短頭種ってどんな犬?

短頭種には長・中頭種には見られない特有の特徴があり、歯にもそれが現れています。では短頭種とはどんな犬種なのでしょうか。

短頭種は犬種に関わらず、頭部の長さよりもマズルの長さが短い種類の犬の総称です。もともと犬はマズルがけっこう長い動物なのですが、人間が使役や愛玩など目的に合わせて品種改良をした結果、鼻の短かくなっていったのが短頭種と考えられています。
長・中頭種の犬に比べて歯の病気にかかりやすい形態的な特徴を持っています。

短頭種の代表的な犬種

ブルドッグフレンチブルドッグパグヨークシャーテリアボストンテリアボクサーシーズーチャウチャウ狆マルチーズチワワ

短頭種の口の特徴3つ

短頭種は鼻が短いため必然的に口も短く、長頭種にはない特徴があります。

1.受け口:アンダーバイト

ほとんどの短頭種は、下あごが上あごよりも長く、かみ合わせると下の前歯が上の前歯よりも前に出ます。いわゆる受け口です。アンダーショットやアンダーバイトとも呼ばれます。多くの短頭種ではこの状態が標準とされていて、度合いは犬種によって異なります。

受け口は短頭種にとっては遺伝的には正常なことで、病気ではありません。しかし、噛み合わせのズレがあまり大きすぎると、歯が歯肉を傷つけてしまったり、ひどい場合は、上の前歯が下の前歯の根元に絶えずあたっていることによって、下の歯のが折れてしまうこともあるのです。折れた場所が歯茎の中の歯根だと飼い主さんが気づきにくく、放置されてしまうことも。受け口の子は、短頭種でも去勢・避妊手術の時や予防接種の時に、必ず噛み合わせも獣医師にチェックしてもらいましょう。

2.すき間なく生える歯

犬の歯の総数は、哺乳類としては多いほうで42本もあります。基本的に体が小さかろうが大きかろうがどの犬も同じように42本生えます。短頭種の場合は、短くて小さな口のなかに42本の歯が詰め込まれるわけですから、ギチギチですき間がありません。特に、小臼歯(犬歯より奥の4本)同士のすき間は狭く、歯垢がとても溜まりやすい場所となっています。

また、短頭種の小型犬で多いのが乳歯遺残。生後7か月を過ぎても(永久歯が生えてきても)乳歯が抜けずに残っていることです。また、欠歯といって、歯の数が少ない子もいます。歯の数が違えば噛み合わせも悪くなってさらに歯垢が溜まりやすくなるので、丁寧なケアが必要です。

3.上あごの骨が大きく曲がっている

マズルが押しつぶされたような形で、上あごの骨が左右に大きくカーブしています。これが、頬が大きく張り出したように見えている理由です。このこと自体は病気でもなんでもありませんが、歯ブラシがなかなか届かないなど、歯のケアがしづらいあごのつくりとなっています。

短頭種と歯のケア

このように短頭種は生まれつきかみ合わせが悪い、歯のすき間がない、あごの骨が大きく湾曲している、といった特徴があるため、長・中頭種よりも、歯周病や口のトラブルのリスクが高いといえます。歯垢が溜まりやすいうえに、ケアしにくいからです。短頭種は口の中の粘膜も分厚くて、歯ブラシがなかなか歯の奥まで届きにくいのですが、頑張って、特に歯と歯のすき間がない小臼歯は念入りに磨いてください。歯ブラシを縦にし、ヘッドの角度を歯のすき間に合わせて少しずつ変えて1本ずつ丁寧に磨きましょう。また、乳歯の生え変わりが終わる時期やワクチンの予防接種に合わせて、動物病院で歯のかみ合わせチェック、歯周病のチェックを行うことをおすすめします。

まとめ

短頭種は見た目がユニークでとても愛嬌がありますし、可愛いですよね。実際人気で、これから飼うことを検討されているかたも多いと思います。しかし、もともとの犬の姿とはずいぶん違っているところもありますので、それだけ注意してケアしなければなりません。犬の体の特徴をよく知って、適切なお世話をしてあげてくださいね。


(博物館アドバイザー(元自然史博物館学芸員)提供:碇 京子)