木曜ドラマ『黒革の手帖』|テレビ朝日公式サイトより

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 武井咲(23)主演のドラマ『黒革の手帖』(テレビ朝日系)第3話の平均視聴率が10.9%だったことが分かった。初回から好スタートを切り、第2話ではさらにそれを上回る視聴率をたたき出したのも束の間、1.4ポイントも視聴率が下がってしまった原因は、主演の武井に原因がありそうだ。

 もともと今作品は、松本清張の長編小説『黒革の手帖』を原作としドラマでは5回目となるリメイク作品。また、主演の武井が“初”の悪女役を演じるとあって注目を集めていたドラマだ。そのため、前回までは「意外に悪役もイケる」という声も多く、武井の出世作品になるとの期待も高まっていた。

 しかし前回までは、イイと感じていた「上品さの中にある冷静沈着で腹黒い」悪女という演技も、実はただ演技力がないだけということが分かってしまった。思い起こせば、前回出演していた『貴族探偵』もその前の出演作『せいせいするほど、愛してる』も、悪女ではないものの武井は上品な女性を演じてきている。比べてみれば分かるが、どの作品でも話し方は全く同じ、まとっている雰囲気さえも同じだ。

 銀行員からママに転身するまでの時期やママになって間もない頃を演じるには、“内に秘めた腹黒さと、人を見下したような演技だけ”でよかったのかもしれないが、やはり修羅場を演じるには迫力さが圧倒的に欠けている。

 視聴率ダウンの原因は、そもそものストーリーに山場がなかったのも原因の一つといえるが、しいてあげるとするなら今回の山場は銀行員時代の上司・村井(滝藤賢一)が乗り込んできて原口の首を絞めるシーンだろう。血走った目で唐突に悲劇が訪れた自分を嘆き原口をののしる滝藤に対し、武井はただ早口でセリフを言うだけ。殺されるかもしれないという緊迫したシーンにも関わらず、声も出ていなければ、武井には全くの緊張感もない。

 この後、たまたまクラブに来た政治秘書の安島(江口洋介)が助けに入るのだが、なぜか一緒に夜景を見ることになったシーンに、急に安っぽい恋愛ドラマに変わったのかと思ってしまった。

 往年の『黒革の手帖』ファンや米倉時代のドラマファンからは「武井が演じるには若すぎる」「迫力がなさすぎる」とさんざん言われていただけに、やっぱりか…という結果になってしまったのは残念としか言いようがない。

 また、第3話では前回まで脇で活躍していた波子(仲里依紗)や中岡市子(高畑順子)、銀座クラブ「燭台」のママ(真矢ミキ)、楢原(奥田瑛二)の出番が少なかったこともドラマの質が落ちた原因だろう。結局、武井一人では『黒革の手帖』が持つ貫禄には太刀打ちできないことが露呈してしまった。

 もし、次回からも視聴率が下降の一途をたどるようであれば武井に後はない。今作品を出世作とするどころか、今回で主演ドラマが最後ということにならないようにぜひ奮闘してほしいものだ。

文・吉本あや