お菓子を食べ過ぎるとカロリーオーバーになると頭では分かっていても、食べ始めた手が止まらない……。そんな経験がある人は多いのではないでしょうか。

「まず、好みのお菓子のカロリーを把握しておくことが重要です」と話すのは、糖尿病専門医として患者さんのカロリーコントロールの指導にあたる福田正博医師。食べても太らない1日のお菓子の量について、詳しく聞いてみました。

ドカ食いはNG 「おいしい」と思える量を

筆者はスーパーやコンビニでお菓子を手に取っても、カロリー表示を見ることはまずありません。何も考えずに食べたい量だけ買い、おなかが満たされるまでバリボリと食べています。福田医師はお菓子の食べかたについて、次のようにアドバイスをします。

「お菓子を食べ過ぎると、1日に必要な摂取カロリーを超えることがあります。その場合はもちろん太る原因になり、便秘や胃もたれをまねくことにもなりかねません。

ただし、お菓子が好物である場合は、ダイエット中であっても我慢するのはよくありません。我慢の限界がくると、反動で一袋を全部食べる、ドカ食いすることがあるからです。健康に良い食べ方とは、たくさん食べ過ぎずに、毎日少しずつおいしいと思える量を食べることだと言えます。

そこで、食べ過ぎに注意するために、まずは、自分が好きなお菓子のカロリーがどのぐらいなのか、具体的な数字で把握しておきましょう」

ここで福田先生に、代表的なスナック菓子やスイーツのカロリーを教えてもらいましょう。1袋や1箱とは市販品の標準のサイズを指し、商品により多少ばらつきはあります。

・アーモンドチョコ……1箱/約600キロカロリー
・ポテトチップス(うすしお味)……1袋/約480キロカロリー
・えびせん……1袋/約450キロカロリー
・パイ類菓子……100グラム/約450キロカロリー
・イチゴのショートケーキ……1個/約400キロカロリー
・タルト類……1個/約350キロカロリー
・シュークリーム……1個/約250キロカロリー
・たい焼き……1個/約200キロカロリー
・おはぎ(つぶあん)……1個/約180キロカロリー
・みたらし団子……1本/約130キロカロリー

こうして見ると、カロリーは総じて和菓子のほうが低く、スナック菓子や洋菓子は高くなっています。

「これは油がたくさん使われているからです。この400キロカロリーを燃焼させようとすると、体重が50キログラムの人の場合、ウォーキングで約2時間30分、ジョギングで約1時間がんばらないといけません」と福田医師。

これらをふまえて福田医師は、太る目安についてこう説明します。

「自分にとって1日に必要なカロリーより240キロカロリーを余計に摂取すると、1ヵ月で1キログラム体重が増えます。3カ月食べ続けると3キロ太ることになります。とくに最近は20代からメタボリック・シンドロームや肥満症が増えています。いつもお菓子を袋ごとたいらげるといったことは見直し、次に紹介する適量を食べる習慣を身につけましょう」

1日に食べてもOKな量は、片方の手のひらに乗る分

市販のスナック菓子やスイーツにはカロリー表示がないものがあります。また、どれくらい食べるとカロリーオーバーになるのかが分かりにくいこともあります。福田先生は、これらを適量に抑える方法について、こう説明します。

「メタボや肥満、糖尿病予防の食事指導では、1日に食べてもOKな量を手のひらで測る『手ばかり』を実践してもらいます。自分の両手のひらをはかりにして計量する簡単な方法です。この量を少ないと感じた人は今までが食べ過ぎだったことを自覚しましょう」

次に、その「手ばかり法」で1日に食べてよい量をチェックしましょう。

・スナック菓子……片方の手のひらに軽く乗る量。ポテトチップスなら5〜6枚程度。おかき、せんべい、ナッツ類も同様に。手が見えないほど乗せるとカロリーオーバーに。

・洋菓子……片方の手のひらに軽く乗る量。小さめのシュークリーム1個、クッキーなら2枚、ショートケーキなら3分の1程度。

・和菓子……片方の手のおや指と人差し指の輪の中に入る量。小さめのまんじゅう1個程度。

この「手ばかり法」でポテトチップスなどを実際に手のひらに乗せてみると、お菓子の適量とは思ったよりも少なく感じます。福田先生は「食べ過ぎと適量」について、次のように説明をします。

「おなかいっぱいに、また胃がもたれるまで食べたときの量が食べ過ぎなのではありません。この手ばかりの量を超えたら、その分が食べ過ぎの量になります。健康的なダイエットの第一歩は、お菓子も含めて、食事でとるカロリーを適量にすることです」

ふだんはお菓子を食べ過ぎているという自覚がなくありませんでしたが、実はかなりの量を食べていることに気づきました。今日からすぐに、この手ばかり法を利用して、適量にすることを心がけたいものです。

(取材・文 小山田淳一郎/ユンブル、イラスト:カミグチヤヨイ)