モスクワ国際バレエコンクールの男性シニア部門で金賞を受賞した大川航矢(右)と、女性シニア部門で銅賞を受賞した寺田翠(寺河内美奈撮影)

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 6月の第13回モスクワ国際バレエコンクールの男性シニア部門で、大川航矢(25)が日本人として2人目となる金賞を受賞した。

 さらに大川と組んで踊った寺田翠(25)も、女性シニア部門の銅賞に。バレエの本場、ロシア最難関のコンクールで評価された2人が7月に帰国し、大会を振り返った。(飯塚友子)

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 同コンクールは、ロシア文化省が1969年から4年に1度開催。ブルガリアのバルナ国際、米ジャクソン国際と並ぶ世界最難関の大会で、日本人がシニア部門で金賞を受賞するのは、ボリショイ・バレエの第一ソリストだった岩田守弘(1993年)以来、24年ぶりの快挙だ。

 大川は「出場には年齢制限(26歳以下)があり、今回が最後の出場チャンス。集大成にしようと目標にしてきたので、金賞は光栄」と笑顔を見せる。寺田とは公私にわたるパートナーで、ともにロシア中部カザンにあるタタールスタン国立ロシアカザン歌劇場バレエ団のソリストとして活躍している。

 10日間にわたるコンクール期間中は、現代舞踊を含め連日、審査とリハーサルが続いた。「精神的にも肉体的にもハードでした」と寺田。それだけに、最終審査で2人が「ダイアナとアクティオン」を踊り終え、観客の鳴りやまぬ拍手を聞いたとき、「憧れ続けたロシアで一番大きなコンクール。受け入れられたと感じ、うれしかった」と振り返る。

 「ダイアナ−」はギリシャ神話がモチーフ。大川のダイナミックかつ鮮やかな跳躍と、寺田の優美でまろやかな動き、そして2人の息の合ったコンビネーションが、目の肥えた観客と審査員の心を動かした。

 過去に同コンクールの審査員を務めた日本バレエ協会の薄井憲二前会長は2人の受賞について、「普段ロシアの歌劇場で全幕作品を踊る2人の受賞は、技術に加え、プロの舞踊家としての表現力も高く評価されたことを意味する。権威ある大会で、受賞は大変なこと」と賛辞を惜しまない。

 2人はかつてウクライナ国立オデッサ歌劇場バレエ団に所属し、主役ペアとして活躍していた。しかし、ウクライナ危機の影響で就労ビザが下りず、突然、移籍を余儀なくされる苦労も味わった。だが受賞に力を得て、「踊りの幅を広げたい」(大川)「現代舞踊にも挑戦したい」(寺田)と一層の飛躍を目指す。

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【プロフィル】大川航矢

 おおかわ・こうや 平成4年、青森市出身。2007年、ボリショイバレエ学校に留学。11年、ウクライナ国立オデッサ歌劇場バレエ団に入団、プリンシパル(最高位ダンサー)に。14年からタタールスタン国立ロシアカザン歌劇場バレエ団。

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【プロフィル】寺田翠

 てらだ・みどり 平成4年、大阪府豊中市出身。3歳でバレエを始め、2008年、ボリショイバレエ学校に留学。11年、ウクライナ国立オデッサ歌劇場バレエ団に入団。14年からタタールスタン国立ロシアカザン歌劇場バレエ団。