「これまでの殻を破った」というYun*chi。「Canvas*」で描いたものとは(撮影・冨田味我)

 歌手のYun*chi(ユンチ)が8月2日に、約2年ぶりとなる新作ミニアルバム『Canvas*』をリリース。本作では、ひと夏を舞台にした物語を投影したという。2012年11月にメジャーデビュー。「KOKESHI GIRL」と呼ばれるオリエンタルなルックスでモデルとしても活動。米国をはじめ、ミャンマー、ジャカルタ、マレーシアなど世界中のステージに出演するなど精力的に活動を続けている。今作ではタイトルなど、これまでのイメージを一新したチャレンジで「自分のいろんな殻を破れたなと感じています」と確かな手応えを感じている様子。彼女が今作に込めた想いと、この作品に至るまでの経緯、これからの展望を語ってもらった。

心模様を感じてもらえる作品

Yun*chi「Canvas*」

――この作品を作るに当たって何か狙いがあったのでしょうか?

 今年デビュー5周年を迎えます。今回は約2年ぶりの作品ということや、タイトルに『Canvas*』と付けたように、これからはYun*chiという今までの殻に囚われず、心のままに自由に、音楽を表現していきたいと思って。何より、新しい自分を見出し、その姿で未来へ向かっていきたい。そんな新しい道を描ける作品にという想いを持って、チーム一丸となって制作しました。

――今回は全曲の作詞に関わっています。Yun*chiさんは歌詞にこだわりがあるのでしょうか?

 もちろんこだわって作っていますし、私のもっとナチュラルな部分を表現したいと思いました。新曲を通して「優しい作品を作りたいなぁ」という気持ちが強かったので。

――確かに「優しい」という表現は、曲調を含め、アルバム全体から感じられました。

 これまでのYun*chiと言えば、ダンスミュージック寄りなポップスが多かったし、そういう印象を持たれていると思いますが、今回は「Yun*chiの心模様を感じてもらえる作品」にしたかったので、アレンジ面にもその辺は出ていると思います。

――『Canvas*』を聞いていると、Yun*chiさんの人柄に触れている気分になれました。

 聴いてくれるみなさんも、そう感じてもらえると嬉しいです。

――いろんな伝えたい想いを歌詞へ投影した形なのでしょうか?

 『Canvas*』という大きな枠の中のストーリーもあれば、1曲ごとに物語もあったりします。そこは自由に感じていただきたいなと思っています。どの歌も私自身が素直に自分と向き合って書いた歌ばかりで、それらが、聴いた方々の心にも馴染む歌になっていたなら良いな、とは思います。

今僕のいる場所が理想と違っても

Yun*chi

――ミニアルバムのリード曲であり「今僕のいる場所が理想と違っても」は、今のYun*chiさんの心情をリアルに投影した曲のようですね。

 「今僕のいる場所が理想と違っても」は、これまでのYun*chiの歌詞にはなかった“応援ソング”です。今までの私は、どちらかと言うと応援ソングは苦手でした。「私が誰かを応援したって、そんな勇気づけられる人なんていないし」と、どこか悲観的な考え方を持っていて。

 しかも、応援する意識に恥ずかしさを覚えてしまうというか。ですが、CDリリースの無かった2年の間、支えてくれるみんなからの応援や、勇気づけられた言葉のおかげで、私自身が前を向いて進んでこれました。

 「この先リリース出来るのかな?」という不安を募らせながら。その反面、ずっと演り続けてきたライブので、ファンの方々に「Yun*chiの歌を聞いてると元気が出るね」とか「歌声がすごく好き」など、そういう声を頂けることがとても励みになりました。

 Yun*chiのまわりの人たちの言葉によって、この2年間、私は励まされ続けてきたし、いろんな面で私が成長することができました。だからこそ、その想いを歌として残しておきたかった。私の経験から生まれた歌が、少しでも聴いた人の頑張る気持ちにプラスになればいいな。

――「今僕のいる場所が理想と違っても」に出てくる主人公は、ネガティブな感情も抱えてはいますが、それでもしっかり未来へ向け希望を抱き進んでいきますね。

 誰だって理想と現実の違いに戸惑ったり、その差を埋めてくことに苦労する経験があると思います。夢に向かって頑張っている人たちの背中を、少しでも押してあげられたらなと思っています。

――「Kare Kano*」のようなラブラブなナンバーも収録されています。

 女の子ってガールズトークをするとき、彼氏がいる子はとくに彼の愚痴を言ったりすることがあって、でもよくよく聞いていると「じつはノロケじゃん」ということがけっこうあったりして。そういう微笑ましいカップルのストーリーです。

