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カジノを中心とした統合型リゾート施設(IR)の実現に向けた「特定複合観光施設区域整備推進本部」(IR整備推進本部)が8月1日、首相官邸で開かれ、有識者会議である「特定複合観光施設区域整備推進会議」(IR推進会議)の議長の山内弘隆一橋大学教授が、IRの制度設計をまとめた報告書を安倍晋三首相に提出した。報告書は同日中にパブリックコメントに付され(期限は8月31日)、8月後半には全国各地で公聴会が実施される。

報告書によると、観光振興につなげるため、IR施設に国際会議場やホテル、劇場などの設置を義務付け、ギャンブル依存症対策として、入場回数に上限をもうける。また、暴力団対策などのために、カジノは免許制として、更新を義務付ける。

この報告書をもとにしたIR実施法案を政府は今秋の臨時国会に提出する方針で、成立後、2〜3か所を選定する見込みだ。カジノ解禁に向けて賛否が割れる中、今回の報告書のポイントはどこにあるのか。有識者会議(特定複合観光施設区域整備推進会議)の委員として報告書の作成にかかわった渡邉雅之弁護士に聞いた。

●カジノ規制、必要不可欠なもの

報告書において、IR実施法案は、単にカジノの設置目指すものではなく、世界で初めてIR(統合型リゾート)の設置目指すものとされています(Not a Casino, but an IR)。日本型IRは、(1)世界で勝ち抜くMICE (会議・研修、招待旅行、国際会議・学術会議、展示会等)ビジネスの確立、(2)滞在型観光モデルの確立、(3)世界に向けた日本の魅力発信という公益の実現を目指すものです。

報告書は、IR実施法案において世界最高水準のカジノ規制を講ずることを求めています。具体的には、ネバダ州やシンガポールと同様に事業者や機器製造業者等の参入時の厳格な背面調査を実施すると共に、シンガポールと同様にカジノ施設面積規制、マイナンバーカード等の提示、入場料の徴収をすることとしています。

また、日本人又は外国人居住者に対して、長期(1か月程度)及び短期(1週間程度)の入場回数制限を求め、こららの者がクレジットカードを利用してチップを購入することを制限し、暴力団員の入場禁止や、入場時に反社会的勢力でないことの誓約を求めるなど日本独自の規制も導入することにしています。

事業者からは、入場時のマイナンバーカードの提示やカジノ施設の面積規制など厳しすぎるとの意見もありますが、これらの規制は、日本初の民設民営カジノについて刑法の賭博罪との関係で違法性阻却をするために必要不可欠なものです。

(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
渡邉 雅之(わたなべ・まさゆき)弁護士
東京大学法学部卒業。第二東京弁護士会。金融規制法・コンプライアンス業務、カジノ規制、民暴・マネロン対策など。
事務所名:弁護士法人三宅法律事務所東京事務所
事務所URL:http://www.miyake.gr.jp/