もう一度見直したいアナログの良さ 『大ラジカセ展〜shibuya extra 【since1968】〜』

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「ラジカセ」という言葉を聞いたとき、あなたの頭に浮かぶのはどんなことですか? テレビの音楽番組の録音に苦労したこと、大好きなミュージシャンの曲で自分だけのオリジナルカセットテープを作ったこと、深夜のラジオを"エアチェック"していたこと......。
8月14日(月)まで西武渋谷店で行われている『大ラジカセ展〜shibuya extra 【since1968】〜』は、そうしたノスタルジーに浸りたい人にも、そしてラジカセを知らない世代の人に対しても、アナログの魅力を伝えてくれる展覧会です。
「あのころ」に歓喜!? ラジカセ100台がお出迎え
会場には、さまざまな年代・種類のラジカセが並んでおり、グレーや黒を基調にした、がっしりとしたものから、赤や黄色など色もデザインもポップなスタイルのものまで、その総数は約100台。「これ、持ってた!」「懐かしい!」という声があちこちから聞こえてきそうです。
さらに、『大ラジカセ展』では、ラジカセだけでなく、当時を彩ったカセットテープや、テープとブックレットが一緒になった"カセットマガジン"、さらには「空耳アワー」でおなじみの安齋肇さんやモデル・歌手・タレントの三戸なつめさん、ミュージシャンの西寺郷太さんなどのカセットコレクションのコーナーもあります。水道橋博士さんは、師匠でもあるビートたけしさんがパーソナリティを務めていたラジオ『ビートたけしのオールナイトニッポン』をエアチェックしたテープを展示用として提供。どこで共感するかで、世代が分かれるところでしょう。

また、展示スペースの奥には、ラジカセがあった少年少女の部屋を再現。男子部屋は1968年、女子部屋は80年代の様子だそうですが、どちらにも"精一杯の自分らしさ"が感じられ、思わずその部屋にいる"あの子"を抱きしめたくなります。
この展覧会の監修をしているのは、日本唯一のラジカセ・家電蒐集家の松崎順一さん。松崎さんは、古い時代が舞台の映画やドラマに私物を貸し出したり、海外の美術館で日本の家電展示のキュレーターをしたりするなど、国内外で活躍されています。また、古い家電を見つけるためには海外に行くことも。必ずしもお目当てのものがあるとは限りませんが、「"ない"ということを知るのも大事」と松崎さんは語ります。
もう一度見直したい「ラジカセがあったころ」
今やラジオはradikoに、カセットテープはCDにとって代わりました。カセットテープのほうは、もはやCDでもなく、PCなどでダウンロードをするという"形のないもの"になっています。しかし、そのどちらもが、近年、見直されてきました。
ラジオは東北での震災以降に聞く人が増え、radikoを経て、ポケットラジオなどを買い求める人も少なくないようです。私もラジオはよく聞くほうですが、アナログなラジオのちょっとくぐもった音声には、人間味を感じ、パーソナリティとリスナーの距離の近さを感じています。カセットテープのほうも、最近は、プロのミュージシャンの中にあえてカセットで新譜を出す人たちが増えています。それにはいろいろな理由があるようですが、CDとは違う音の耳触りがいいのというのもあるかもしれません。
今はクリックひとつで何でも手に入り、音楽もラジオも簡単に聞けるようになりました。そのせいか、人の心も「0か1」というデジタルで動いているような気がします。『大ラジカセ展』はラジオを聞くにはアンテナの向きを変え、録音するには使う人の技術も必要だった(そしてそのどちらもいつも成功するとは限らなかった)、そんな心にゆとりがある時代を思い出させてくれる展覧会のような気がします。

大ラジカセ展〜shibuya extra 【since1968】〜会期:2017年8月14日(月)まで開催中時間:10時〜21時(日・祝〜20時)*最終日は17時閉場。入場受付は閉場の30分前まで会場:西武渋谷店A館7階特設会場住所:東京都渋谷区宇田川町21-1入場料:一般・大学生:500円(税込)、高校生以下無料、カセットテープ付き特別チケット1,000円(税込)