米本土を射程に入れるICBMの発射実験を繰り返すなど相変わらず強気の北朝鮮。最も恐れているのは米国の武力攻撃だが、「できない」と自信たっぷりの様子だ。中国についても「何もしない」と踏んでいるかに見える。写真は北朝鮮。

写真拡大

2017年8月4日、米国の度重なる警告にもかかわらず、米本土を射程に入れる大陸間弾道弾(ICBM)の発射実験を繰り返すなど相変わらず強気の北朝鮮。最も恐れているのは米国の武力攻撃だが、「できない」と自信たっぷりの様子だ。中国についても「何もしない」と踏んでいるかに見える。

北朝鮮が強気なのは韓国を「人質」に取っているためだ。北朝鮮は軍事境界線沿いに数百門の長距離砲を展開。約1000万人が住む首都ソウル中心部までの距離は約40キロで、砲門が一斉に開けば1時間に数千発の砲弾が降り注ぐ。短距離ミサイルも韓国全土を狙っている。

米安全保障筋によると、米国防省は米国の攻撃に対する北朝鮮の報復によって、韓国市民多数が殺傷されるだけでなく、ソウル周辺に在住する米国人約3万人と駐在米軍約2万9000人の多くが犠牲になると予測。北朝鮮への軍事攻撃に直ちに踏み切るのは困難と判断しているという。

中国も「米国の北朝鮮攻撃はない」と判断しているとされ、米ブルームバーグ通信は「多数の死者を出すことが避けられない北朝鮮との戦争にトランプ政権が踏み切ることはないと中国はみている」と伝えた。この中では中国の専門家の「軍事オプションはリスクが過度に高くなるため、実際に採用されることはないだろう。中国への圧力を強めるための材料だ。現実的な選択肢というより脅迫の類いだ」との見方を紹介している。

聯合ニュースによると、今月21日から始まる米韓合同軍事演習「乙支フリーダムガーディアン」(UFG)に向け、米国は原子力空母「ロナルド・レーガン」と「カール・ビンソン」の2隻を朝鮮半島周辺に派遣する。これに北朝鮮が強く反発するのは必至で軍事的緊張がさらに高まりそうだが、偶発的な衝突は別にして春先の米韓合同軍事演習時と同様、「開戦」となる可能性は低そうだ。

一方、北朝鮮経済を支える中国は、これ以上の制裁強化に極めて消極的だ。相次ぐICBM発射を受け、日本が7月末、北朝鮮への独自制裁として、新たに中国企業2団体を含む計5団体と9個人を資産凍結の対象とする追加措置を打ち出すと、中国外交部の陸慷報道官は「国連安保理の枠外で単独制裁を行うことに断固反対する」として撤回を要求した上で、「制裁を実行すれば中日関係に重大な損害をもたらすことになり、その責任は日本側が負わなければならない」と強い不快感を表明した。

米国の武力攻撃で北朝鮮の現政権が崩壊することは、中国にとって望まないシナリオで、中国は米朝双方をけん制しながら、2カ国間の対話を促す従来路線を踏襲するとみられる。朝鮮半島情勢は打開の決め手を欠いたまま、核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮のペースで当面、推移しそうな雲行きだ。(編集/日向)