出入国審査は4時間待ち――。夏のバカンス真っ盛りの欧州で、多くの空港が混乱に陥っている。テロ警戒のために厳しくなった出入国審査には大行列ができ、出発便の遅延や乗り遅れも相次ぐ。欧州を旅する日本人観光客も、十分な時間の余裕をもって空港に向かった方がよさそうだ。

 欧州の航空会社の業界団体A4Eによると、混乱がひどいのはマドリード、パルマデマジョルカ(スペイン)、リスボン、リヨン(仏)、パリ・オルリ、ミラノ(イタリア)、ブリュッセルなどの各空港。

 出入国審査を待つ列は数百メートルに及び、4時間待たされる例もあるという。航空機の遅れにもつながり、複数の空港で出発便の遅延が昨年の3倍に膨らんだ。予約便に乗れず、航空券をふいにする乗客も出ている。

 審査に時間がかかるのは、パリなどで相次いだテロをうけ欧州連合(EU)が3月、移動の自由を保障した「シェンゲン協定」を結ぶ26カ国の境界審査を厳しくすると決めたためだ。

 審査業務は増えるのに、多くの空港は十分な人員を確保できないまま観光シーズンに突入し、事態が悪化した。一部空港では、長時間労働に抗議する保安検査の職員らによるストライキも重なり、出入国手続き全体が大きく滞った。

 A4Eは「今後も更なる混乱が生じうる」と警告。英PA通信によると、EUの欧州委員会の広報担当者は各国に状況の改善を求めつつ、審査の厳格化は、「安全のためのコスト」と話した。(ロンドン=榊原謙)