iPhoneをはじめとするスマートフォンやSNSが当たり前の時代に育ったアメリカのティーンエイジャーたちは、スマートフォンの普及後、友人との交友頻度や、恋人とのデートや性交渉の経験率が低下する一方、孤独を感じてうつ症状になる例や自殺件数が増えている、との研究結果が公表されました。

ティーンエイジャー5,000人以上に調査

アメリカのサンディエゴ州立大学心理学部のジーン・トゥエイン教授が、アメリカのティーンエイジャー5,000人以上を対象に調査を行った結果を雑誌The Atlanticに発表しました。
 
なお、The Atlanticは、故スティーブ・ジョブズ氏の未亡人であるローリーン・ジョブズ氏が代表をつとめる慈善団体に事業が引き継がれることが決まっています
 
調査対象となったティーンエイジャーの4分の3はiPhoneを所有していました。この所有率は、先日発表された調査結果とも一致します。

友人や恋人との交流が減少、孤独を感じる割合は増加

調査の結果、現代のティーンエイジャーたちは、スマートフォンが普及する前と比較して、友人と遊ぶ頻度、恋人とのデートや性交渉の経験率が低下し、孤独を感じ、睡眠時間が減少するなどの傾向が見られました。
 
デートの経験率は、8年生、10年生、12年生(それぞれ日本の中学2年生、高校1年生、高校3年生に相当)はいずれも近年、下落傾向にあります。なかでも、2010年頃を境に落ち込みが激しくなっています。
 
性交渉の経験率はほぼ横ばいか緩やかな下落傾向でしたが、2012年頃からは各学年ともに下落しています。
 

デート経験率、性交渉経験率ともに減少

孤独感を感じ、睡眠時間は減少

8年生、10年生、12年生に、「よく、取り残されていると感じる」「いつも孤独を感じる」といった項目に当てはまると回答した割合は、いずれも2010年頃から大きく上昇しています。
 
7時間以上の睡眠時間が取れていない割合も、以前から増加傾向にありましたが、2012年頃から急激に増加しているのが分かります。
 

孤独感が上昇、睡眠時間7時間未満の比率も上昇

うつ状態や自殺リスクも上昇

このほか、うつ症状と自殺率は2011年を境に急増しており、現代のティーンエイジャーは過去10年においてメンタルヘルス面で最悪の状態にある、とトゥエイン教授は警鐘を鳴らします。
 
スマートフォンなどの電子機器の使用時間が1日3時間を超えるグループは、3時間以下のグループと比べて、自殺を考えるなどの自殺リスクが35%も高くなっています。12歳から14歳による自殺は、2007年から2015年にかけて3倍も増えています。
 
特に、男の子の自殺件数は女の子の約2倍に達します。これは、男の子のほうが致死率の高い自殺方法を選ぶ傾向があるためで、最近は男女差が縮小傾向にあります。

スマホやSNSの普及で親子の関係も激変

トゥエイン教授は、スマートフォンがこれらの傾向の原因とは断定できない、としながらも、スマートフォンやSNSの普及による影響の大きさに注意が必要だ、と述べています。
 

学校での学習内容が時代にあわせて変化するように、親子のかかわり方も変わっていきます。しかし、スマートフォンとSNSの急激な普及は、私たちが経験したことのない変化をもたらしています。
 
若者たちの手にある電子機器が、彼らの人生に不幸な影響を与えているのは明らかです。

 
教授は、若者からスマートフォンやSNSを取り上げるのが現実的でない以上、簡単な解決策はないことを認めつつ、現実的な解決策として、スマートフォンなどの使用時間を緩やかに減らすことを提案しています。
 
なお、メンタルヘルスや睡眠時間に大きな影響が出るのはスマートフォンなどの1日当たりの使用時間が2時間を超えるグループであり、平均的なティーンエイジャーの使用時間が1日2時間半とのことです。
 
調査はアメリカの若者についてのものですが、日本にも近い傾向はあるように感じられます。子どもたちが夏休みのこの時期、子どものスマートフォンの使い方について、家族で話す機会を持ってみてもいいかもしれません。

 
 
Source:The Atlantic via 9to5Mac
(hato)