メンバー全員がニートのNEET株式会社が8月5日、設立以来初の追加メンバーを募集すると発表した。8月28日に都内で説明会を開く。

仕事をしてもしなくてもいい代わり、固定給もない株式会社

同社は2013年11月、慶應義塾大学特任准教授の若新雄純氏の呼びかけによって設立された。NEET株式会社のシステムは通常の株式会社とは異なる。メンバーになれるのは

「『どこの会社や団体にも雇用されておらず、学校や就業訓練機関にも通っていない34歳以下の若者』というニートの定義にだいたいあてはまる方」

と、名前の通りニートだけだ。全員が「取締役」となることでニートの定義を逸脱することなく、「ニート的人生のバージョンアップを試み」ている。8月7日14時時点で54人の取締役が在籍中だという。

最大の特徴は「仕事をしてもいいし、しなくてもいい」ところだろう。こなすべき仕事やノルマは無く、何をするかは取締役それぞれが考えなければならないが、社内で気の合う仲間を見つけて仕事を始めるも、一人で行うも、やらないのも自由だ。仕事をしないで責められることも無い。

その証拠に、同社のホームページには「レンタルニート」「プラモデル制作代行」など15種類の事業が掲載されているが、その全てが儲けを主目的にしている訳では無い。事業ページの更新が数年前で止まっているものもざらだ。固定給は無いが、代わりに事業で上げた収益は全額取締役の懐に入る仕組みになっている。

特徴的な運営体制から2014年には、ネット上で倒産間近との噂も囁かれた。募集サイトにはこうした経緯から、「メンバー全員が従業員ではないため完全成果報酬、固定オフィスもなく家賃もかからないため、よほどのことがない限り倒産はしません」との説明が掲載されている。

「ニートがニートらしい充実を得られる場所」を目指す

今回新たなメンバーの募集に踏み切ったのは、会社の組織が整い、継続的な運営の目途が立ったためだ。

3年半の紆余曲折では、改善点も多く見つかった。若新氏が外部から仕事を取ってきても仕事の経験の無い『取締役』達には荷が重く、結果的に顧客に迷惑がかかる事態が度々発生した。こうした反省を生かし、設立2年目頃から、仕事を受注するのは止めたそうだ。

「ニートの中からまとめ役を出すのは無理」とも分かった。当初、取締役全員が議決権を持ち、会社の方針決定や運営も行う自主的で民主的な組織を目指したが、争いが絶えず一向にまとまらなかった。そのため、取締役達には好きなメンバーと好きなように取り組んでもらい、事務的な作業は外部化して乗り切ることにした。

その代わり、取締役には毎年、議決権のない3000円分の自社株購入が義務付けられた。同社に在籍し続けるための年会費のようなものだ。集まったお金は会社の資本金となり、事務手続きに必要な書類作成やサーバー管理費など、会社の維持管理費に充てられる。

キャリコネニュースの取材に対し、若新氏は同社をニートのプラットフォームのようなものと語る。

「ニートがニートらしい充実を得られる居場所を作りたくて会社を作りました。起業した人、会社員として就職した人、メンバー同士で結婚した人など様々な人がいる。そうやってここをステップに新たな居場所に移っていっても良いし、NEET株式会社の中で稼いでいくのも良い」

ネット上での繋がりを基本とするが、リアルイベントも開催し、顔を合わせる機会も作る。「シェアハウスで共同生活し始めたメンバーもいます」とのことだ。

8月5日に情報を解禁してからこれまで、既に50人以上から問い合わせがあったそうだ。募集人数に制限は設けていない。若新氏は「新しいメンバーが入ることで、何かまた面白いことが生まれたら」と期待を滲ませた。