2017-0804
新興諸国の経済発展と、一部の国による軍事面も含めた意欲的・積極的・高圧的な外交施策に伴い、東アジアの緊張はこれまでに無い高まりを示している。その動向は対岸の火事ではなく、日本自身にも大きな影響を及ぼす、さらには関係のある事案も多数含まれており、一人一人が情報の収集に興味関心を持つのは当然の話。今回は総務省が2017年7月7日に情報通信政策研究所の調査結果として発表した「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の公開値を基に、この東アジアの外交問題に関するニュースを取得する際に、主要メディアは情報源としてどれほど信頼されているのかについて確認していくことにする(【発表リリース掲載ページ:研究成果-調査研究報告書】)。

全体的には新聞が一番、テレビが二番


調査要項などは今調査に関する先行記事【主要メディアの利用時間をグラフ化してみる】、信頼度などの計算方法は【国内の政治や経済問題の情報源として、各メディアはどこまで信頼されているのだろうか】で確認のこと。信頼度は高い方が信頼されている、低い方が信頼されていない、1.50が信頼されている・されていないの境目がざっと見的な説明となる。また「東アジアの外交問題」に関しては回答用紙にそのままの表現で書かれており、具体的にどの国、どの場所、どのような事案を対象にしているかの説明は無い。その表現で回答者が想起できるものが対象となる。

まずは全体的な統計。やはり新聞への信頼度が一番高い。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(2016年、東アジアの外交問題)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(2016年、東アジアの外交問題)

興味深いのは新聞に続くテレビとラジオがほぼ同率となっていること。わずか0.01ポイントの差で誤差の範ちゅうであり、実質的には同じポジションにあると見てもよい。東アジアの外交問題に限れば、映像付きのテレビと、音声のみのラジオへの信頼度は変わりがないことになる。

またインターネットニュースサイトの値が高いのも特徴的。もっともそれ以外のインターネット系、ソーシャルメディアや動画共有サイト、ブログなどは押し並べて低い値。1.50が信頼できる・できないの境界線となるので、これらは全体としては「信頼できない」のらく印をおされていることになる。そして4マスの中では唯一雑誌もまた、「信頼できない」に分類されると判断できる。

属性別に見てみると……?


続いて各種属性別。まずは男女別。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(2016年、東アジアの外交問題)(性別)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(2016年、東アジアの外交問題)(性別)

ほとんどのメディアで男性よりも女性の方が高い信頼度を示している。他のニュース項目でも女性は高めの値が出ているが、東アジアの外交問題に関してもまた同様なのだろう。ただし他のニュースで見られた、雑誌やソーシャルメディアのような口コミ色の強いメディアで男女差が大きくなるような傾向は無い。やや雑誌が大きいように見える程度か。

続いて年齢階層別。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(2016年、東アジアの外交問題)(世代別)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(2016年、東アジアの外交問題)(世代別)

他の調査項目においてはインターネット系のメディアでは、高齢層ほど低い値を示す傾向があるが、今件ではソーシャルメディアは同様の動きがみられる。ただしそれ以外は傾向だった値動きがあるようには見えない。

他方4マスのうち雑誌以外、そしてインターネットニュースサイトは10代以外では、年齢階層による違いがみられない。東アジアの外交問題は4マスでは取り上げられる割合が一定量に限られ、年齢階層別の差異が出るほどの材料が取得できないからだろうか。

他方、先行する他の情報項目同様、東アジアの外交問題においても、10代は4マスとそれに深い関係があるインターネットニュースサイトに対し、他の年齢階層と比べて突出した高値、より強い信頼度を示している。それぞれのメディアに対する虚報・誤報など情報リスクとの対面経験がまだ浅いからなのだろう。

続いて就業形態別。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(2016年、東アジアの外交問題)(就業形態別)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(2016年、東アジアの外交問題)(就業形態別)

特に大きな、傾向だった動きは見られない。強いて言えばどのメディアに対してもパート・アルバイトは高め、無職は低めというところだろうか。学生・生徒は誤報などによるリスク体験が少ないことから高めの値を示しているものの、インターネットニュースサイトを除いたインターネット系サービスに関しては低い値に留まっている。4マスよりも利用経験が多いため、痛い目に会っている機会も多いのかもしれない。

最後は世帯年収別。

↑ 普段利用している情報源における信頼度(2016年、東アジアの外交問題)(世帯年収別)
↑ 普段利用している情報源における信頼度(2016年、東アジアの外交問題)(世帯年収別)

他の調査項目同様、大よそ高年収ほど4マスやそれに連動するインターネットニュースサイトへの信頼度は高く、インターネット系メディアへの値は低くなる。年収そのものが影響するのではなく、年収との連動性の高い年齢に、値が引っ張られているのだろう。



海外ニュース、特に東南アジア関連のニュースは、国内報道機関の報道においては、各社の、場合によっては記者のバイアスが反映されることがあり、外電の一次ソースや元となる公的機関の情報を確認すると、印象が大きく異なる、まったく別の実態だったとする事案が相当な頻度で生じている。他の項目と比べ、全体的に信頼度が低いのも、それが遠因だと考えられる。

もっとも、他の記事でも指摘しているが、あくまでもこれは一般論。結局のところ、それぞれのメディアを用いて情報を配信する、個々の企業・組織の特性・姿勢により、信頼度は大きく変わってくる。その見極めができないと、「テレビだから丸ごと信頼できる」「ネットだから全部うさんくさい」のような、仮の信頼度に右往左往してしまうことになるかもしれない。結局のところテレビもインターネットも、情報を伝達するツールでしかなく、その情報を信頼できるか否かは、配信側によるところが大きいことを忘れてはならない。