2017年は実写映画が盛りだくさん(写真:THE PAGE編集部)

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 人気漫画やアニメを題材にした実写映画が大量生産される一方で、原作ファンからの激しい批判も浴びている昨今。

 こうした映画が多数製作される背景には、「原作の知名度の高さから出資者が集まりやすい」、「宣伝費が節約できる」、「原作ファンの動員をある程度計算できる」といった要因がある。

原作ファンの逆鱗に触れる実写映画

 だが、最近ではインターネット上を中心に“原作レイプ”なる俗語も使われているように、原作が優れた作品であったり人気が高ければ高いほど、ビジネスを優先し、その世界観や作品性、キャラクターの魅力を台無しにする安易な実写化は、原作ファンの逆鱗に触れて激しい批判を浴びることにもなる。
 
 そうした中、近年製作された人気漫画やアニメを題材にした実写映画の中でも、好調な興行成績をあげて、原作ファンからも温かい目で見られているのが、7月14日から公開されている「銀魂」だ。

近年の実写映画では異例のヒットとなっている「銀魂」

 興行通信社が発表している映画観客動員ランキングでは、公開2週目の週末となった7月22日と23の週末2日間で動員23万9000人、興収3億3500万円をあげ、累計興行収入は17億円を突破。

 7月31日に発表された同月29、30日のランキングでも、累計興行収入を23億円超えに伸ばしている。映画誌編集者は語る。

 「公開初週の週末は興収5億4103万2900円を記録しましたが、これは今年公開された実写邦画のオープニング2日間での興収では1位の成績です。夏休み期間に入り、このままペースを落とさなければ、最終的な興収は50億円前後も見込めるのではないでしょうか」

“現在進行形”の作品というハンデをものともせず

 同映画の原作は、空知英秋氏による人気漫画で、現在も「週刊少年ジャンプ」で連載されている。

 「実写映画の中でも、“現在進行形”の作品は原作ファンの反応もより過敏で、ハードルが高い傾向にあると言われています。そういう意味で『銀魂』は大善戦といっても過言ではないでしょう」(同映画誌編集者)

 では、数多くの実写映画が原作ファンから不評を買う中、なか「銀魂」は成功したのか?

ギャグ路線と攻めの演出

 「『銀魂』のヒットの要因を語るうえで、外せないのは福田雄一監督の手腕でしょう。福田監督といえば、映画監督として『HK 変態仮面』をヒットさせるなどの実績を持つだけでなく、放送作家として数々のバラエティー番組の構成なども手掛けています。今回の劇場版にはさまざまなギャグ要素を取り入れていますが、橋本環奈さんに“鼻ほじ”をさせたり、菅田将暉さんや菜々緒さんに下ネタをバンバン言わせたり、歌舞伎俳優の中村勘九郎さんを全裸にさせたり、人気マンガやアニメ、映画などのパロディーを連発したりと、かなり攻めた演出をしていて、それをきちんと笑いに昇華させています」(前出の映画誌編集者)

 その一方で、単なる映画監督としての一人よがりにならず、原作への敬意や愛情が感じられるのも見逃せないという。

監督、キャストに通じる原作への敬意と愛情

 「小栗さんをはじめ、出演者はかなり原作のキャラクターにビジュアルを寄せていますし、ストーリー自体をアレンジしていても、原作の世界観を汚さないようにかなり気を使っています。監督の原作や映画への愛情が感じられるから、出演者も攻めの演出を受け入れたんだと思います」(映画ライター)

 こうした原作への敬意や愛情は共演者も共有していたのだろう。

「今回の実写映画化が決定した際、福田雄一監督が自身のTwitterで、小栗さんと菅田さんが実写化を謝罪する動画をアップして話題を呼びました。もちろん話題作りやギャグ要素という側面もあるのでしょうが、それを加味しても多くの実写映画が著名な監督や旬の人気俳優、女優により“上から目線”で実写化される中、低姿勢で作品作りに臨む態度を示したことはプラスに働いたと思います」(同映画ライター)

 監督や出演者の原作に対する愛情や敬意は、実写映画の関係者が思っている以上にファンには伝わるものなのかもしれない。

(文責/JAPAN芸能カルチャー研究所(http://japan-culture-labo.com/))