Slackの成功を予言した男、名門VC「クライナー・パーキンス」に移籍

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Slackの初期投資家として知られる著名ベンチャーキャピタリスト、マアムーン・ハミド(Mamoon Hamid)が、自身の設立したSocial Capitalを退職し、名門VCのクライナー・パーキンス(Kleiner Perkins Caufield & Byers; KPCB)のゼネラル・パートナーに就任した。

ハミドの移籍は、シリコンバレーのVC業界で大きな話題となっている。ハミドは2011年にChamath Palihapitiyaと共同でSocial Capitalを設立し、GreenhouseやIntercomなどに早い段階から投資を行ってきた。他にも、Slackに外部投資家として初めて出資をするなど、敏腕ベンチャーキャピタリストとして名声を得ている。

Social Capital を設立する前は、U.S. Venture PartnersでBoxやYammerに対する投資を担当した。ハミドは、これまでの華々しい実績により、フォーブスの「Midas List 」(最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング)に3度選出されている。

45年の歴史を誇るクライナー・パーキンスは、シリコンバレーで最も古いVCの一つだ。同社は、これまでアマゾンやグーグルなどへの投資で莫大な利益を得たが、この10年はソーシャルメディアブームに乗り遅れ、クリーンテックの投資に失敗するなど、かつての勢いを欠いている。

クライナー・パーキンスでは近年、「Internet Trends」の執筆で知られるメアリー・ミーカー(Mary Meeker)が率いるデジタルグロースチームが社内で存在感を増している。また、昨年は長年クライナー・パーキンスを率いてきたビリオネアのジョン・ドーアが一線を退き、現在はTed Schleinが同社をリードしている。

かつての栄光を取り戻すミッション

Schleinによると、クライナー・パーキンスは過去5、6年に渡って投資領域や人材、将来戦略の見直しを図ってきたという。Schleinはハミドの獲得について「経営陣の若返りと、ベンチャー投資の経験が豊富な人材の獲得を実現することができた」と歓迎している。

クライナー・パーキンスがハミドの存在を最初に知ったのは2005年のことだ。また、ハミドは駆け出しのころにSchleinの父親と一緒に働いたことがあるという。最近では、クライナー・パーキンスがPalihapitiyaとハミドにSocial Capitalとの合併を打診したが、2015年に破談に終わった。

「クライナー・パーキンスは、私にとって常に特別な存在だった。名門VCに参画し、優秀な同僚たちと働けることは、私のキャリアにおいて非常に価値のあることだと感じた」とハミドはインタビューで答えている。

Social Capitalは、ヘッジファンドを立ち上げるなど順調に成長を遂げてきたが、ハミドはベンチャー投資に専念したいと考え、クライナー・パーキンスへの移籍を決心したという。

クライナー・パーキンスがハミドに期待するのは、低迷するベンチャー投資を復活させることだ。関係筋によると、同社のパートナーの多くは投資経験が少なく、判断ミスによってSaaSへの投資案件でライバルの後塵を拝してきたという。同社は、Slackへの投資を成功させたハミドを獲得したことで、今後はより大きなエグジットが見込めるアーリーステージ投資を増やしたい考えだ。また、ハミドの名声は、若くて優秀な人材の獲得に貢献することも期待される。

ハミドのクライナー・パーキンスへの移籍はAxiosが最初に報じたが、彼が育児休暇を取得したため、正式発表は延期されていた。

「クライナー・パーキンスのブランドや伝統に、自分自身の投資ノウハウを融合できることにとても興奮している」とハミドは述べている。クライナー・パーキンスの目標は、20年前のようにベンチャー投資でトップの座に返り咲くことだが、ハミドは慎重な姿勢を崩さない。

「ベンチャー投資は、急激に成果を挙げられるものではない。一つ一つの案件をしっかり実行していくことに尽きる」と彼は話す。