犬は声変わりをするの?そもそも声変わりって?

人間の声変わりの仕組み

人間の男性は、11歳〜14歳頃にかけて、生物として繁殖できる体へと成長し始めます。
この現象を第二次性徴といいます。
その第二次性徴に伴い、男性は声帯の組織が増殖して、声帯が分厚く、長くなります。
喉は、6つの軟骨が組み合わさっていて、その中でも最大の軟骨を「甲状軟骨」と言い、この甲状軟骨も、男性の第二次性徴によって、体の表側へと隆起してきます。
この「甲状軟骨」が隆起したモノが、いわゆる「喉仏」です。
喉仏が隆起し、声帯が太く、長くなることによって、男性の声が太く、低くなり、
少年の声から男性の声へと変化するのが、人間の「声変わり」です。

仔犬の声の変化

生まれたての時

人間の赤ちゃんもそうですが、生まれたての赤ちゃんと、生後数カ月を過ぎた赤ちゃんでは泣き声が違います。
人間よりも成長の早い犬なら、生まれて数時間しか経っていない赤ちゃんと、生後数週間経った仔犬では全く鳴き声が違います。
鳴き声そのものが違う、というよりも、生まれた時は単に「お腹空いた」「オシッコが出なくて気持ち悪い」など、生理的な欲求のみで、「ミイミイ」と言う声でしか鳴きません。
けれども、生後数週間経つと、「お母さんに甘えたい」「兄弟とくっついていたい」「眠いけど遊びたい」などのいろいろな感情が芽生えて、その心の成長に並行し、欲求の質も増えるにつれて、「クンクン」「キュ〜ンキュ〜ン」「キャンキャン」など、鳴き声のバリエーションが増えていきます。
この頃の鳴き声は、大型犬のパピーでも、小型犬のパピーでも、犬種に関わらず、とても愛らしい鳴き声ですよね。

犬にもある!声変わり

犬にも訪れる第二次性徴期

ところが、体が成長するに従って、大型犬のパピーの声はことさら太く低くなっていき、中型犬のパピーの声もいつの間にか、大人の犬の声へと変わっていきます。
人間の第二次性徴は、中学生くらいに訪れますが、犬の第二次性徴は、生後6カ月〜8カ月頃から現われます。
そして、その頃、犬の体も幼犬から成犬へと大きく成長します。
人間の男の子に声変わりが起こるのもこの時期に当たります。
では、犬の声変わりも、第二次性徴に関係があるのでしょうか?

第二次性徴に影響されない犬の声変わり

実は、犬の声変わりは、第二次性徴とはほとんど関係がありません。
犬の声変わりが人間の声変わりと大きく違う点は、3つあります。

1つ 犬の声変わりでは、人間の声変わりに見られる「甲状軟骨の隆起」がないこと。

そのため、声がかすれり、急に声が裏返ったりはしない、ということです。

1つ 人間の声変わりは男性だけに起こりますが、犬の声変わりはオス、メス関わらず

見られること。

1つ 犬の声変わりには、繁殖能力の成長である第二次性徴の発現に影響されない、ということ。

人間は、第二次性徴が起こる前の少年を去勢すると、少年のままの声を保っていられるそうですが、犬が去勢しても、ずっと仔犬の声でいる、という事はありませんよね。
つまり、犬の声変わりは、喉の奥の筋肉や首の筋肉が発達し、声帯にも影響して起こる現象ですので、人間でいえば、単に背が伸びたり、足のサイズが大きくなったりすることと同じことなのです。

大型犬は低く「ウオンウオン!」小型犬は高く「アンアン!」どうして鳴き声が違うの?

仔犬の時は、同じような可愛い声でも、大人になって犬種ごとに体の大きさが違うと、鳴き声にも大きな違いが出て来ます。
例えば、大型犬のラブラドールであれば、オスでもメスでも、「ウオン!」と低い声ですし、小型犬のプードルや、ヨークシャーテリアなどは性別に関わらず、「アンアン!」と、高い声で鳴きます。
これは、声帯の構造の違いではなく、体の大きさによって声となって出る音の振動が変わるからです。
例えば、音楽の授業で使うリコーダーは、同じ構造でも大きなアルトリコーダーと、小さなソプラノリコーダーでは音の高さが違いますよね。
もっと複雑な構造をしている管楽器のサックスなども、大きさによって、ソプラノ、アルト、テナーバリトンなど、人間の声楽のように音の高低差があります。
つまり、声も「音」なので、犬の体の中の広さ、声帯の分厚さ、長さ、頭蓋骨の大きさによって、反響の仕方が変わり、反響する場所が広く、大きければ低く、小さければ音の反響も小さいので、声帯が出す音のままの高さで聞こえます。
そのため、大型犬と小型犬との声の違いが生じると考えられます。

まとめ

「声変わり」は、文字通り「声が変わること」なので、単純に「声が変わる」という事だけを差すのであれば、犬にも声変わりはあります。
けれど、人間の「声変わり」は、生物として「繁殖できる体へと成長している過程で顕れる身体的変化」で、男性のみにしか顕れません。
その点、犬は、オスでもメスでも、立派な大人の犬にとして体が成長すれば声が大人の声に変わります。
つまり、その声を出せるまで体が成長したということは、「嬉しい」「楽しい」「さみしい」「悲しい」など、人の心のようにさまざまな感情を持つように、犬の心も一緒に成長している証でもあります。
犬の声には、目つきや尻尾の動き同様、犬の感情がよく顕れます。
「声変わり」した愛犬が、威嚇したり、警戒したりするためだけに吠えるのではなく、嬉しさや喜びを鳴き声に籠めれるように、愛犬にはたくさんの「嬉しさ」「喜び」を与えられる飼い主でありたいですね。