『SNS時代の写真ルールとマナー(朝日新書)』(日本写真家協会/朝日新聞出版)

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 スマホが普及し、一億総カメラマン時代とも呼ばれる中で、SNSには毎日大量の写真がアップされている。写真を撮るとき、そしてSNSにアップするときに考えたことがあるかもしれない。「知らない人が写り込んでしまった」「アップして問題にならないかな」…。

 自分が発信者になる以上、最低限のルールとマナーは知っておく必要がある。今回は、日本最大の職業写真家の組織である公益社団法人 日本写真家協会による『SNS時代の写真ルールとマナー(朝日新書)』(日本写真家協会/朝日新聞出版)から、知っておきたい写真ルールとマナーの一部を紹介したい。

 まず押さえておきたいのは、道具が一眼レフカメラであってもスマホであっても、撮影者がプロであってもアマチュアであっても、人物が入った写真には肖像権がからんでくるが、同時に、撮影者には表現の自由が与えられているということだ。

すなわち「目に見えるもの」の瞬間をカメラに収め、公表しているのです。
 ということは「何でも撮っていいし、どう選択して発表しても」構わないのです。ただし、勝手に「撮る」ということは「他者の権利を侵す恐れ」もありますので、つねに「撮影の目的や意識」をはっきりと持って、「自己の責任」で対処していれば、何でも堂々と撮れるのです。

 一方で、「他者の権利」に当たる肖像権については、次のように説明している。

肖像権(プライバシー権)は一般に「容姿を無断で写真に撮られたり、撮られた写真を無断で公表されたりしないように主張する権利」のことです。

 ただし、肖像権は法律で明文化された権利ではないので、撮影・公開OKかNGかという線引きが困難だという。

 夏休みが終わると、もうあっという間に運動会シーズンだ。では実際、運動会の写真はどんな被写体でも撮って構わないし、アップしてもよいのだろうか。

 まず、確認すべきは、学校側からNGが出ていないかどうか。昨今、学校によっては学校側から撮影禁止や撮影場所の限定などのお知らせを出す場合がある。完全NGのケースから、SNSへの投稿はOKだが、ほかの子どもの顔にはモザイクを入れる等の配慮を求めるケースまで、限定度合いはまちまちなようだ。

 例えばレストランの店内などは公共空間とは異なってプライベート空間とされるため、撮影禁止の表示があれば撮影不可だ。運動会でも運営側から限定措置が出ているのであれば、遵守する必要がありそうだ。

 さて、次に撮影OKの場合だが、写真に写っている人の顔が判別できるかどうかがポイントになってくるという。

人で混雑している様子を群衆的にとらえた写真であれば、肖像権の問題はありません。また、たとえば神社の狛犬にピントが合っていて、その周囲の人はボケている場合も同様です。…逆に人の顔が分かる写真は、写っている人数や状況によって判断が分かれています。

 撮ったはいいけれど、この写真はアップしてよいのかどうか…。本書が勧めるのは、撮影後に挨拶をして了解を得ること。しかし、さまざまな事情でそれは難しい場合がある。そんな場合は、相手に会釈を送るなどして、「ありがとう」の気持ちを送るとともに、「撮りましたよ。アップするかもしれませんよ」という“暗黙の了解”を得る方法がある。そういう意味でも、自分の姿が相手に見えるように堂々と撮影し、後ろめたさがないことをアピールするのがよさそうだ。もちろん、相手が撮られることを拒絶する仕草を見せたり、撮影・公開を拒否したりすれば撮影をすぐに止めなければならない。それでも撮りたいのなら、撮影意図を説明する心構えが必要だ。

 本書は、被写体が「どうして撮った。映像を消せ。金を出してケリをつけろ」などと凄んできた場合の対応についても触れている。先に紹介したとおり、撮影者には表現の自由が約束されている。プライベート空間でなく、撮影制限もないのであれば、「金を出せ」とまで凄まれるいわれはない。れっきとした「脅迫」という犯罪行為なので、場合によっては最寄りの警察署の出番となる。

 最後に、SNSへのアップロードについてだが、これは肖像権の注意だけでなく、そのSNSの利用規約の確認が大切になってくる。

最近の規約では、ざっくりいうと「著作権はあなたにありますが、あなたがアップロードした写真はサービス提供会社が自由に利用できることとする」という内容が多いようです。(中略)とても重要で他人に勝手に使われたくない写真はアップしないほうが無難とも言えます。

 表現の自由、肖像権、そして利用規約に注意を払いながら、あなたの腕とセンスが光るステキ写真を公開してもらいたい。

文=ルートつつみ