瓜田純士

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“元アウトローのカリスマ”こと作家の瓜田純士(37)が、森羅万象を批評する不定期連載。今回のお題は、大ヒット中の映画『銀魂』だ。「少年ジャンプ」(集英社)の元愛読者であり、主演の小栗旬のことも好きだという瓜田。作品のタイトルに合わせて、わざわざ髪の毛を銀色に染めて劇場入りしたが、鑑賞を終えるなり、「これはヒドい!」と吐き捨てた。

 2004年より少年ジャンプで連載が続く超人気漫画を、小栗旬、菅田将暉、橋本環奈、長澤まさみら豪華キャストで実写化した映画『銀魂』(福田雄一監督)。鑑賞当日、映画.comの注目作品ランキングで「1位」となっていたが、瓜田はこの作品のことをほぼ未知の状態で劇場に現れた。

「テレビのCMで何度か見たことあるけど、内容は全然知らないし、原作を読んだこともないですね。少年ジャンプは愛読してましたけど、それも小学生までの話ですから」

 とはいえ、この日を楽しみにしていたようだ。同伴者の奥様と共に、「サカゼン新宿店で買った」というお揃いのTシャツを着て来館。髪の毛の色が先月と変わっていることを指摘すると、瓜田は得意げにこう語った。

「『銀魂』というタイトルにちなんで、きのう、銀色に染めたんですよ。気分はすっかり小栗旬です」

 作品のことをよく知らずに、ここまで入れ込む男も珍しい。

【宇宙一バカな“侍映画”だ、このヤロー!!】【笑って、泣いて、アツくなる、天下無敵の痛快アクション・エンターテインメント!】そんなキャッチコピーが踊るポスターを見つめながら、瓜田はこう続ける。

「こういうアホくさい映画は案外、面白いかも。というか、せっかく2時間以上の時間を費やすんだから、面白くあってほしいですね」

 しかし、完全なる期待外れに終わったようだ。以下は、鑑賞後の瓜田夫妻へのインタビューである。

――いかがでしたでしょう?

瓜田純士(以下/純士) なんだ、これは……。あまりにもヒドいな。筆舌に尽くし難いヒドさです。

――序盤、奥様の笑い声がたびたび聞こえてきたので、旦那様も一緒に楽しんでいるのかと思ったのですが。

純士 ウチの嫁はどんな状況でも最後まで楽しもうという性格なんですよ。でも俺は途中で何度も眠りそうになった。その都度、嫁に揺り起こされて、なんとか最後まで耐えましたが、いやぁ、今回ばかりはキツかったです。マジで……。

――何がキツかったですか?

純士 いろいろあるけど、まずギャグですね。なんの前情報もなしに来たから違ってたらすいませんが、たぶんこれ、原作がギャグ漫画タッチだと思うんですよ。ギャグって、文化や世代が違うとまったく理解できないもんじゃないですか。たとえば、アキラ100%みたいなのは万国共通でわかるけど、こういうギャグって、そうじゃない。ちょっと前にマレーシアへ行ったときにホテルでテレビを見たら、向こうのダチョウ倶楽部みたいなやつらが出てきて何をしてるんだかさっぱりわからないことをやって客が大爆笑してて、それを俺は冷めた目でジーッと見てた。そのときと同じ心境ですね。まったくわからないんですよ。一緒になって楽しみたいのに、ついていけないんですよ。

――でも場内のあちこちから笑い声が聞こえてきました。

純士 イケメン好きのバカどもは、お目当ての俳優が何をやっても笑うんですよ。だけど俺はノンケの野郎じゃないですか。キツいっすよ、正直。たとえば超絶イケメンの、まぁ俺以外の、瓜田純士以外の超絶スタイルよくて超絶イケメンのやつらが3人集まっておでん芸をやって、「アチー!」なんて言ったって、まったく面白くないでしょう。あれ、腹が出ててブサイクなダチョウ倶楽部がやるから超面白いんですよ。

――確かに。

純士 でも出てる演者さんたちには、まったくもって非はないです。心の中では「つまんねえ」と思いつつも、彼ら彼女らは渡された台本通りに頑張って仕事をこなしてるわけじゃないですか。立派なもんだと思います。

――それは皮肉ですか?

純士 いや、本音です。普通、こんな仕事を依頼されたら、原作のファンでもない限り、逃げ出したくなりますよ。それを引き受けたプロの俳優陣は本当に立派。昔の俺なら、開始1分で帰ったでしょうが、今は違う。仕事だから仕方なく100パーセントの力で演じ切ったあの人たちは超すごい人たちじゃないですか。生き方として格好いい。嫌なことでもああやって甘んじて受け入れて、それを「面白い」に変えて楽しんでる人たちを尊敬できるし、こっちもそれに対して失礼がないように最後まで見届けないといけない。

――なるほど……。

純士 それは、嫁から学んだ精神です。でも今回ばかりは、その精神が崩壊しそうになりました。せっかく見てるんだから理解したいんですよ。でも悔しいことに、理解しようがない。たぶん書き手のセンスみたいなもんが、俺とはまったく違うんでしょう。

