【マニラ=藤本欣也】北朝鮮の李容浩外相は7日のARF閣僚会合で「われわれの核武力は米国の核の威嚇にけりを付け、米国の軍事侵攻を防ぐための抑止力だ」などと主張、核・ミサイル開発を継続する姿勢を繰り返し強調した。

 北朝鮮は今回のARF参加にあたり、ASEAN各国に対し異例の働きかけを行った。外務次官を7月下旬にマニラに派遣し、議長国のフィリピンと事前調整。さらに今月1日には平壌の外務省に東南アジア各国の駐在大使を集め、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射について自国の立場を説明した。

 しかし、北朝鮮による相次ぐICBM発射を受け、5日のASEAN外相会議は北朝鮮の核・ミサイル開発に「重大な懸念」を示す声明を発表。東アジアサミット(EAS)外相会議でも各国から北朝鮮への非難が相次いだ。

 四面楚歌の状況にもかかわらず、李氏は会議場やメディアの前で笑みをたたえていた。6日未明にマニラ入りし、飛行機から降りた直後は真剣な表情でメモを見ていたが、市内に入ってからは終始にこやかだった。

 独裁国家の北朝鮮において外交の権限を有しているのは金正恩・朝鮮労働党委員長だけである。外相の李氏は自国の立場を繰り返し主張するほかない。笑みをたたえることで余裕を見せようとしたのだろう。

 しかし、6日に会談した中国の王毅外相からも、これ以上のミサイル発射や核実験をやめるようクギを刺された。7日には、ロシアのラブロフ外相とも会談したが、満足できるような北朝鮮寄りの言質は取れなかったもようだ。

 日米など多くの国から非難されたARFを退席しホテルに戻ったとき、李氏の表情からいつものような笑みは消えていた。昨年、ラオスで行われたARFのように自身が記者会見を行うこともなく、そのまま部屋に入った。

 北朝鮮代表団の報道官が押し寄せたメディアに対し、「われわれが選択した核威力の強化については絶対に譲歩しない」などと虚勢を張るのみだった。