熊澤のゴールが流経大柏をインターハイ優勝に導いた【写真:編集部】

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途中出場の2年生MF熊澤、終了間際に決勝ゴール「絶対に点を決めると思っていた」

 全国高校総体(インターハイ)は4日、男子サッカー決勝で流通経大柏(千葉)が日大藤沢(神奈川)を1-0で下し、9年ぶり2度目の優勝を決めた。前半は決め手を欠きながら、後半31分にMF熊澤和希(2年)が値千金の決勝ゴール。名将・本田裕一郎監督は「私の采配ミスがあった」と言いながら、後半から途中出場した“当落線の男”が日本一に導く大仕事を果たした。

 無我夢中で右足を振り抜いた。

 後半31分。熊澤はスローインからペナルティエリア内でボールを受けると、胸トラップし、ゴール右から一閃。豪快にネットを揺らした。後半開始から途中出場で決勝ゴールだ。「今日の最初のワンタッチから調子がいいと分かっていた。今日は絶対に点を決めると思っていた」。まさに思い通りの一発だった。

 直前には同じ角度から決定的なシュートを放ったが、GKに阻まれていた。「1本目のシュートで甘いコースを外していたので、ファーサイドを狙ってカーブをかけるイメージで、と」。夢中になりながら、一瞬だけ冷静になった。終了間際にしでかした大仕事。それから、5分後――。歓喜の瞬間は訪れた。

「みんな、うれし泣きでした。それくらいうれしかったです。決められて本当に良かったです」。涙の輪の中で一人、殊勲の2年生は胸をなで下ろした。

決め手を欠いた前半、本田監督が試合後に振り返った「私の采配ミス」

“当落線の男”だった。熊澤は言う。「自分は(交代枠の)2、3番手の立場。プリンスリーグでは結果を出せなくて……」。メンバー落ちも覚悟したが、滑り込みで背番号14を勝ち取った。「メンバーに入ったからには、なんとしても結果を出そうと思っていた。結果を出すというのが自分のテーマだった」。これ以上ない「結果」を残し、一躍、日本一の主役となった。

 名将の“采配ミス”も挽回した。試合は前半から終始押しながら、勝負所で大胆に攻めることができず、決め手を欠く展開が続いていた。本田監督は「今日は私の采配ミスです」と言った。

「『失点ゼロで行け』と言い過ぎてしまった。もっと気楽に受け止めてほしかったんだけど……。『マークのいないサッカーはない』と言って大会に入ったけど、なかには『マークをしないと次、出られないんじゃないか』と思っている子もいたと思う」

 大一番で指揮官の言葉を忠実に実行しようとするあまり、積極性を欠いていた。そこで輝いたのが、途中出場の2年生だ。

 本田監督が「我がとても強いヤツで。2年生なのに3年生と対等に扱えみたいな顔をしているんです」と笑いながら称賛する背番号14は、出場機会を与えられると、見事に躍動した。

“当落線の男”から“スーパーサブ”に成長「途中出場だと決める確率高いので」

「みんな、優勝したいという思いが空回りしていたのかもしれない。でも、自分は途中出場すると、ゴール決める確率が高いので」

 そう言って、熊澤は胸を張った。今大会は準々決勝の長崎総科大附戦でも途中出場でゴールを決めており、“当落線の男”だった背番号14は“スーパーサブ”として、日本一の原動力となってみせた。

「いい形でゴールを決めることができた。次の試合は何もできなくて反省点が出た分、決勝ではいいモノを出そうと思っていた。決められて良かったです」

 チームにとって、インターハイは実に9年ぶり2度目の優勝。昨年は決勝で市立船橋に敗れた雪辱を果たし、欲しかった夏の王者の称号を手にした。

 最大目標は選手権のタイトル。この日本一を通過点として、熊澤もさらなる「結果」を求め、進化を目指していく。