北朝鮮のICBM発射を受け、中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は7月29日に「『中国責任論』を断固として拒絶する」と題した社説を発表した。

 核・ミサイル開発に邁進(まいしん)する北朝鮮だけでなく、対北圧力を強化する米韓に対しても「このような対立を続ければ何が起きるのか分かっていない」と非難。トランプ米政権が、対北圧力を強めるよう中国側に求めていることについても「中国の選択肢は非常に限られている」と牽制(けんせい)した。

 社説は北朝鮮と米国の双方の態度をとがめる。北朝鮮について「米国を打ち倒すことができるICBMを一度持てば、自らの国家の命運を握る鍵を持つことになると盲目的に信じている」とする一方で、米国に対しても「圧力こそが北朝鮮に核・ミサイルを放棄させる唯一の手段だと思い込んでいる」と分析してみせた。

 また、中国に対する日米両政府の“圧力”について強く警戒している様子が随所にうかがわれる。「東京とワシントンが協力し、北朝鮮の核・ミサイル活動の『中国責任論』を無理やり推し進めていく」とした上で、中国の役割について「われわれには北朝鮮の核・ミサイル活動を阻止する力はない」と慎重な態度を崩さなかった。

 一方、米軍が韓国に配備を進める最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」に対しては、中国側として「北朝鮮の核・ミサイル活動という直接的なリスクのほかに、THAADなどの米軍の戦略資産の集中が中国の安全保障の新たな脅威になっている」との立場を強調した。

 社説では、北朝鮮と米韓が核兵器を使用するような事態を示唆した上で、これが「中国の朝鮮半島政策の究極の『紅線(レッドライン)』だ」と指摘する。共産党大会を今秋に控え、中国は敏感な“政治の季節”に入っており、米国が北朝鮮に限定攻撃を加えるといった安全保障環境が激変するような事態を避けたいのが本音とみられる。(三塚聖平)