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米ツアー・トピックス

 世界ランキング4位のロリー・マキロイ(28歳/北アイルランド)が、9年間タッグを組んできたキャディー、JP・フィッツジェラルド氏とのコンビを解消したというニュースが飛び込んできた。


JP・フィッツジェラルド氏とのコンビを解消したロリー・マキロイ(左)

 およそ1カ月前にも、フィル・ミケルソン(47歳/アメリカ)が25年間も一緒に戦ってきた、「ボーンズ」の愛称で知られるキャディーのジム・マッケイ氏とのコンビに終止符を打ち、別々の道を歩むことが発表されたばかり。大物ペアの相次ぐ”別離”によって、ゴルフ界は少しばかり騒然としている。

 コースで戦う選手にとって、キャディーは唯一相談できる同志だ。ティーショットの狙いどころや、ピンまでの正確なヤーデージを選手に伝え、風を読んで、クラブを選択する。グリーン上では難解なラインを選手とともに読む。また、プレーに関わることばかりではなく、苛立ちの募った選手の気分を和らげたり、前向きな気持ちにさせたり、ときにはメンタル面でのサポート役を果たすこともある。

 実際に最近、マキロイとフィッツジェラルド氏との関係において、そうした選手にとってのキャディーの重要性を示した出来事が話題となった。

 それは先のメジャー第3戦、全英オープン初日に起こったことだ。出だしからショットが乱れていたマキロイは、ラフからラフへと渡り歩いていた。不調なのは見るからに明らかで、3番ホールから4連続ボギーを叩くなど、前半だけで5オーバーと大きく崩れた。

 メジャー第2戦の全米オープンでも予選落ちを喫していたマキロイは、「実は(全英オープン初日は)僕はすごくナーバスになっていた。自信がなくなって、どうにもショットへの不安が募っていた」と、のちにそう漏らしている。

 そんなマキロイに対して、フィッツジェラルド氏が6番のティーグラウンドに立った際、こう言ったという。

「キミは”ロリー・マキロイ”なんだろう? いったい何をやっているんだ」

 そのひと言で、マキロイは我に返った。フィッツジェラルド氏の”喝”によってポジティブシンキングを取り戻し、後半はピンに絡むショットを連発して4つのバーディーを奪った。結局、「71」の1オーバーで初日を終えて、最悪の事態から逃れることができた。

「後半になって突然、自分を信じてスイングができた。(1オーバーで終えられて)まだまだ試合に勝てる位置。そこまで取り戻せたのも、本当にJPのお陰だ」

 ラウンド後、自身の”復活劇”をそう振り返ったマキロイ。”相棒”であるフィッツジェラルド氏の存在の大きさをメディアの前でアピールしたのだ。それだけに、今回の突然の”別離”は驚きだった。

 しかしながら、また逆の出来事もふたりの間にはあったのだ。

 同じく全英オープンの3日目、10番ホールでダブルボギーを喫したのは、フィッツジェラルド氏のクラブ選択ミスだった。それが原因となり、キャディー仲間の間では、「彼らのコンビ解消は、もはや時間の問題だろう」と囁かれていたそうだ。

 これまでも、フィッツジェラルド氏に対する批判の声はあった。例えば、2011年のマスターズ最終日、サンデーバックナインで大崩れして、歴史的な惨敗を喫したときのこと。テレビの、あるゴルフ番組のコメンテーターがこう発言している。

「マキロイはコースマネジメントが非常に下手。もっと腕のいい、例えばタイガー・ウッズの元キャディー、スティーブ・ウィリアムズのような人と組めば、メジャーでもっと勝てるはずだ」

 こうした声にも、マキロイはそのつど反論してきた。

「コメンテーターは選手じゃない。ゴルファーとして成功しなかったのだから、彼の意見は何の意味もなさない」

 そう言って、キャディーを擁護する立場を貫いてきた。

 それでも、”別れ”の日はやってきた。全英オープンでの一件が、直接的な原因になったかどうかはわからない。

 ときには「夫婦のよう」とも言われるツアープロとキャディーは、毎日ラウンドで4時間以上、ウォーミングアップやラウンド後の調整なども合わせれば、もっと多くの時間を密に過ごすことになる。特に理由がなくとも、「タイム・トゥ・チェンジ(変革のとき)」と、新鮮な空気を求めることもあるのだろう。

 あるベテランキャディーは言う。

「(選手とキャディーは)5年以上続けば、最高の関係。数試合でどんどんキャディーを代える選手もいるし、喧嘩別れしてしまうペアもいる」

 コンビ解消は、たいてい選手から「話がある」と切り出されて、直接通達されるのが一般的だという。しかし昨今では、携帯電話のメッセージでペアの終焉を告げられることも多々あるそうだ。ベテランキャディーが続ける。

「コンビ解消が決まったら、お互いの未来の成功を祈って別々の道を行く──。それが、最高の関係だと思う。なぜならゴルフ界は狭いから、その後、新たな選手のバッグを担いでいる元キャディーと同組でラウンドすることは珍しいことじゃないからね」

 そう考えると、例えばウィリアムズのように、ウッズとともに戦った時間での出来事を暴露本にして世の中に出してしまうのは、”ルール違反”に思えてならない。

 25年もの時間を共有してきたミケルソンとボーンズは、円満な別れとなったようだ。ミケルソンは、実弟であり、自身の出身校であるアリゾナ州立大の元ゴルフコーチだったティム氏を新しいキャディーに迎えた。ボーンズは、テレビ局のラウンドリポーターという、新たな道を歩み始めた。

 さて、マキロイは今週の世界選手権シリーズ(WGC)、ブリヂストン招待(8月3日〜6日/オハイオ州)では、幼少期からの親友、ハリー・ダイアモンド氏を”仮”のキャディーとして起用することになった。今季メジャー最終戦の全米プロ選手権(8月10日〜13日/ノースカロライナ州)も、同氏とともに戦うという。

「名コンビ」の解消は少し寂しい出来事である。それぞれの、その後の人生での成功を祈るしかない。いろいろと事情はあるにせよ、それこそ、言わぬが花だろう。

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