フェイスブックの洗脳広告「ダークアド」の不気味さ

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フェイスブックの「ダークアド」(Dark Ad:特定の人格をターゲットにして扇動を図る政治広告)が、ユーザーの政治的スタンスに大きな影響を及ぼしている実態が、オンライン・プライバシー財団による調査で明らかになった。

オンライン・プライバシー財団の共同設立者で、リサーチディレクターを務めるクリス・サマーは、英紙ガーディアンの取材で「サイコグラフィック・プロファイリング」(人格によってプロファイリングする広告手法)が選挙に及ぼす影響について大きな懸念を示した。

「調査結果は、我々の想定した通りだった。サイコグラフィック・プロファイリングによって勝利した側は問題ないと主張し、敗北した側は大きな問題だと主張するだろう」とサマーは言う。

サイコグラフィック・プロファイリングを選挙運動に活用する企業としては「Cambridge Analytica」や「Aggregate IQ」などが有名だ。スタンフォード大学のマイケル・コジンスキー教授も、その危険性を認めている。コジンスキーは、ケンブリッジ大学博士課程に在籍中の2012年に、フェイスブック上で性格判定クイズを実施した。

研究チームは、被験者のフェイスブックページとテスト結果を照合して分析した結果、「いいね!」を10個調べればそのユーザーの人格を正確に判定することができるようになったという。コジンスキー教授はこの技術が悪用されることを懸念し、その危険性について警鐘を鳴らしてきた。

コジンスキー教授の不安は的中し、サイコグラフィック・プロファイリングは英国の総選挙やブレグジットを決めた国民投票、米国大統領選挙で利用された。英国の総選挙では、フェイスブックのダークアドに何百万ポンドもの資金が投じられたとされる。

フェイスブックは膨大な量のユーザー情報を保有している。また、昨今はスマートスピーカーの普及で個人情報の取得が容易になっている。こうした環境に加え、サイコグラフィック・プロファイリングは低いリスクで大きなリターンを得ることができるため、今後ますます多用されることが予想される。

現状では、誰でも簡単に個人情報を収集し販売することができ、取り締まるのは非常に困難だ。また、人々は自分の個人情報が何に利用されているかを知らず、気軽に情報を提供してしまう。こうした状況が続く限り、サイコグラフィック・プロファイリングは行われ続け、ダークアドによって人々が無意識のうちに扇動されてしまうリスクは残り続ける。