今、エネルギッシュな100歳前後の人生の先輩たちに注目が集まっています。関連書籍も多数出版されており、精力的な活動ぶりや、暮らしの哲学を知る機会も増えてきました。今回は、日本初の女性報道写真家であるフォトジャーナリストの笹本恒子さん(102歳)にインタビュー。情熱を保ち続けるコツと日々を楽しむヒントを教わりました。

年齢に縛られるなんてもったいない!興味をもったら、なんでもすぐ始めること

●心がピカッと輝くときめきを大切にする暮らし

日本初の女性報道写真家として、戦中・戦後の日本を記録してきた笹本恒子さん。写真のみならず、洋服やアクセサリーまで手づくりする旺盛な好奇心は、102歳の今も健在です。


鎌倉の老人ホームを訪ねると、笹本さんが穏やかな笑顔で迎えてくださいました。エスニック柄の洋服にカラフルな色使いのアクセサリー。骨折をされてからはホームで車いす生活ですが、個性的なファッションがとてもお似合いです。「自分でつくったものばかりなの。服はちくちく手で縫っているから、縫い目は見ないでね(笑)」と笑う笹本さんは、若い頃画家を目指したものの、絵では食べていけないと言われて洋裁を学び、その後、知人の紹介で報道写真家に。戦後は写真を撮る一方、オーダー服のサロンを開いたり、フラワーデザインやインテリアを学んだり、多彩な経験を重ねました。


「好きなことを学ぶのに年齢制限はありません。私がインテリアの学校に行ったのは50歳のとき。どんな習い事も、先生よりうまくなろうと思ってやってきました。そういう意味では欲ばりかもしれないですね」。好奇心に従ってなにごとにも全力に取り組み、何足ものワラジを履いてきた笹本さんならではの言葉です。●年をとってもワインを飲み、お肉料理を食べる


こぢんまりとしたひとり暮らしの居室に、ひときわ目立つすてきな棚がありました。もしや、これはワインセラーですかと尋ねると、「ふふふ。夜になると、赤い水を飲みますでしょ。そのために必要なのよ」と、いたずらっぽく肩をすくめました。毎晩グラス1杯の赤ワインを飲むことは、40年間続けてきた習慣です。「ワインに合うお肉料理も好き。年をとったら菜っ葉とお豆腐がいいなんて言うけれど、それはとんでもない話。ちゃんとタンパク質や脂肪もとらないといけません」。ご飯よりもパンが好きで、朝食の定番はコーヒーとバターたっぷりのクロワッサン。近くに住むめいごさんが、好みのパンを買ってきてくれます。


ホームで暮らしても、好きなものを貫きとおす生活は変わりません。お酒も肉もたしなんで、みずみずしさを保ったお肌。じつはお化粧はほとんどしていないそう。その代わりに、ふわっとまとった香水と指先のネイルが、笹本さんをチャーミングに引き立てていました。●出したい本、行きたい場所…。やりたいことは、まだたくさん!


これまで笹本さんは、行きたいと思った場所にはフットワーク軽く出かけてきました。国内のみならず、海外へも精力的に足を運んで仕事をしています。「96歳でニューヨーク、98歳でパリに行きました。もう少し体力が回復したら、もう一度ニューヨークに行きたいと思っているんですよ」と、目をキラキラ輝かせます。

年齢を気にして自分の行動を狭めるような考えは少しももっていません。部屋の壁にはパリのアーティストからもらった美しい布や、スペイン土産の扇子を飾り、地球儀を身近に置いて、再び異国を旅する日を思い描いています。


また、本の執筆といった仕事も続けています。「原稿用紙とペンがあれば、どこでも私の仕事場です」という言葉がたくましい!「このホームは8時が就寝時間ですが、昨日も9時まで仕事をしていて怒られちゃった(笑)。時間がいくらあってもたりなくて…。親からもらった命ですもの。したいことをやりきって生きようと思うんです」

●教えてくれた人
【笹本恒子さん】
1914年生まれ。ʼ40年、財団法人写真協会に入社し、報道写真家に。戦後は独立。一時写真から離れるが71歳で写真展を開き、復帰。『好奇心ガール、いま101歳:しあわせな長生きのヒント』(小学館刊)など著書多数