――続く「Again*」は、別れた相手に対し未練を抱く切ない歌。まさか「Kare Kano*」での幸せが、こうなるとは…。そんな風にも思えてしまいました。

 「Again*」は切ない歌ですよね。このミニアルバム、冒頭の「今僕のいる場所が理想と違っても」と最後に収録した「Thank U*」はメッセージソングですが、2曲目に収録した「HIMAWARI*」で過去を振り返る風景を描きながら、続く「Trendy Night*」で素敵な出会いを感じ、「Kare Kano*」で恋人同士の幸せを描き、「Again*」で別れが訪れる。でも「Seasside In Dream*」では、また恋をして、片思いの切ない気持ちを抱いている、夏を舞台にした、いろんな恋の物語が描かれています。

男女の駆け引き

Yun*chi

――「Trendy Night*」はスタイリッシュでファンキー、ダンサブルな曲ですね。

 「Trendy Night*」は、私が初めて作曲にも携わった曲です。私、クラブイベントで歌わせて頂くことも多いのですが、最近はナイトプールでのイベントも盛り上がっているようなので、そこでは、きっといろんな男女の駆け引きが起こっているのではないかな、という妄想を浮かべ、それをヒントに「Trendy Night*」を作りました。

 楽曲は、Jazzin'parkのお二人と一緒にスタジオに入り、「どんな曲にする?」「どんな音がいい?」「どんなストーリーがいい?」と、一緒にセッションしながら組み立てました。サウンド面はスタイリッシュなディスコサウンド、歌詞も、昔流行ったトレンディドラマを思い出しながら、トレンディ感を散りばめました。

――ミニアルバム『Canvas*』の新曲はどれも夏を感じさせますね?

 全体を通して夏をイメージして描きました。「HIMAWARI」のアウトロに蝉の鳴き声が入っていたり、『Canvas*』という作品を通し、私もひと夏の体験をしています(笑)。

――最後に収録した「Thank U*」は、「君と一緒に歩きだそう」という応援してくれているファンへ向けた感謝の歌にも感じました。

 「Thank U*」は、ライブの最後に歌いたくて作りました。ファンの方がライブを通して私に会いに来てくれることに「ありがとう」と感謝の気持ちをいつも持っているし、たとえ会えないときでも、心が弱ったときに私はみんなのことを思い出して乗り越えています。みんなへの感謝の気持ちも歌った応援ソングです。

2年という歳月

Yun*chi

――これまでのビジュアルイメージとは、だいぶ変わりましたよね?

 今まではバキッとした、ビビッドな色の様なアーティストイメージがあったかもしれないけど、今作は自然光が映える、よりナチュラルな私を表現しています。

――2年ぶりに新作を形に出来たことで、Yun*chiさん自身も、新たな変化や手応えを感じているのでは?

 今回のリリースが決まったときはすごく嬉しかったし、この作品で私が何より一番に表現したかった想いが「ありがとう」という感謝の気持ちでした。だから、自然とこういうミニアルバムになったのだろうなと思います。

――この作品では、これまでのイメージをいろいろ壊したとも聞いています。

 そうです。「今僕のいる場所が理想と違っても」は、初めて日本語のタイトルにしました。タイトルの最後にかならず付けている“*”も、付けませんでした。

 今までの私は、「私が作った小さな星の欠片が集まって光輝くアルバムになる」というルールを設けて、どの作品のタイトルにも、最後に*を付けてきました。でも今回、デビュー5周年を前に、これまでの殻を破りました。

――まさに、Yun*chiさんの心の中で一つの革命を起こしたのが、この『Canvas*』になるのですね。

 そうなりました。ジャケットも白い枠を額縁に見立て、その中にいる私が水彩と青い布を羽ばたかせています。枠にとらわれないという気持ちと、未来を自由に描いていこうという気持ちを表現できたと思います。この『Canvas*』を皆さんがどんな風に受けとってくれるのか、楽しみにしています。

(取材=長澤智典/撮影=冨田味我)

インタビュー撮り下ろしカット
Yun*chi 「これまでの殻を破った」というYun*chi。「Canvas*」で描いたものとは(撮影・冨田味我) Yun*chi
作品情報Yun*chi
New Mini Album
「Canvas*」
2017年8月2日発売
CRCP-40523 2130円+税

収録曲
1. 今僕のいる場所が理想と違っても
2. HIMAWARI*
3. Trendy Night*
4. Kare Kano*
5. Again*
6. Seaside In Dream*
7. Thank U*

POPアイコンYun*chiが約2年ぶりとなる新作をリリース
ミニアルバム「Canvas*」はシンガーとしての意欲作。