『セシルのもくろみ』公式サイトより

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 真木よう子が『問題のあるレストラン』以来、フジテレビ系で2年ぶりに主演を務める連続ドラマ『セシルのもくろみ』の第4話が8月3日に放送され、平均視聴率は4.4%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)となった。初回5.1%、第2話4.5%、第3話4.8%と救いようのない低視聴率が続く今作、第4週目にして4%台前半にまで落ちてしまった。テレビ離れが叫ばれる昨今にあっても、この低視聴率は言い訳のしようがない。今後の展開しだいでは3%台まで落ちることも懸念される。

「ヴァニティ」の専属モデルになれるチャンスが巡ってきた読者モデルたちが、編集部に媚びを売って歩く中、坂下葵(佐藤江梨子)は副編集長の石田信也(眞島秀和)を色仕掛けで落とし、そのチャンスを掴むことに成功。しかし、2人の不倫現場を目撃した沖田江里(伊藤歩)は、この事実を編集部に伝えれば葵は専属から外され、宮地奈央(真木よう子)に再びチャンスが来ると息まく。

 そんなことをしたら葵と同じだと正論を通す宮地。だが編集デスクの黒沢洵子(板谷由夏)の元に差出人不明で不倫現場写真が送られる事態に。とうとう沖田も我慢できずに黒沢に不倫の事実を告げた。編集会議で真偽を問われた石田は苦しい言い訳をするが、黒沢が副編集長代理に指名される。不倫をリークされたことを知った葵は、沖田を疑って殴りかかる。割って入った宮地は「江里はそんな汚いことはしない!」と言い切った。

 結局、写真を送った犯人は葵と一番仲の良かった小田萌子(藤澤恵麻)だった。2人とも誌面から卒業する結果になったが、素直に喜べない沖田。罪悪感に耐え切れず、自分も黒沢にチクったことを宮地に告白する。一瞬顔色を変える宮地だったが、「そこまでしてのし上がりたい仕事があるのはすごい」と理解を示す――宮地の心境も少しずつ変化していた。

 葵と萌子の卒業後、新人読者モデルの企画にバーターとして登場することになった宮地。夫とのデート企画と知ったカバーモデルのハマユカこと浜口由華子(吉瀬美智子)は洋服を選びに行こうと誘う。おしゃれなドレスを選んだ宮地だったが、夫は急遽の仕事で撮影をドタキャン、カメラマンの山上航平(金子ノブアキ)と夫婦役を演じることに。

 撮影中、野次馬たちが宮地を見て「モデルさんだ!」とカメラを向ける。その瞬間、宮地の表情が変わり、モデル然としたポーズを取りだす。思わず夫役であることを忘れてシャッターを切る山上。黒沢の満足そうな顔を見て沖田も喜んだ。

 後日、インスタに消極的だった宮地が、ハマユカとの買い物写真をアップしてほしいと沖田に伝える。「それってハマユカを利用するってことだよ」と沖田が言うが、宮地は覚悟を決めてアップに踏み切る。途端にハマユカ効果で「いいね!」とコメントが一気に増えていった。作戦が成功し、宮地への世間の注目が徐々に集まり始める中、黒沢に呼び出された宮地と沖田は、突然11月号での宮地の卒業を告げられるのだった。

 権力者との不倫に、チクり合戦で足の引っ張り合い、というお決まりの展開に失笑してしまう第4話だった。宮地がモデルとして目覚めていくというのがメインのテーマだったが、野次馬に認められたというだけで、さっきまで足を開いてピースをしていた宮地の変わり様があまりにも唐突で、嘘っぽさ全開。真木は確かに本領を発揮して綺麗な顔で映っていたが、“宮地”として見られなくては意味がない……。宮地の性格であれば野次馬に気さくに話しかけ、その親しみやすさからファンが増えていくような気がするのだが。

 沖田が言った「宮地が変わるんじゃなくて、モデル業界の在り方を変えたい」という言葉はどこへ行ったのか、宮地が一瞬で思い切り変わってしまっていた。さらにハマユカまで利用し出してしまう。まあ、春日部のパート主婦で、金型仕上げ工の夫と中学生の息子と団地暮らしという真実を隠さずにいることが、完璧な女性を演じているハマユカとは根本的に違うところなのだろうが……。宮地は何のために自分が変わってまでモデルとして成功しようとしているのかがよくわからなくなってしまった。

 人を蹴落として、人を利用して、嘘をついてでも成り上がることにあれだけ反発していた宮地が、それを容認して同じやり方でのし上がっていっては意味がないではないか? のし上がった先でやりたい何かがあるのか? 沖田の野望はよくわかるが、宮地が今何を原動力にしているのかが良くわからない。「途中で投げ出したくない」だけでは、信念を曲げる理由としはあまりにも弱く感じる。

 主人公はドラマの中で成長するべきだと思うが、その過程で主人公の信念や勝ち取りたいものが見えなくなると感情移入しづらくなってしまう。「今、ブレてます」と主人公自身もそこで悩んでいれば、まだわかるのだが、宮地は変わらず何かに向かって突っ走っている。これは一体何なのか? 視聴者にもわからなくなっているのではないだろうか?

 真木演じる宮地のキャラクターにだいぶ慣れてきたところだが、今度はストーリーの展開に疑問が湧いてきてしまった。伊藤の演技が良いだけに、どっぷりとドラマに入れる作りだったらどんなに見応えがあっただろうかと悔やまれる。
(文=西聡美/ライター)