テレビ画面の端っこにある小さな窓状のスペースを「ワイプ」と言う。ここでは、スタジオの出演者のVTRに対する反応などを見ることができるが、ここでのリアクションや発言の名人が矢口真里だ。3日にAbemaTV(アベマTV)で放送された『芸能義塾大学』で矢口は、若手女性芸能人5人に「ワイプ芸」のテクニックを教えた。生徒役は菊地亜美、北原里英、柴田あやな、Niki、山地まりの5人だ。矢口が紹介したテクは「VTRはあけのコメントを考えながら見る」である。矢口が語る。

「VTRがあけたら、司会者から感想を求められます。的確なコメントをした時にワンショットの大きな画面になったりもしますよね。VTRの中には30分ほどの長いものもありますし、驚きVTRを10本重ねたものとかもあります。長いVTRが終わった後のコメントの方が重要視されています。スタッフが触れてほしいのは、テロップが大きくなっているところです。そこって制作サイドからするといじってもらいたいところです。あとは、観覧席の人が盛り上がったところ。そこについて触れると、お客さんも同調してくれますね」

 矢口が気を使っているのは、たとえば「衝撃映像」や「爆笑映像」の10連発などがあった時の対応だ。多くの出演者は、記憶が鮮明な最後の方の映像についてコメントをするもの。だが、矢口は最初の方のVTRに関しコメントを言う。そうすればコメントがかぶらないし、「あぁ、あったね!」などと他の出演者が反応をしてくれる。

 この技はお笑い芸人が次々と登場し、ネタを披露するような番組でも使える。大体は最後に出た人について言及されるものだが、矢口は初期に登場した芸人についてコメントをする。それにより、とある芸人からは数年後「あの時はありがとう」と感謝されたこともあるそうだ。

 そして、かなり重要なのが長時間の収録の終盤でも集中力を切らさず真剣にVTRを見てコメントをすることだ。3時間番組の場合はその倍の時間はスタジオにいる。最後の方は皆疲労困憊で、もう帰りたいような空気が漂うが、矢口は最後まで気合を入れている。それをディレクターはきちんと見ており「あの子はいい」と思ってくれるのだ。そのためには休憩時間にチョコレート等で糖分を補給すべきだと語った。ワイプに使う場合は、元気な表情をしてる人にカメラが行くため、ワイプに映るドンピシャのタイミングよりも、カメラが回っている間ずっと元気な様子を見せた方がいい。

 そして、もう一つのテクニックが「真剣な顔とニコニコ顔を瞬時に使い分ける」である。番組では楽し気なラップの後、死刑宣告に関するテーマになったりする。

「表情がこわばるほどのものが時々ドーンと来るんです。すぐに顔が変わると、制作は『あっ、集中してみてる』と思ってくれるんですよ」(矢口)

 神妙な感じを表すには、頷いたりするのが効果的。顔の表情だけを動かすと面白顔になってしまうこともあるので、頭の動きも含めた方が良い。また、苦手なものが出てきた時の対応をどうするかという問題もある。

 たとえば、猫は一般的にかわいいとされているが、猫が苦手な人もいる。菊地はそういったタイプなのだが、心から「かわいい〜」とは言えない。その時は仕草に目線を持っていくと問題が解決する。猫を褒めるのではなく、「あっ、眠たそう」「ケンカしちゃってる、やめてぇ」などと発言するのである。

 食べ物VTRが続くのも出演者にとってはきついが、味について言及するのではなく「今度行ってみよう」などと、わざとらしくなくマイクに乗せるのが良い。さらには料理だと盛り付けに驚いたり、店員がカッコイイなど、違う方向から攻めるのも差別化ポイント。

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