40代、50代のセックスレス傾向は特に高いという

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「セックスレスになってからでしょう、本当の夫婦は」

 7月16日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)でのダウンタウン・松本人志(53才)の発言に、多くの既婚女性がざわついている。

 松本といえば、独身時代、常盤貴子(45才)や優香(37才)、SPEEDの島袋寛子(33才)といった名だたる美女と浮名を流したモテ芸人。2009年に元タレントの一般女性と結婚し、長女が誕生すると、すっかり子煩悩なよきパパのイメージが定着した。そんな松本から飛び出した、この言葉に共演するフジテレビ・佐々木恭子アナ(44才)は、ハッと口を押さえて「あぁ〜…うんうんうん! 私、すごい染みましたね」と共感した。

 佐々木アナだけではない。松本の発言に賛同する声は少なくない。女性の悩みをシェアするセクシャルセンスアップ(SSU)ヒーリング会を主宰するピンク先生もその1人だ。

「松本さんの発言は、これまで世間で“ダメ夫婦”の象徴とされてきたセックスレス夫婦に希望を与えるものです。セックスレスに悩む女性の中には、救われた人も多いと思います」

 一般女性からも同調する声が聞こえてくる。小学4年生の娘がいる43才専業主婦が言う。

「私は結婚前から性欲があまりなくて、子供ができるまでは旦那の要求を受け入れていましたが、出産後はセックス自体が苦痛で…。でも、夫は仕事でのストレスを発散するかの如く、執拗に求めてくるんです。“疲れているから”とか“隣の部屋で子供が寝てるし”などと、やんわり断るんですが、夫はあからさまに不満そうな表情で…。そのたびに罪悪感を覚えていたので、あの発言を聞いてホッとしました」

 日本性科学会はセックスレスの定義を「特殊な事情が認められないにもかかわらず、カップルの合意した性交、およびセクシュアル・コンタクトが1か月以上ない場合」としている。

 2012年に同学会のセクシュアリティ研究会が中高年の性事情をまとめた『セックスレス時代の中高年「性」白書』によれば、セックスレスと答えたのは男性77%、女性74%。2000年に行った同様の調査では、男性は43%、女性46%。わずか10年あまりで2倍近くに増えている。

 同会代表・荒木乳根子先生が解説する。

「特に40代、50代のセックスレスの傾向が非常に高くなっています」

 世界的に見ても、日本はセックスレス大国だ。英国コンドームメーカー・デュレックス社の調査によると、週に1回以上セックスする人の割合はギリシャ87%、フランス70%に対して、日本は34%と世界最下位だった(2006年)。

 セックスレス夫婦の実情を探るため、本誌・女性セブンは30〜70才までの既婚女性300人を対象に緊急アンケートを実施した。

〈夫と最後にセックスしたのはいつですか?〉という問いに「1週間未満」と答えたのは11%(33人)と少数派で、「1年以上セックスしていない夫婦」は過半数の55%。その中には「20年以上セックスしていない夫婦」が37組も存在した。

 セックスレスも2パターンに分かれる。1つめが「求める夫、拒む妻」である。会社員の夫と野球部に所属する中2の長男と3人で暮らす46才主婦が、その苦悩を明かしてくれた。

「朝は誰よりも早く起きて朝食の支度と息子のお弁当作り、日中は掃除、洗濯を済ませてスーパーのパート。家に帰れば、夕食の準備や後片付けに追われる。夜になれば、もうヘトヘトで性欲なんてありませんよ。だから、セックスする暇があれば、ゆっくりお風呂に浸かって、一刻も早くベッドに入りたい。だけど、今でも旦那はセックスをしたがるんです。レスになって7年ぐらいですが、もう断り続けるのも疲れました」

 男性週刊誌が「死ぬまでSEX」特集で盛り上がっているように、中高年男性の性的欲求は衰え知らず。妻たちは夫の性の捌け口となることに嫌悪感を示しているのだ。

 もう1つは、その逆のパターンである。36才で長女を出産した保険セールスレディー(41才)はこう語る。

「長女を産んでから5年間もレス。私は2人目を望んでいたので、出産後も誘っていたんですが、旦那は“疲れている”“明日早いから”と避けられ続けました。そのくせオナニーは隠れて毎晩のようにしているんですよ! 夫のことを愛していますし、子供や生活を考えれば離婚はしたくない。でも、このまま女として見られないまま枯れていくのはつらいです」

◆ガダルカナル・タカ&橋本志穂の場合は…

 彼女同様、「求めてこない夫」に苦しみ、傷ついた経験を持つのは、夫のガダルカナル・タカ(60才)と23年間セックスレスだというフリーアナウンサーの橋本志穂(49才)だ。

「結婚前に主人の自宅にお泊まりした際も全然手を出してこなくて。体を求めてこないところが紳士だと思っていたんです。でも、結婚しても全くセックスがない。毎晩、(ビート)たけしさんと食事してくるって出かけちゃうんです。ゲイなのか、と疑いましたよ(笑い)。朝まで悶々として眠れない日々が続きました」

 恥ずかしさからか、橋本は自ら求めることはできなかったという。だが、いつまで経っても変わらぬ夫の態度に堪忍袋の緒が切れ、タカを問い詰めた。

「当時は私もゆくゆくは子供が欲しいと思っていたので、話し合いの場を持ちました。恥ずかしくて“どうしてセックスできないの?”とは言えなくて、“なんで私を愛してくれないの?”って聞きました。すると主人は“えぇ〜、こんなに大切にしてるじゃん?”ってヨシヨシされて…。私の思いは全然伝わりませんでした。でもこんなこと、恥ずかしくて親にも相談できないんですよね」

 女性ファッション誌でも、「セックスでキレイになる」「脱・セックスレス読本」といったセックスを推奨する企画が組まれるため、セックスをしない女性は不幸の烙印を押された気分を味わう。しかも、自分は欲しているのにパートナーから見向きもされないというのは、胸が張り裂けるような思いだろう。

 どちらのパターンにせよ、日本では昔から「セックスレス=悪」というイメージが根強く残る。民法770条にこんな一文がある。

《[裁判上の離婚原因]夫婦の一方は、左の場合に限り、離婚の訴を提起することができる(中略)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき》

 離婚問題に詳しいフラクタル法律事務所の堀井亜生弁護士が解説する。

「法律では婚姻は精神的、肉体的な結合であり、性的関係は重要だとみなされている。そのため、病気や老齢などの理由や当事者間の合意がある場合は別として、長期間性交渉がないことは、『その他婚姻を継続し難い重要な事由』に当たるのです」

 堀井弁護士によれば、実際に肉体的欠陥がないにもかかわらず、夫が1年4か月、正当な理由なく性交渉を拒否し、一方で自慰行為をしていたため、離婚が認められたケースもあるという。

 このように法律も「セックスレス=悪」と認めているのだ。そのため親にも家族にも友人にも悩みを打ち明けられず、ひとりで抱え込んでしまうという女性が後を絶たないのだ。

※女性セブン2017年8月17日号