デザインの話題「状態表示と設定表示」

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電子機器などにおけるステータス情報の表示デザインをする際、その表示は「状態表示」なのか「設定表示」なのかを考える必要があります。洗濯機の終了までの残り時間や音楽の再生現在位置などは状態表示です。一方でエアコンの液晶リモコンの温度表示や自動車のオートクルージングの車間距離などは設定表示です。こちらは必ずしも目の前で起きている状態と表示が一致しているとは限りません。定石からすると、表示する情報を状態表示もしくは設定表示で統一を図ってゾーニングしユーザに分かりやすくします。しかし中にはそんな単純にはいかない場合もあります。

あるメーカの特定の型式のエアコンは冷房で風向きを真下に設定していたとしても、吹出し口に付着する露の滴下を防ぐため約30分〜1時間後に自動的に風向きが水平に変わってしまいます。リモコンの風向きの設定表示は真下のままです。目の前の状態と表示に相違が起きユーザは何が起きているのか分からず混乱してしまいます。メーカはこの事象について「故障かな?」の項目をもうけているので、実際に混乱に基づく問い合わせが一定数あったのだと思います。

自動的に風向きが水平になった時点でリモコンの風向き設定表示を水平方向に変えてやると目の前の状態と表示に相違がなくなりますが「あれ?誰か設定かえたのかな?」と別の混乱がおきます。なぜならユーザは普段からそのゾーンの表示は「設定表示」だと学習しているからです。

解決策は色々あります。状態表示と設定表示の両方を表示すればよいでしょう。状態表示には実際の室温が表示されるので良いですね。または風向きが水平になると「風向き補正中」と表示するだけでもよいでしょう。ユーザはシステムが何かしたんだと考え、なるべく早く事実にたどり着くことができます。本体とリモコンが相互に送受信する機能を付加するコストが無いのであれば、トイレ便器が「臭いや詰まり防止のために人がいなくても水が流れます」とよく見える位置にシールを貼っているように、エアコンリモコンにも注釈を入れるぐらいはできます。

もちろん上記らがベストな解とは思いませんが、まったく配慮なくユーザが何が起きているか想像もし難い状態を誘発させて取説で片付けるのは少し乱暴に思えます。何か工夫をしたいところですね。

このように状態表示と設定表示の不整合からくる混乱を防ぐ解決案を考えることも表示デザインの実務であり、面白さでもあるのです。みなさんも考えてみて、もしよい解決方法があれば是非教えて下さい。

(Betonacox Design)