右目も左目も見えない。そういう世界を想像できるでしょうか。

安室早姫(あむろさき)さんは、1歳ごろに両目の視力を失ってしまいました。

筑波大学附属視覚特別支援学校に通う彼女は、将来、鍼灸師になるという夢を持っています。

視力の代わりに、手に入れた力

安室さんのカバンには、ペンギンのアクセサリーが付いています。治療のために東京の病院に向かう途中、上野動物園に立ち寄ったことがきっかけで、ペンギンが大好きになりました。

ペンギンの息継ぎや羽音、足音や泳ぐ音などを聞くことで、小さいころから五感がとぎすまされていったのです。

そんな彼女が、鍛えられた五感を存分に発揮できる世界へと足を踏み入れます。一体、どんな世界なのでしょうか。

五感をとぎすまし、見えてくる世界

学校で鍼灸師になるための勉強をしている時に、顧問の寺西真人先生から「センスがあるからゴールボールをやってみないか」と誘われたのが始まりです。

ゴールボールは、目隠しをしながら鈴の入ったボールを相手ゴールに入れる「音を聞く」競技。試合中は、『応援』をしてはいけないという独特なルールがあります。

鈴の音、選手の声、足音

ペンギンのおかげで培われた五感が生かされる時です。

安室選手は、12m先の相手選手が「コートのラインを触る音」まで聞こえます。

目指せ!2020年東京パラリンピック日本代表

一番大事なことは、感情をコントロールすること

必死に練習してきたにもかかわらず、リオパラリンピックの代表に選ばれなかった時は、声を上げてたくさんの涙を流しました。

感情的になった時は、目には見えない澄んだ青い空をイメージする彼女。そうすることで、自分自身の心も澄み渡り落ち着いていくのだそうです。

磨かれた五感を最大限に生かし、2020年東京パラリンピックの日本代表として、チームのディフェンスの要になると強く誓いを立てます。

彼女の見つめる視線の先は、明るくキラキラと輝いて見えます。

[文・構成/grape編集部]