パンダのロゴでおなじみのWWF(World Wide for Nature:世界自然保護基金)。世界最大規模の自然環境保護団体の広告には、古今東西を問わず素晴らしいアイディアをベースにした表現が多く見られる。

クリエイティビティとメッセージ性のマッチした、これらの作品のように。

若手クリエイターの登竜門
学生たちも積極参加

WWFなどのクライアントは、Public Service Announcement(公共広告)と言われる分野に属していて、世界各国のクリエイティブに携わる人々から熱い支持を受けている。それには、2つの理由が。

1つ目は、クライアントの表現に対する自由度が高いこと。うるさいクライアントに悩まされるクリエイターたちにとって、これはご馳走そのもの。2つ目は、公共広告は社会的に注目されやすく広告賞などの受賞に結びつきやすいことが挙げられる。

公共機関は、広告費に出費する予算が多く取れず、クリエイターたちはバーターで協力をするケースが多い。若手のクリエイターにとってみれば、賞レースの一環なので積極的に制作をするという裏話もある。

さて、以下の4枚のプリント広告。どこの広告代理店が仕掛けたのかと思って調べてみたら、米国にある企業広告の専門学校MIAMI AD SCHOOL / ESPMの学生たちだったから、ちょっと驚き。

広告のつくりは、ワンビジュアル、ワンラインとシンプル。だが、“TOO FRAGILE FOR HUMAN GREED”(人間の強欲を満たすためには、脆すぎる)というメッセージは、バルーンに迫る釣り針や、ライターの火、有刺鉄線といったビジュアルと絡ませることで、説得力をもたせている。

一連のシリーズでは、上から順に「違法漁業」「森林火災」「地球温暖化」「生息地の消失」を表現しているそうだ。

実際に広告を制作した学生チームに質問をしてみた。

Q:アイディアのきっかけは?

A:授業で、ブランドや商品のプリント広告を制作する機会がありました。自然界における絶滅問題を扱って人々に気づきを与えたかったんです。そこで、人々の関心を引く、強いビジュアルとメッセージを組み合わせようと考えました。

Q:広告が出稿された後の人々の感想は?

A:メッセージはちゃんと理解されて、多くの人々が共感してくれたと思います。でも、中にはフォトショップを使っただけみたいな反応も。それでも、モチーフを動物にこだわったことは一定の評価をもらえたと思っています。

Q:ところで、広告賞への応募はしたの?

A:Wave Fastival(ラテンアメリカの広告祭)には、提出しました。結構、反響はよくて、手応えを感じています。今後、どの広告賞に送るかはリサーチ中です。

言わずもがな、広告業界におけるアメリカのクリエイティビティと、その地位はかなり高い。改めて、クリエイターの層の厚さや底力を感じた。

Licensed material used with permission by Miami Ad School