昨年4月に、突然この世を去ってしまったプリンス。あまりにも急なニュースに、言葉を失ったのもまだ記憶に新しいです。ディアンジェロ、アウトキャスト、日本では岡村靖幸、スガシカオなど、彼に影響を受けたと公言するミュージシャンは、国内外問わず多数。

中性的であり妖艶であり...彼にしかないスマートさ=“色気” を放つプリンスですが、亡くなった今もなお、多大なリスペクトを集めつづけるその理由は何でしょう?そのひとつの解となる、『ロック豪快伝説』(立東舎刊)に掲載されている、彼の“美意識”が存分に漂うエピソードをご紹介。プリンスのヒット曲「When Doves Cry」を聴きながらご一読ください。

※以下は立東舎文庫『ロック豪快伝説』の「the 豪華絢爛 怒濤の男性アーティスト編」からの抜粋です。

建設費は16億円!
豪華絢爛な“プリンス王国”

 プリンスの成功の象徴に、1987年9月11日、ミネソタ州ミネアポリスに作り上げたペイズリー・パークがある。建設費に1000万ドル(約16億8000万円)を費やした、“プリンス王国”だろう。レコーディング・スタジオにビデオ撮影もできるリハーサル・ルーム、中庭にはギャラリーもある。

そのギャラリーには“殿下”の全米ナンバーワン・ヒット曲「When Doves Cry」(※Dove=鳩 邦題は「ビートに抱かれて」)にちなんでなのか、シフォンの織物とパールで飾られた鳥かごがあり、中につがいの白い鳩が飼われている。鳩の名前は、キリスト教の神を意味するディヴィニティとつけられていた。

ペイズリー・パークのスタジオでは、すべてのアンプが殿下の使いたいときに使えるようにと、24時間いつでもスタンバイ状態。空調も最適な温度に保たれているという。スタジオを取材したイギリスの雑誌『Q』によると、年間の電気代はなんと6万5000ドル(約850万円)もかかるそうだ。 

見えない部分こそ
めぐらせていた美意識

趣味はビリヤードにバスケットボール、バイクに乗ること。映画『パープル・レイン』で殿下がお乗りになられた、ホンダのいかにも高そうな特注バイクを見ても、バイク好きなのがわかる。ただし、特にこだわってお金をかけているものがある。ペイズリー・パークのワードローブ担当、スティシア・ラングはこう言っている。

「ジーンズにTシャツといった格好はしないわね。快適で着心地が良くないといけないの。シルクやクレープが多いのよ。」

見据えていたのは
音楽界の未来だけじゃなく...?

プリンスは90年代から音楽界にデジタル革命が、インターネットの時代が来ることを予測していた。音楽がインターネット上で売買されることに、いち早く注目していたアーティストだった。

90年代後半には、アルバムを自らのホームページで販売。97年の全米ツアーは自力で行い、3000万ドル(約36億円)の利益をあげたと言われている。プロモーターを使わず、ツアー・マネージャーも起用しなかった。また、チケットにアルバムをつけて売ることもあった。いち早く音楽業界にライヴの時代が来ることを予見していたのだ。

プリンスは、音楽業界の預言者だった。誰よりも未来を見ていたのは間違いない。が、自分の未来を見ることはできなかったのか。それともこの世に自分の未来はないと思ったのだろうか?

マイケル・ジャクソン、フレディ・マーキュリー、キース・リチャーズなど世界のロック・スターたちの、良くも悪くも“豪快すぎる"エピソードを41編収録。収められている話はすべて実話(たぶん)。これこそまさに“事実は小説より奇なり”。世界を魅了する超一流のスターたちの、いろんな意味ですごすぎる逸話の数々をお楽しみください。

Top illustration by 鈴木順幸

Reference:Prince