30〜40代の子育て世代にとって「不安だけれど手が回らない」のが老後資金ではないでしょうか。でも毎日の選択にも、老後資金を増やすヒントは隠れています。たとえば、子どもの手が離れて、また働き出すときには、年金がなるべく増える働き方を考えたいもの。今から始められる老後資金のつくり方について、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに聞いてきました。


<老後資金Q&A>「年金が増える働き方ありますか?」

Q:子どもが小学校に入学したら働くつもりです。年金が増える働き方ってありますか?(埼玉県・35歳)

A:「年収160万円以上」稼げるように働くのがおすすめです勤務先の社会保険に加入すると、自分名義の厚生年金を増やせます。2016年から、社会保険に入れるラインが従来の年収130万円から106万円に引き下げられたので、加入のチャンスが拡大。条件は、勤務先が従業員501名以上、勤続年数1年以上、勤務時間が週に20時間以上、などです。

しかし、働き方次第では、収入が増えても保険料の支払いで相殺されて手取りが増えない場合も。かつては、収入を130万円未満に抑えれば、社会保険に入れない代わりに保険料の支払いも不要で、稼いだ分は税金を除いてほぼ全額受け取れました。でも今では、仮に収入を129万円に抑えても、税金に加えて社会保険料の支払いがあるため、手取り年収は約109万円に。老後の年金は増やせますが、収入だけを見ると106万円未満の働き方と変わらなくなるのです。

今の収入も老後の年金も両方増やしたいなら、さらに働く時間を増やして160万円以上稼ぐのが得策でしょう。メリット、デメリットを理解したうえで、自分のライフスタイルや家族の状況も考慮して、納得できる働き方を選びたいものです。35歳でパートを始める場合の、給料と年金の試算

専業主婦からパートを始め、これから60歳まで働いて厚生年金に25年加入すると仮定。国民年金には40年加入。夫はサラリーマン。

●パターン1:年収105万円


社会保険の負担 なし
所得税・住民税の負担 年間約1万円
65歳からの年金 老齢基礎年金(年額78万100円)のみ
手取り額 約104万円

子どもが小さくて長く家をあけられない、自分の自由な時間がほしいという人は、社会保険には加入せず、短時間の働き方で。●パターン2:年収129万円


社会保険の負担 あり
所得税・住民税の負担 年間約1万9300円
65歳からの年金 老齢基礎年金+老齢厚生年金(年額95万6900円)
手取り額 約109万円

将来の年金は増やしたいが、自分の自由な時間も欲しい、マイペースで働きたいという人は、勤務時間を抑えた働き方で。●パターン3:年収160万円


社会保険の負担 あり
所得税・住民税の負担 年間約5万9400円
65歳からの年金 老齢基礎年金+老齢厚生年金(年額99万8800円)
手取り額 約131万7000円

将来の年金を増やしつつ、今の収入も増やしたい、子どもの手が離れたのでバリバリ働きたいという人は、長時間の働き方で。

※上記は試算です。実際の金額と異なる場合があります。詳細については、所轄の年金事務所にご相談ください。

【監修/畠中雅子さん】
ファイナンシャルプランナー。高齢期のお金を考える会を主宰。著書に『覚えておきたい!お金と節約の基本88』(扶桑社刊)など。
<イラスト/macco 取材協力/浜田裕也(社会保険労務士) 取材・文/ESSE編集部>