――奥様は、けっこう笑っていましたよね。

瓜田麗子(以下/麗子) 私は小洒落たギャグが好きやし、橋本環奈も可愛かったので、ストーリーはわからなくてもそこそこ楽しめました。でも、お金を払ってまで見るようなもんでもないかな、というのが正直な感想ですね。

純士 間(ま)が、あれに近いよな。俺の嫌いな『おそ松さん』に(記事参照)。あと、auのCMにも近い。あの三太郎が出てくるCMが今、一番人気あるらしいじゃないですか。今の子たちは、ああいう間が好きなんでしょう。何が面白いのか俺にはさっぱりだけど。

――ギャグ以外の不満点は?

純士 役者陣のボディですね。菜々緒なんかテレビで見る限り、一流モデル扱いでチヤホヤされてるけど、あれで「スタイルがいい」っていうんなら、ヴィクシーのモデルたちはどうなるんだ、と言いたいです。世界基準で見たら、菜々緒はただの東洋人です。東洋人で本当にスタイルいいのは、冨永愛かウチの嫁ぐらいのもんですよ。

麗子 えっ!?(と言って顔を赤らめる)

純士 俺みたいなリアルフィギュア、俺みたいな歩くマネキンから言わせてもらうと、菜々緒は背が高くて細いだけ。小6女子のお腹ですよ。あんな上野の膝枕耳かき嬢みたいな、腹出し衣装を着るほどの腹筋じゃない。もっともっと鍛えてから出てこないと。

――あれ以上絞りようがないと思いますが……。

純士 いや、もっと割らないと。16パックとまでは言いませんが、6パックが見えるまで腹筋を割らないと。俺はスタローンのような高みを目指してますから、ボディメイクには滅法厳しいんですよ。スタイルという観点から見て、全体的にキャスティングミスも目立ちましたね。チビな橋本環奈に対し、菜々緒の背が高すぎるから、バトルシーンなのに、子どもと大人が遊んでるようにしか見えない。男もそう。小栗旬は背が高くてスラッとしてるのに、堂本剛がちっちゃすぎて、好敵手に見えないんですよ。

麗子 堂本剛って演技力あるから好きやけど、ちょっとゲイっぽいな。終盤、小栗旬と揉みくちゃになって倒れたとき、小栗はずっとガニ股でのたうち回っとったけど、剛は内股で「いやんっ(ハート)」みたいな感じでうごめいてて、2人はまるでコトを終えたばかりのカップルみたいやったな。

純士 そんなところに目がいくってことは、真剣なバトルとして成立してない証拠でしょ。以前、佐藤健主演の『るろうに剣心』って映画を見たんですけど、あれはキャスティングが成功してたと思うんです。どの登場人物も違和感なかったし、世界観がちゃんとできてた。作品の世界観を保つためには、背格好だったり、出てる人たちの年齢層も重要になってくると思う。その点、『銀魂』は真選組も、小栗を基準にするとみんなちっちゃいから子どもに見えるし、学芸会みたいになっちゃう。だったらいっそのこと、主人公をちっちゃいやつにすりゃよかったのに。そうすりゃ周りが脅威的な敵に見えるのに。そんなことを思いながら見てました。

――小栗旬って、身長はどれくらいあるんですかね?

純士 184cmですね。俺より1cm高いです。

――詳しいですね。なぜそんなことを知っているんですか?

純士 俺、小栗旬のこと、好きなんですよ。テレビで公安のドラマ(『CRISIS』)を見て、「こいつ、めちゃくちゃ格好いいな。誰だ?」と思って調べたら、小栗旬だった。それまでは、チビのくせにイキって不良役とかやってる大根役者だと思ってたんだけど、そのドラマを見て好きになり、正しい身長も調べて知ったんです。だから今日も他の役者にはあんまり目がいかず、小栗だけを見てた感じでした。

――小栗旬のどこが好きなんですか?

純士 まず、声ですね。いい男の声なんですよ。あとはスタイルと雰囲気もいい。独特の色気を放ってますね。

麗子 ちょっと純士の声にも似てるな。

純士 そう。背が高いイケメン特有の声。反町隆史、藤原竜也、江口洋介、阿部寛なんかも同類かな。

――奥様は、小栗旬を格好いいと思いますか?

麗子 う〜ん……私にとっては旦那の純士がズバ抜けて格好いい存在やから、他の男を見てもなんとも思わへんなぁ。

純士 (誇らしげな顔で)キング・オブ・イケメンは俺ですから。申し訳ないけど、小栗くんでは勝ち目がない。それは仕方がない。

――夫婦で褒め合って気持ちよくなるのはいい加減にして、他の役者陣の評価をお聞かせください。菅田将暉はどうでしたか?

