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もくじ

前編
ー2台の合言葉は「驚異」
ーRS5、いまやGT-R超え?
ーGT-Rの内装「時代遅れ」問題
ーGT-RとRS5 意外な共通点

後編
ーGT-Rで山を攻めてみる(8月6日公開予定)
ー高性能車と傑作の違い(8月6日公開予定)
ー追うRS5 逃げるGT-R(8月6日公開予定)
ー浮き彫りになった、ふたつのこと(8月6日公開予定)

2台の合言葉は「驚異」

アウディRS5と日産GT-R。この2台での比較テストは、王道とはいえないマッチメイクかもしれないが、その組み合わせにはいくつかの理由がある。

まず、どちらも4WDの高性能クーペだ。

つぎに、いずれもV6ツインターボにパドルシフトのトランスミッションを組み合わせる。

そして、ベース価格こそ£61,015(888万円)のRS5は£83,875(1221万円)のGT-Rよりかなり低いが、試乗車の仕様ではその£20,000以上の差がほぼ埋まっている。

それ以上に比較の動機となったのは、この2台の存在意義が接近していることだ。

アウディはこれを歴代最もダイナミックなRS5だと主張し、日産は最終段階に差し掛かったGT-Rが最も扱いやすく装備も充実しているという。

さらに、どちらのクルマもひとつの言葉で言い表せる。

「驚異」だ。

正直言って、われわれがこの2台をテストする理由は、アウディの新型車がどれほどの出来栄えなのかを確かめること。

1台を手に入れ、あらゆる道を、あらゆる天候の下で長く乗りつづけることはできるが、それではパフォーマンスカーとしての実力がどの程度なのか真に知ることはできない。

それを明らかにするには、実力を十分に発揮できるコースで、適切なライバルと対決させる必要がある。

RS5、いまやGT-R超え?

われわれにとって、最適なコースと思えるのはウェールズ北部、バラとフェスティニオグを結ぶB4391である。風光明媚なスノードニア国立公園を横切る直線道路は、速いクルマのテストにぴったりのコースだ。

RS5が今回のテストで恥ずかしくない結果に終われば、これが非常に高性能なパフォーマンス・クーペだと確信できる。

数年前なら、この対決を一笑に付しただろう。

しかし、インゴルシュタットは高性能車部門のアウディスポーツを本格展開するようになり、R8やTT RS、RS3が先代を凌ぐパフォーマンスを手に入れた。

それゆえ、最新モデルであるRS5も、GT-Rに脅威を与える存在となりえたのではないかと考えるに至ったのである。

駐車場に2台を並べると、アドバンテージがあるのは日産のほうだ。

アウディはよりクラシックなハンサムで、より円熟味を感じさせるが、ウイングやベントがアグレッシブなライバルと並ぶと、やや存在感が希薄になる。フェンダーがもう少し張り出していれば、もっと強くアピールできただろうが。(賛否両論あるはずだけど、少なくともこの手のクルマには、迫力を求めたい)

しかし、ドアを開ければその差は埋められる。

GT-Rの内装「時代遅れ」問題

RS5のデザインもクオリティも優れたキャビンに比べれば、GT-Rのインテリアは焚き木置き場か何かのように見えてしまう。

とはいえ、2017年モデルでは大幅にリフレッシュされた。ダッシュボードのデザインは大幅に改良され、スイッチ類も高級感を増した。特に金属製のヒーター調整スイッチは、これまでに使ったことがあるものの中でもとりわけ上等な部類に入る。

と、外見の存在感と内装のクオリティで点を分け合った2台だが、スペック表のデータはまるっきり異なるものだ。

GT-Rがより速くパワフルなのを売りにする一方、RS5はいかにも現代風である。

エンジンはV6ツインターボという形式こそ共通するが、かたや騒々しく大食らいの3.8ℓ、かたやダウンサイジング・コンセプトの2.9ℓなのだ。

つまりRS5は、トランスミッションこそDCTではないが、モダンなスーパークーペのフォーマットに則たものなのである。

GT-RとRS5 意外な共通点

各社のDCT離れが始まっているが、それはよりスムーズで軽量かつ安価なトルクコンバーターを用いても、超クイックな変速が可能になってきたから。RS5が積むのは、まさにそういったトランスミッションである。

対する日産は、10年前に当時最新のDCTを初めて搭載した世代のクルマ。

しかし乗ってみればわかるが、このふたつのギアボックス、フィーリングが不思議なくらい似通っている。

GT-Rの最高出力は、RS5のそれを120ps上回る570ps。対するRS5は、重量で100kgほど有利な1655kg。しかし、速さで互角というわけにはいかず、0-100km/h加速は2.8秒と圧倒的な数字を叩き出すGT-Rが、RS5に1秒以上の差をつけている。

登場からだいぶ経ったものの、GT-Rの走りはいまなおスリリングで独特の味がある。B4391のように眺めがよく走りやすい道を思い切り飛ばしたあとでは、クルマを降りてさえ飛び切りハイな気分がつづく。まるで、悪いクスリを3本くらい打ったように。

ボディのサイズもウェイトも大きいGT-Rは、ダルくて扱いにくいのではないかと想像するかもしれないが、100mも走れば、それがシャープで俊敏なものだと気付かされるのだった。

(後編につづく)