変わる米国の家族、専業主夫は2013年時点で200万人に

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世界は変化している。伝統的な男女の役割も同様だ。母親たちはもはや、エプロンにまとわりつく2人の子供たちの相手をしながらベーコンを焼かなくてもいいし、父親たちは必ずしも、そのベーコンを買うために働かなくてもいい。

有意義なキャリアを積みながら子供も持ちたいと考える女性たちは多い。また、子供の世話に専念することに違和感を持たない男性も増えている。さらに、米国の経済状況は多くのカップルに「非伝統的な」決断を強いてきた。

シンクタンクのアメリカ進歩センター(CAP)によると、2015年の調査では、子供を持つ女性たちのうち、42%が世帯の「唯一、または主な稼ぎ手」となっており、少なくとも世帯収入の50%を稼いでいた。また、22.4%の世帯は収入の25〜49%を母親が稼いでいた。これ以前の調査結果と比べて、働く母親とその賃金が世帯収入に占める割合は増加している。

米国勢調査局が「専業主夫」世帯を一つのカテゴリーに分類していないため明確なデータは得られていないものの、調査機関ピュー・リサーチ・センターが2013年に行った調査では、専業主夫として家事と子供の世話をする男性は200万人以上との結果が示された。さらに、創設から22年を迎えた非営利組織(NPO)の全米専業主夫ネットワーク(National At-Home Dad Network)によれば、積極的に(少なくとも週に1日は)子供の世話をしているという父親は、2011年の調査で700万人に上っている。

重要な点は、専業主夫を選ぶ男性が増加している背景には、子供と接する時間をより多く持ちたいという男性が増えているという理由だけではなく、経済的な問題もあったということだ。

米国では不況の打撃を大きく受け、父親と母親がそろって妥当な収入を得られる仕事に就けない、あるいはそうでない働き口さえ見つからないという世帯も多かった。子供の教育にかかる費用が高騰したことも、多くのカップルが共働きで子育てをすることの費用対効果を考え直すきっかけになった。

男性の「エゴ」に問題は?

子供の世話をするという役割は、父親たちの「男性としての自尊心」に致命的な打撃とはならないのだろうか。おむつを替えたり、取締役会の会議に出席する妻が急いで出かける前に搾乳した母乳を哺乳瓶に入れたりすることは、男性のテストステロン(男性ホルモン)のレベルを下げたりはしないのだろうか?

もし家庭でこうした役割を担う男性がそう感じているなら、それは妻やパートナー、専門家に相談すべきことだ。そうした感情は、夫婦(パートナーとの)関係をむしばむ原因になり得るからだ。

さらに、前述のピュー・リサーチ・センターの調査結果は、「性別による役割分担がなくなりつつある一方で、専業主夫・主婦それぞれに対する一般的な見方は変わらない」と指摘している。

同調査では、自宅での子供の世話は母親がすべきと回答した人は51%に上ったものの、父親が世話をした方がいいと答えた人はわずか8%だった。また、全米専業主夫ネットワークによれば、自分が親として子供の面倒を「非常によく見ている」と答えた母親が51%であるのに対し、同様に自己評価する男性は39%だという。

変化する「家族」

1974年の国勢調査によると、子供がいる世帯の84%は父親と母親が結婚していた。1974 〜2015年の調査では、母親が一人で働き子育てをしている世帯の割合が14.6%から26.4%へとほぼ倍増。父親が一人で子育てする世帯もまた、1.4%から 8.1 %に増えた。そして、現在では子供のいる女性のおよそ70%が仕事を持っている。

これらは、米社会の大きな変化を示すものであり、今後も続いていく傾向だと見られている。米国のフェミニズム運動の第一人者であるグロリア・スタイネムは、「男性が女性と同じように子供の世話をし、女性が家庭の外でも男性と同様の活動ができるようになってはじめて、本当の変化が始まる」と述べている。