純士 吉野家のキャンペーンボーイですよね。いつになったら出てくるんだと思ってたんですけど、最後のクレジットを見て、やっとわかったんですよ。ああ、あのメガネか、と。最初、芸人の小宮かと思いましたよ(笑)。まぁそれだけ俺の目を欺いたんだから、役者としては一流なのかもしれないけど、イケメンかどうかは評価が分かれるところでしょう。

麗子 今どきの男前、流行りの男前、って感じやな。

純士 CMとかに出続けると、それが一番格好いい男になっちゃうという好例なんじゃないでしょうか。

――奥様は気に入ったという橋本環奈。旦那様はどう思いましたか?

純士 あの子の芝居はよかったです。あの子が殴ったり蹴ったりすると決まる。菜々緒が大根に見えましたから。

――さっきから菜々緒に厳しいですが、もしかして瓜田さん、菜々緒のことが逆に好きなんじゃないですか?

純士 ふっ、そんなんじゃありませんよ。ただ、同じフォースを感じるんですよ。ボディメイクのライバルでもありますからね。

――長澤まさみはいかがでしょう? 太ももを披露していましたが。

麗子 えっ? 出てました?

純士 小栗旬の看病をしながら、少年ジャンプを読み上げてた子いるじゃん。あれが長澤まさみだよ。

麗子 誰この色っぽい人? と思ってたんやけど、長澤まさみやとは気ぃつけへんかった。えらい雰囲気が変わったなぁ。

――漫画の実写化が相次いでいますが、それについて思うことは?

純士 原作を知らなくても楽しめる内容であれば、どんどん実写化すればいいんじゃないですか? ただ、今作みたいに、犬だか猫だかよくわかんない巨大キャラ(定春)とか、Q太郎みたいな着ぐるみキャラ(エリザベス)が、実写の人物と混在すると、どうしたって違和感は出ますよね。その違和感を作中では開き直ってギャグにしてましたけど、それにしたって苦しいですよ。

――ああいう謎のキャラクターが、ファンにはたまらないんですかね?

純士 俺にもオタクの友人や知人がいるんですよ。その人たちの話を聞いてると、オタクが面白いと思う漫画とかって、必ずポケモンみたいに人物とキャラみたいなのがニコイチで出てくるんですって。今日みたいな変な犬猫とか、でかいカブト虫とか、ナウシカでいうと肩に乗ってるリスみないなやつ(テト)とか。そういう違和感のある演出がオタクは好きで、ああいうキャラを待ち受け画面にしたりするんです。その層でしょうね、『銀魂』が狙ってるのは。そんなことは重々承知の上で、今日はイチゲンなりに楽しもうと思ったのに、まったく楽しめませんでした。CGもただただウザいだけだったし。

――CG、ダメだったですか?

純士 俺ね、行きすぎたCGが嫌いなんですよ。CGなのかどうなのか一瞬わからないものは「おっ、今のすごくない!?」となるけど、実写なのに光線が飛び交ったりするのは興醒めなんですよ。それが『銀魂』は多すぎた。今日見た予告編の『東京喰種 トーキョーグール』も『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』もそうでした。漫画を実写化するってのはそういうことなんだろうし、これから先の映像作品はそれがエスカレートしてく一方なんでしょうね……。ここらでいっぺん、誰かが歯止めをかけてくれよ! と願います。ウルトラマンやスパイダーマンのCGは迫力あって好きだけど、生身の人間の貧弱なアクションをCGで誤魔化すのは、そろそろナシにしていただきたい。それよりも体をバキバキに鍛えてくれよ、と。

――今作の中で、気に入った点はありましたか?

純士 冒頭の江戸時代のデニーズみたいなところのシーンはよかったです。お、このまま面白くなるのか? と期待しましたが、残念ながらあそこがピークでした。

――それでは最後に、今作を総括してください。

純士 小学生のとき俺、ドラゴンボールがすごい好きで、近所のコンビニに行ったら、ドラゴンボールの悟空とかが表紙になってるファミカセが売ってたんですよ。しかも確か2,000円台という信じられない安さだったから、飛びついて買ったわけです。そしたらそれね、「ファミコンジャンプ」って商品で、少年ジャンプに出てくる主要なキャラ全員集合みたいな、ゲーム会社が遊び心で作ったものだったんです。それを知ったときのガッカリ感が、今回の映画とものすごく似てるな、と思いました。

――と、申しますと?

純士 全部の売れてるキャラがごちゃ混ぜになって、妙なウケ狙いをしてる商品だったんですよ。悟空やブルマが出てきたのはいいけど、キャプテン翼とかキン肉マンとか、ついでにとんちんかんの抜作とかまで出てきて、変なギャグを言ったりして。ドラゴンボールを純粋に楽しみにしてた俺としては、そんなお祭りみたいにいろんなもんを詰め込まれてハシャがれても、なんにも面白くない。『銀魂』はまさに、「ファミコンジャンプ」ですよ。

――瓜田さんにも、そんな可愛いらしい時代があったんですね。

純士 ありましたよ。ファミカセに息を「フーッ」とかやってましたもん(笑)。

(取材・文=岡林敬太/撮影=おひよ)


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