テレビ朝日系『黒革の手帖』番組公式サイトより

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 女優・武井咲が“銀座で1番若いママ”役を演じるドラマ『黒革の手帖』(テレビ朝日系)の第3話が放送され、平均視聴率10.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.4ポイント減となってしまいました。

 さて、その前回までのあらすじを少し。脱税している顧客の情報をメモした“黒革の手帖”を脅しのネタにして、派遣社員として働いていた東林銀行から1億8,000万円を横領し、その資金を元手に銀座でクラブ・カルネを開いた原口元子(武井咲)。前回、お金に困っているという銀行員時代の同僚・山田波子(仲里依紗)を店のホステスとして雇うことになりました。

 外見も内面も地味だった波子ですが、働き始めると一変。夜の仕事が性に合っていたらしく、瞬く間に売り上げを伸ばしていきます。そして、クラブの常連である楢林クリニック院長・楢林謙治(奥田瑛二)をパトロンにして、独立することを宣言。しかし、波子が出店しようとしているのは、元子の店と同じビルでした。

 恩を仇で返された元子は、妨害工作に打って出ます。実は、元子の持つ黒革の手帖には、楢林の名前も記されているんですね。さらに、楢林の愛人・中岡市子(高畑淳子)を味方につけ、脱税をバラすと脅して楢林に波子への出資をやめさせます。

 クラブ出店ができなくなり、元子に怒りを覚える波子。銀行を辞める直前の元子の不穏な様子を思い出し、探りを入れるべく銀行員時代の上司・村井亨(滝藤賢一)に会いに行きます。

 その村井は、黒革の手帖で脅されて元子の横領を許し、自身は責任を取らされて出世コースから外され給料はカット。元子が横領した金で店を開いたことを知り、怒りをたぎらせます。

 村井は営業中のカルネへ直接足を運び、元子に「100万円貸してくれ」と要求。応じない元子に業を煮やし、ネクタイで首を絞めて殺そうとするのですが、ここでタイミングよく現れた、クラブの常連客で衆議院議員秘書の安島富夫(江口洋介)に妨害され逃走。元子は危ういところで命をとりとめました。

 命の危険にさらされながらも、元子のお金への執着心が弱まることはありません。銀座で1番のクラブ・ルダンが売りに出されることを知り、その購入資金を得るために黒革の手帖から次なる獲物を探します。そして、そのターゲットに選ばれた大手予備校・上星ゼミナールの理事長・橋田常雄(高嶋政伸)がカルネに来店しところで第3話は終了となりました。

 さて、今回の感想。前回は、夜の蝶へと変貌していく波子の様子や、楢林、市子との三角関係がメインに描かれ、そのいざこざを陰で操っていた元子は、主役ながらもどこか蚊帳の外といった印象でした。

 しかし、今回は再び、元子にスポットライトが戻りました。特に印象的だったのは、楢林とヨリを戻した市子との会話シーンです。元子は、父親が遺した借金返済で母親が苦労する姿を嫌というほど見てきたため、男の犠牲になる女に共感できないのです。

 そのため、楢林のもとへ戻った市子に対して元子は、嘲笑ともとれるような態度を見せてしまいます。それにムッとした市子は、「元子さん、今、幸せ?」と切り出し、男女の幸不幸は当事者たちしかわからないこと、借金返済に苦しみながらも元子の母親もきっと幸せだったことなどを語るのです。しかし、幼少期の苦労で“お金こそすべて”という価値観をもつ元子の心には、愛だの恋だのという市子の話はまったく響きません。

 また、元子が安島に対して、「誰よりたくさんお金を手にして、お金を支配したいんです」と言うシーンもありました。元子がお金に苦労したという情報は初回から明かされていましたが、今回は特にそれを強調するシーンが目立ちました。これは、今後ますますお金にがめつくなっていく元子を描くための布石だったのでしょう。

 原作の元子は30代半ばという設定で、銀行内での肩身の狭さや不満が募った挙句に大金を横領。今まで自分に見向きもしなかった男たちへの復讐心が、銀座でのし上がっていく原動力になっていました。しかし、ドラマ版では20代前半という設定になったため、お金に執着する動機を変える必然性があった。今回は、その動機を明らかにすることにシーンを費やす回となったようです。

 育った環境やお金への考え方が違うことで、元子の人間性は原作とは異なったものになるはず。基本的なストーリーラインは寄り添いつつも、キャラクター的には今後ドラマならではのオリジナル性が発揮されていくことになるのではないでしょうか。

 さて、次回は、橋田が隠し持つ預金3億円をターゲットにするということで、ますます悪女になっていくであろう元子に目が離せません。
(文=大羽鴨乃)