「いらすとや」より

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 山下智久、新垣結衣が主演を務める連続テレビドラマ『コード・ブルー』(フジテレビ系)のの第4話が8月7日に放送され、平均視聴率は13.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)となった。視聴率だけを見れば悪くないのだが、初回から第4話まで毎回ジリジリと視聴率を下げ続けている今作。一度離れた視聴者が戻ってこず、新規視聴者も獲得できていない状況が見てとれる。個人的にも回を重ねるごとに興味が削がれ、視聴意欲が下がっていることを感じる。シーズン3はこのまま恋愛要素満載の気楽な作りでいくのだろうか? シリーズのファンの嘆きが聞こえてきそうだ。

 救命救急医の藤川一男(浅利陽介)と正式に結婚したフライトナースの冴島はるか(比嘉愛未)のお祝いの席。妊婦の冴島が先に帰るが、緋山美帆子(戸田恵梨香)は周産期医療に戻れないことを愚痴り、白石恵(新垣)はフェローたちの評価に悩んでいた。と、そこへ藍沢耕作(山下)のもとに脳外科医の新海広紀(安藤政信)から着信が入る。かつて藍沢が担当していた女子高生ピアニストの天野奏(田鍋梨々花)が痙攣発作を起こして入院したことと、手術を受けるように説得してほしいと伝えられる。

 その翌日、翔陽大学付属北部病院・救命救急センターにバーベキュー中のコンロが爆発したとドクターヘリ要請が入る。現場に向かおうとする橘啓輔(椎名桔平)だったが、息子の優輔の容態が急変したとの連絡により藍沢に現場を任せる。フェローの名取颯馬(有岡大貴)と、妊婦の冴島に代わって初搭乗するフライトナースの雪村双葉(馬場ふみか)を伴って現場に向かう藍沢。花火見物客でごった返す現場で、首にバーベキューの串が貫通した少年の対処を名取に求める藍沢。その横でパニック状態になりヒステリーを起こす母親を、雪村は無視する。

 救命に搬送した少年を処置する藍沢の横には、懸命に優輔に処置を施す橘の姿があった。優輔はストレス性の胃炎で吐血したに留まったが、息子と同じ病気と共に闘う別の少年の容態が急変。橘と緋山が緊急オペに入るが、懸命の手術も虚しく少年は心臓破裂でこの世を去った。

 亡くなった少年と同じように心臓移植を待つ優輔の状況の過酷さを緋山に伝える橘。そしてバーベキュー事故の少年が意識を取り戻した横で、優輔に少年の死を伝えた。両親を心配させまいと平然を装う息子。その息子の気持ちに応えるためにも、笑顔でいようと母親である三井環奈(りょう)に伝える橘だった。

 慌ただしい1日を追えた緋山は、廊下で緒方博嗣(丸山智己)に会う。病食だけでは足りない緒方はおにぎりを食べようとしていたが、手指の麻痺でうまく開けられず緋山に助けを求めた。そして緋山にもおにぎりを分ける。並んでおにぎりを食べながら、「つまらない処置ばかりの1日で、最後に入った緊急オペでは患者が死んだ」と思わず愚痴をこぼす緋山。しかし、手指の痺れが原因で店から解雇されて落ち込んでいるはずの緒方からはポジティブな言葉しか出てこない。そんな緒方とのやり取りの中で笑顔を取り戻す緋山だった。

 一方藍沢は死亡した少年のカルテを見ながら、白石に移植医療の難しさを語る。「命を救う方法はあるのに、移植する臓器がなければその医療を提供することもできない」と。語りながら奏のことを思った藍沢は、奏の病室に行く。常人では耐えられない苦痛の中で憔悴しきっている奏に、藍沢は「生きてさえいれば、きっとまたピアノが弾ける」と語りかける。藍沢の言葉や表情一つ一つに心が動いた奏は、藍沢が執刀医になることを条件に手術を承諾した。

 翌日、緒方におにぎりのお返しを届けに行った緋山は、病室にいる女性に驚く。そして妻だと挨拶をされてさらに困惑の表情を浮かべる。同じ頃、奏の容態が急変して意識混濁。藍沢が駆けつけ、緊急手術が行われることになるのだった。

 突っ込みどころが多過ぎて、ストレスばかりが溜まる第4話だった。医療の専門知識は皆無だが、明らかにおかしいと感じることが多く、まったくもってドラマの中に入れなかった。そしてどこまでも人物描写が浅く、「この性格のこの人が、こんな言動はしないでしょ?」という違和感ばかり。

 特に、緋山が傷口の縫合や褥瘡の手当を「つまらない処置」と言い放ったときには愕然とした。一人の少年がつい先ほど命を落とし、橘先生の苦悩に涙した緋山が、患者一人一人の苦痛を和らげる処置を「つまらない」と言い、「患者が死んだ」と一担当患者に軽々しく話すだろうか。2人の恋愛模様を描くために、緋山の人格の核となる一番大切な部分を捨てている脚本のように感じた。緒方の妻と対面するシーンに関しても、救命に運ばれるような重体患者の家族構成を担当医が知らないのか? と疑問を感じた。別れた妻がしゃしゃり出てきたという落ちなのだろうか?

 そして横峯あかり(新木優子)にはあれほど厳しかった藍沢が、雪村のナースとしての最悪の態度を叱責しないことにも興醒めした。ナースを志した雪村が子どもを心配する母親を明らかに「ウザい」という態度であしらっていることがそもそもあり得ないが、この後に藍沢なり冴島なりが叱り飛ばしてくれればまだ納得もいった。しかし、冴島が優しく諭すだけ。白石はバーでお酒を飲みながらフェローの評価表を片手間に書いているし、冴島も甘くなっているし、緋山は恋に夢中だし。三井先生もいつも暗くて、子どもの心情より自分の感情に溺れている。今まで描いてきたそれぞれのキャラクターの魅力を消し去るような描写ばかり。

 そしてストーリー展開もわかりにくい。串が刺さった少年の存在価値がまったくなく、途中で出てきた少年も唐突に現れてすぐに死んでしまった。いろんな人が急に出てきては消えるので、感情移入はできないわ、混乱するわで、何を一番伝えたい回なのかよくわからなかった。視聴者が見たいのは次から次へと起こる事件ではなく、生死を分ける過酷な現場で奮闘するドクターやナースたちの深い深い感情模様だと思うのだが。前シーズンまでの骨太なドラマはもう期待できないのだろうか?
(文=西聡美/ライター)