発見された矮小銀河。(画像:東北大学発表資料より)

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 東北大学と国立天文台の共同研究チームは、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ Hyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム)を利用し、地球から2,283万光年の先にある渦巻銀河「NGC4631」、通称「クジラ銀河」において、2つの恒星ストリームと11の矮小銀河からなる13の「銀河の化石」を発見したと発表した。

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 天文学の大きな目的の一つに、銀河の歴史の解明がある。銀河の歴史を知るためには、古い天体を観測し、分析することが有力な手段となる。こうした研究を「銀河考古学」と言い、宇宙初期から存在する古い銀河を「銀河の化石」と称する。

 クジラ銀河は、我々のいるこの「天の川銀河」や、その隣のアンドロメダ銀河に比べると小さく、そして、周囲の銀河と激しく影響し合う特殊な環境にある銀河と見られている。

 距離的には、すばる望遠鏡の観測能力によって捉えることのできる中では限界ギリギリの遠さにある銀河であり、またこれほど遠方にある銀河の化石が、これほど詳細に捉えられた例は世界で初めてであるという。

 さて、最近有力になっている銀河史の仮説に、「宇宙の構造は小さい構造から大きい構造へと進化してきた」というものがある。つまり、大きな銀河系は、複数の矮小銀河が集合することによって形成された、という考え方だ。矮小銀河が大きな銀河に吸収されるとき、潮汐力と呼ばれる物理的な作用によってその形は破壊され、バラバラになり、筋状に分布した構造になる。これが恒星ストリームである。

 今回の観測によって発見されたのは、クジラ銀河に吸収される以前の、古い矮小銀河だ。しかも、その付随する恒星の一つ一つが、分離した状態で観測された。これは地球の古生物学でたとえるならば、恐竜の化石がまるごと一体分見つかったようなものであるという。

 今後、得られたデータをもとに、クジラ銀河の歴史についてさらに解明を進めていきたいとのことである。

 なお、研究の詳細はThe Astrophysical Journal誌に掲載されている。