決勝で日ノ本学園に敗れた藤枝順心【写真:編集部】

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快進撃の前回女王が決勝で沈黙…指揮官「ラクな試合をしてきた分、難しくなった」

 全国高校総体(インターハイ)は4日、女子サッカー決勝で前回女王・藤枝順心(静岡)が日ノ本学園(兵庫)に0-1で敗れ、大会連覇を逃した。

 前回女王が、かつての女王に屈した。

 0-0で迎えた後半18分。右サイドから上がったクロスに日ノ本学園の渋川鈴菜(2年)に頭で決められ、先制ゴールを奪われた。以降、懸命に反攻に出たが、ゴールネットを揺らすことはできず。そのまま敗れた。

 多々良和之監督は「去年、優勝している分、悔しい。ただ、向こうもよく研究してきたし、お互いの良さを消す展開。それを相手が上回った。これまで相手にかけてきたプレッシャーを、かけられてしまった」とサバサバと敗戦を受け止めた。

 準決勝では星槎国際高湘南を相手に5得点で大勝。大会連覇に向け、視界良好と思われたが、強力な攻撃陣が沈黙し、完封負けという予期せぬ展開となった。

 その裏には、順風満帆であるがゆえの“誤算”があったという。

対照的だった勝ち上がり…準決は5-0で圧勝「向こうは苦しんできた分、慣れている」

 藤枝順心は1回戦で室蘭大谷(北海道)に3-0、準々決勝で明成(宮城)に4-0で快勝。準決勝も含め、無失点のまま勝ち進んできた。

「1、2試合目は力の差があった印象だし、主導権を握ったサッカーができた。昨日(星槎国際高湘南戦)が一番心配していたけど、相手の得意な攻撃を逆に守備に回して、点を取ることができた。そういう展開で来た中で、今日はパニックになっていたんじゃないかと思う」

 指揮官が話した言葉によれば、快勝続きはすなわち、接戦を演じてこなかったことを意味する。対照的に日ノ本学園は準決勝で終了間際に追いつかれながら、PK戦で決勝進出していた。

「向こうは苦しんできた分、こういう展開には慣れている。うちはラクな試合をしてきた分、急にレベルが上がって逆に難しくなってしまった」

 決勝にして、今大会初めて味わう膠着状態。70分間で打開することができず、その結果が「0-1」というスコアになって表れてしまった。

悔し涙をうれし涙へ…指揮官は雪辱に決意「もっともっと努力して、もっともっと成長を」

 しかし、相手は昨年、藤枝順心が破るまで第1回大会から4連覇を果たしてきた絶対的女王。決して、悲観する負けではない。

「昨日の試合後から言ってきたけど、決勝に進出したことだけで半分以上の目標は達成できた。あとは勝っても負けても思い切ってやろうと挑んで、その通りにできた。まだ(シーズンの)前半戦ですから」

 多々良監督の言葉通り、まだ日ノ本学園に再びリベンジに挑む機会は残されている。

「今回は相手が上回っていた。だけど、この悔しさを糧にして、もっともっと努力して、もっともっと成長したい。そして、冬の選手権に向けて頑張っていきます」

 そう言って指揮官は視線を上げた。

 表彰式。涙に暮れた選手たちは銀メダルを胸に提げたが、この涙にするつもりはない。冬、悔し涙をうれし涙に変えてみせる。