陸上自衛隊HPより

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◆「自衛隊ができない10のこと 09」

 北朝鮮がミサイル発射実験を繰り返す日本海。宮古島海峡上空を執拗に飛行する多数の中国空軍爆撃機。日本を取り巻く環境はさらに危機的な状況になってきています。報道されずお茶の間では話題にならないかもしれませんが、尖閣諸島沖の接続水域では、中国の武装した漁船や公船が我が物顔で溢れかえり、ほんの数隻の海上保安庁の巡視船と海上自衛隊の船が公船を追っかけまわしている状況と聞きます。

 それでも、我が国は防衛予算を先進諸国では標準のGDP比2%の予算にすら、遥か手が届かない現状です。人員も装備なく、継続しての戦闘能力をもたないままです。必要な予算がとれないため、削りに削った運用であちこちにひずみが出ています。

 予算拡大せずに応急的に人員不足に対処する方法として、「予備自衛官制度」があります。常勤の自衛官を増やせば固定費で人件費がかかりますが、常勤自衛官ですら必要な人数を確保できない状況です。非常事態に召集できる定期的に訓練を積んでいる元自衛官などで構成された予備自衛官を登録しておくことで、通常コストは安くおさえられ、イザというときに対処できると考えたわけです。

 予備自衛官制度は自衛隊退職者などのすでに能力のある人からの志願制度になります。予備自衛官のなかでとくに即応自衛官はもっとも練度が高く、防衛招集命令、治安招集命令等で召集を受けたときには出頭した日からそのまま自衛官となって職務を遂行することとなっています。

 普段は普通の会社員などの仕事をしていて、訓練出頭命令がでれば訓練に参加して技能を磨き、イザというときに対処する非常勤公務員の身分です。もちろん出頭時には訓練手当はでます。また、予備自衛官のなかでとくに出頭日数の長い即応自衛官を雇用する企業には1人につき月額4万2500円、年間合計51万円が給付されます。毎年30日間は出頭でいなくなる即応自衛官を雇用し支える企業への理解を求める給付制度です。しかし、やはり企業内では予備自衛官を「副業で時々仕事を休む人」とうがった見方をする人もいるようです。予備自衛官制度自体への広報もまだまだ足らず、誤解が生じ、雇用先企業でよく思われないことに彼らが苦悩する話もよく聞きます。

 予備自衛官の訓練のための出頭は副業ではありません。本業を犠牲にしても自衛官としての能力は訓練して維持しなければ危機に対処できないから参加するので、訓練手当は副業のような労働の対価とは違うはずです。この認識を間違ってはいけないのです。

 予備自衛官は非常勤の公務員ですから、予算に余裕があれば1人1着ずつ専用の制服1式が配られ、予備自衛官をやめる日まで大切に自分のやり方でメンテナンスをするのが妥当です。しかし、東日本大震災で大量の官製の制服を使い果たし、追加の制服を作る予算が自衛隊にはありません。急場をしのぐために非常勤の自衛官の制服は誰かの制服を貸与する形、もしくは共用させるという形をとるしかありません。

 予備自衛官は訓練に参加するとまず、貸与された制服一式のクリーニング代や消耗品代の徴収があります。訓練に必要なバンドエイドのような消耗品などを共同で自腹負担させる駐屯地も多いと聞きます。予備自衛官としての能力を維持する訓練が必要だから出頭しているのです。個人的な遊びやアルバイトではありませんが費用は自分負担なのです。訓練に参加すれば迷彩服は汚れます。その衣服のクリーニング代を予備自衛官が自腹で負担させることには疑問を感じます。クリーニング代が自腹になるので、予備自衛官たちは私物の迷彩服や帽子などを持ち込みます。私物であれば持ち帰って洗濯ができるからです。そもそも、軍隊はスパイが入り込まないために同じ服装で統一されるべきなのですが、予備自衛官の私物着用を部隊も容認しています。コスト削減のために原則を曲げる。これも本末転倒だと思います。