スーツケースいっぱいに詰め込まれた緑色に輝く袋…。

多くの外国人観光客がこぞって買い求める姿は、当時日本のニュースでも大きく取り上げられました。

あの一大ブームを巻き起こした「抹茶味のキットカット」は、その後どうなったのでしょうか?

また、あのブームは一体何がきっかけで始まったのか?

今まで気になっていたけど聞けなかったこと。思い切って担当者の方にぶつけてみることにしました。

質問に答えてくれたのは、ネスレ日本株式会社 コンフェクショナリー事業部マーケティングスペシャリストの村田香織さんです。

キットカット抹茶味の誕生

――初めて抹茶味を発売したのはいつですか?

2004年です。2000年のストロベリーを皮切りに、オレンジや、パイナップル、バナナなど様々なフルーツフレーバーを期間限定で展開する中、初の和風フレーバーとして宇治抹茶味をコンビニ向けに発売したのが始まりです。

その後、2008年に京都をはじめとした関西エリア限定のお土産商品として、老舗のお茶屋さんと組んで発売した宇治抹茶味や、桜と組み合わせた抹茶味など、様々な抹茶の楽しみ方を提案してきました。

より多くの外国人観光客を日本へ呼び込むための招致活動「VISIT JAPAN」が年間1千万名を目指していた当時、外国の方の個人ブログなどで「日本には、抹茶やフルーツ系など変わったフレーバーのキットカットがたくさんあるぞ!」といった口コミが徐々に広がり始めたんです。

ネスレ日本

日本人向けのはずが、思わず外国人にもヒット

――インバウンドの増加もあり、そこからあの爆買いに繋がったと…

ええ、私たち日本人にとって抹茶は昔からある身近な食材で、お茶として飲んだり、アイスクリームなどのスイーツとして楽しみます。

しかし、外国の方にとって馴染みのあるチョコレート「キットカット」に、日本ならではの抹茶が組み合わさっていることが、とても不思議で興味を惹き付けたようです。その発見は私たちにとっても新鮮でした。

――つまり、狙って仕掛けたものではなかったと。社員の方も抹茶味がこんなに外国の方に受けるなんて想定外だったということでしょうか?

はい、当時は外国の方を意識して開発をおこなっているわけではありませんでした。むしろ新しいものが好きで、季節ごとに少しずつ旬のものを楽しみたいという嗜好性を持つ日本のお客様に受け入れてもらうには、どうすれば良いかを考えていました。

そんな中、「抹茶キットカット」がケース単位で大量購入される現象がよく見かけられるようになり、特に空港限定で販売するタイプは、外国の方にもわかりやすく、日本らしいデザインのパッケージに変えないと、という意識が芽生えました。

抹茶カラーを意識したパッケージ

あの爆買いブームが自然発生的に生まれたとは驚きですが、ここで今回の取材の目的である“爆買いの行方”について聞いてみることに。

――「抹茶キットカット」が売れ始めた背景にそんなストーリーがあったとは。ちなみに最近はそんな爆買いブームもひと段落したように見受けられます。正直なところ、今の販売状況ってどんな感じですか?

実は、今も売り上げが伸びているんです。以前は、コンビニやご当地の土産ショップ、空港でしか販売していなかったのですが、今は外国人観光客の方の購買動向の変化に合わせて、街中のスーパーからドラッグストア、ディスカウントストアのどこでも手に入れることができるようにしています。

今年3月に発売した濃い味バージョンも効いています。当初は2種類同時に店頭に並べると片方しか売れず、全体的な販売数が伸びないことを懸念していました。でも、蓋を開けてみると、ちゃんと売り上げを伸ばしているという状況です。

人気に拍車を掛けた「キットカット濃い抹茶」

――新製品が発売されても、オリジナルの人気は維持できているってことですね。

「抹茶キットカット」の味そのものを気に入って、リピーターになってくださっている方もいらっしゃいますし、色々な抹茶を試してみたいと両方購入される方も多くいらっしゃいます。嬉しいですよね。

アジア人独特のお土産文化

――購入者のはアジア系の観光客が多いですか?

いえ、アジアの方だけでなく、欧米の方にも大人気ですね。

ただし購入量が違うんです。私たち日本人もそうですけど、アジアの方ってお土産を配る習慣があるんですね。欧米の方はあまり配る文化がないようなんですよね。

――それは興味深い話ですね〜。言われてみると、あの小分けパッケージはお土産に最適。

ちなみにお土産といえば、インバウンド向けに開発・発売したこんな商品があり、絶好調ですよ。

▼日本酒×キットカット

ブームを越え、世界の定番に

――この組み合わせはスルー不可能でしょう(笑)もしやネスレ日本さん、お菓子を軸に日本文化をさらに広めようと狙ってます?

実は、“メイドインジャパン キットカット”を世界中の方が最も愛するお菓子にしたいと思っています。ちなみに昨年、京都府と宇治抹茶を世界的に広めていこうという連携協定を結びまして。当社の「抹茶キットカット」はすべて宇治抹茶を使用しているので、世界における京都や宇治抹茶の知名度に貢献できたらと考えています。

最近、本格的な抹茶スイーツも続々登場していますが、当社の特徴はとにかく多種多様な抹茶シリーズの展開を通じて、様々な抹茶の楽しみ方を提供していることなので、今後も日本だけでなく世界中の人たちに抹茶の美味しさを知っていただけるよう、引き続きチャレンジし続けますよ!

最終的には「あの抹茶キットカットを買いたいから、日本へ行きたい!」と日本を訪れる方の旅の目的になれたら本望ですね。

抹茶の旨さを世界に知らしめた日本生まれのキットカットは、どうやらまだ進化の途中のよう。

人々を夢中にさせる新たな抹茶キットカットの誕生に、これからも乞うご期待!