子さんから、次のような成果が報告されました。

 

「これまでは、自習室は空気が淀んでいると敬遠する生徒もいましたが、ジアイーノを設置したところ、『自習室のドアを開けたときの空気が軽く感じた』との声が多く聞かれ、自習室の稼働率も上がりました。ジアイーノで除菌する際にはかすかにプールのようなニオイがするのですが、これをかぐことで清潔になったことが実感できるという生徒も多く、概ねポジティブな反応でした。受験生は健康に気を使っていて、空気にも過敏になっています、これは家庭でも同じなので、受験生のいる家庭でも需要は大きいのではないかと思います」(坂本さん)

↑パナソニックと共同研究を行う福粼智司教授(写真右)の講演、河合塾中部企画管理部の坂本綾子さん(左)による導入例紹介も

 

様々な実験を通して次亜塩素酸の脱臭力などが証明

さらにセミナー後半には、ジアイーノの脱臭効果を体験する実験も行われました。2つの部屋に温かい肉まんを置き、そのニオイをサーキュレーターで拡散(肉まんのニオイはペット臭や生活臭の成分が含まれているそうです)。1室では市販の空気清浄機3台、他室はジアイーノ1台を稼働させ、その脱臭能力を比較しました。稼働後10分ほど経ってから各部屋に入ってニオイ確認をした結果は、空気清浄機の部屋にはまだ肉まんのニオイが残っていましたが、ジアイーノが設置された部屋にはニオイがほとんど感じられませんでした。

 

また、上記の実験中に、紅しょうが液に次亜塩素酸水溶液を混ぜる実験も行われましたが、次亜塩素酸水溶液を入れた途端に紅しょうが液の赤い色素が一瞬で透明に。微量の次亜塩素酸を含む水道水と比べても、分解力の差は歴然でした。

↑紅しょうが液に次亜塩素酸水溶液を混ぜる実験では、赤い色素が一瞬で分解。微量の次亜塩素酸を含む水道水との差は圧倒的でした

 

ちなみに河合塾・坂本さんの報告にもあったように、ジアイーノを使うとプールで嗅ぐようなややツンとした塩素のニオイがします。これが次亜塩素酸のニオイだと思いがちですが、実は次亜塩素酸自体は無色無臭。それがニオイの元の成分と反応してはじめて独特なニオイが発生します。ですから、部屋の中のニオイ成分が減れば、自然と「プールのニオイ」自体もしなくなるそうです。

 

パナソニックは、今回発売の新モデルに関して、試験間近の受験生や乳幼児のいる家庭に加え、在宅介護の現場やペットのいる家庭もメインターゲットと考えています。特に在宅介護では、どうしても発生してしまう“ニオイ”が精神的ストレスになり、介護うつの原因にもなっているとか。そんなニオイストレスを軽減できるとなれば、潜在ニーズはかなり大きいでしょう。

↑製品の内部構造も詳しく解説されました。ちなみに円筒形の除菌フィルター(写真右下)には、吸水性の極めて高いフュージョン素材を採用

 

↑塩タブレットは製品内部に収納するスペースがあります

 

15畳タイプで15万円前後とやや高額だが強力な除菌・脱臭機能を望むなら「買い」

ちなみに、同社の除菌・脱臭機能として有名なのが「ナノイーX」。そんなナノイーX搭載空気清浄機とジアイーノの立ち位置の違いを聞いてみたところ、ナノイーX搭載機は料理臭など短時間に発生するニオイに効果的との回答。一方ジアイーノは、常に出続けるニオイに効果的で、1〜2か月使い続けることでそうした頑固なニオイが脱臭されるのが実感できるそうです。

 

市場予想価格は15畳タイプで15万円前後、10畳タイプで10万円前後と空気清浄機に比べてやや高め。それでも強力な除菌・脱臭機能を求める家庭には極めて訴求力の大きな製品といえるのではないでしょうか。

 

【今回紹介した商品はコチラ】

パナソニック
次亜塩素酸 空間除菌脱臭機
ジアイーノ F-MV3000

実売予想価格15万円前後(9月15日発売予定)

菌・ウイルス・ニオイ除去に特化した空間除菌脱臭機で、ウイルス対策に効果的と厚生労働省作成の対策マニュアルに紹介されています。介護施設などの除菌・消毒に利用されている次亜塩素酸を使い、適用畳数の菌やウイルスを99%抑制、頑固なニオイも脱臭。水と食塩のみから次亜塩素酸を生成して揮発させる独自技術を採用し、安全性も問題なし。メンテナンスは定期的なトレイ水の排水やフィルターなどのお手入れ、数年ごとの部品交換だけなのも魅力です。

SPEC●適用畳数:約15畳●電極ユニット交換目安:5年●タンク容量:約2.1L●サイズ・質量/W398×H710×D240mm/約11.2kg

 

撮影(セミナー)/石上 彰(gami写真事務所)