■安倍総理「完全に信頼している」

 「戦後史に名を残す岸田外務大臣の後を引き継ぐことになりましたので、心して全力で仕事をしてまいりたいと思っております。核やミサイルの問題で安全保障をめぐる環境が大きく変わっている。これまで以上に日米同盟をしっかりと強化してまいりたい」

 3日に安倍首相が行った内閣改造で、野田聖子氏の起用とともに注目を集めているのが、河野太郎氏の外相起用だ。歯に衣着せぬ発言や、ブログ「ごまめの歯ぎしり」が度々物議を醸し、"自民党の異端児"とも呼ばれる河野氏。

 政治的主張として挙げられるのが、"行革の鬼"として、行政の様々な無駄をなくすこと、そして原発を段階的に廃止すべきという立場、自衛隊のイラク派遣の批判、選択的夫婦別姓の肯定など。

 "違うことは違う"と、時に党や政権に対しても批判的な発言をしてきた。安倍政権の支持率急落の一因となった南スーダンPKO日報問題についても「それ(日報)は絶対どっかにあるからきちんと探せっていう指示をして、探した結果やっぱり電子で全部残ってましたと。ほら見ろと」と、苦言を呈している。

 今回の起用について、安倍総理は会見で「河野大臣に対して完全に信頼している」とコメント、「原子力政策の問題につきましても、先に入閣した際にも国会で答弁しているとおり、内閣の一員としては内閣の方針に従っていくということを明確に示されています」「よく歴史認識について河野大臣について指摘されることがありますが、内閣の一員としてまさに七十年談話において日本のこの安倍政権、そして閣議決定をしておりますから、私たちの立場は明確となっており、河野大臣も完全に一致しているところであります」と強調している。

■英語は永田町で一番堪能、自民党"本流"との自負も

 神奈川県出身の河野氏は、父は元衆議院議員で、外相や官房長官などを歴任、慰安婦への旧日本軍の間接的関与を認める「河野談話」を出した河野洋平氏、祖父は旧ソ連との国交回復に尽力した河野一郎氏という、政治の名門に生まれた。

 衆議院議員に初当選したのは1996年で、洋平氏と同時に国会議員をしていた時期もある。時には政治的に食い違い、議会で激しい親子対決を演じたこともある。2002年には肝硬変が進んでいた洋平氏に生体肝移植をし話題を呼び、2015年には第3次安倍改造内閣で国家公安委員長として初入閣を果たした。

 3日放送のAbemaTV『AbemaPrime』で、テレビ朝日政治部の細川隆三デスクは、河野氏について「国際通。ジョージダウン大学の出身で、英語は永田町で一番堪能だと言われている」と話す。

 また、湘南ベルマーレの取締役会長を務めたり、日本メガネドレッサー賞の政治部門を受賞するなどの一面もあり、授賞式の壇上では「第一回のこの賞を当時の(安倍首相の父である)安倍晋太郎自民党幹事長が受賞された。この賞は安倍晋三にも(自身の父である)河野洋平にも取ることができない、河野太郎だから取れた賞でございまして、本当にありがとうございました」とユーモアを込めたコメントをしている。

 河野氏と親しい山本一太参議院議員はブログで「皆さんご存知ですか?東京都と神奈川県の迷惑防止条例(?)により、河野太郎氏が『カラオケで2曲以上歌う』ことを禁止されていることを(笑)音符と歌が全く合わないことに加えて(これはこれでスゴイが)、並外れた声量を持っているからだ」と綴り、岩屋毅衆議院議員もHPで「いまどきこんな音程がはずれた唄を聴いたことがない。これほど外れた音感の持ち主は日本中を探し回ったとて見つからないのではないか」と指摘。よほどの"歌唱力"の持ち主のようだ。

 河野氏と卓球をしたことがあるというジャーナリストの津田大介氏は「基本的にはすごく真面目。卓球もすごくお上手。何に対しても手を抜かない人。IT議員でもあり、相当早くからブログをやっていて、自民党の悪口を舌鋒鋭く書いてきた」と話す。津田氏が、ある自民党議員に「なぜ河野さんはあそこまで書いているのに自民党を出ないんですか?」と尋ねると、「(名家である河野家は)自民党を作ってきた本流の流れ。その直系だという自負があるので、なんで自分から出ないといけないんだ、ということになるのではないか」という答えが返ってきたという。

■"河野談話は俺じゃない!" ネットでネタにされることも… 

 河野氏の外務大臣就任について、韓国メディアは父・洋平氏の「河野談話」に関連付けて報道。康京和(カン・ギョンファ)韓国外相も「河野外務大臣の就任を祝い、日本と未来志向的で成熟した協力関係を構築するため力を合わせることを希望している」と歓迎の姿勢をアピールした。

 一方の太郎氏自身は、2015年10月時点で河野談話について「個人としての見解を申し上げるのは適当ではない。政府として、村山談話・河野談話を継承すると総理が申されているので、その通りであって付け加えることも引くこともない」と自身のスタンスを示している。

 また、安保法制が議論されていた2015年には、父・洋平氏が、村山富市元首相と共に安倍首相に苦言を呈している。

 津田大介氏は、河野氏が父・洋平氏の業績や政治的立ち位置とともに論じられることについて「どちらかというとお父様とは政治的スタンスが違うんだけど、こういう風に注目されると『親がこうだからこうだろう』となる。河野談話を出した(政治家の)息子を外務大臣に入れてどうするんだ、『またアジアに土下座外交するのか』と叩かれているのでかわいそうだ」と話す。

 細川氏デスクは安倍総理の胸中について「安倍首相も河野氏も二世、三世議員。共通するのは、親父は親父、俺は俺。だからそこは別に考えているはず」と推測した。

 安倍総理に対し"耳の痛い話も言ってくれる"野田聖子氏と河野氏の起用。安倍内閣の支持率浮上につながっていくのだろうか。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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