AMDが2017年8月14日にマイクロアーキテクチャ「Vega」を採用するグラフィックボード「Radeon RX Vega」シリーズを発売します。AMDとしては2年ぶりの高性能グラフィックボードということでPCゲーマーが首を長くして待っていたRX Vegaですが、仮想通貨を掘るマイナーたちもRX Vegaを虎視眈々と狙っており、争奪戦が繰り広げられる可能性が指摘されています。

RUMOR: AMD Radeon RX Vega 64 to be great for mining | VideoCardz.com

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VideoCardzが発売間近のRX Vegaの性能に関する情報を得ました。それによると、RX VegaのGPUを使ったマイニングスピードは「70〜100MH/s」というとてつもなく良好なものだとのこと。



マイニングの速度は1秒間のハッシュ値である「H/s」という単位で表されており、H/sの値が高いほど仮想通貨を発掘する速度が高く多くの通貨をゲットできるため、仮想通貨のマイナーにとってH/sの値は極めて重要な指標になっています。

代表的な仮想通貨Ethereum(イーサリアム)のマイニング速度を比較すると以下の通り。NVIDIAのハイエンドグラフィックボード「GeForce GTX 1080Ti」の速度は31.3MH/sで、この値が現在市場に出回るコンシューマー向けグラフィックボードの最高値となっています。つまり、VideoCardzが得たリーク情報が正しければ、RX Vega 64はGTX 1080 Tiの2倍以上という強力なマイニング用グラフィックボードになるというわけです。



仮想通貨のマイニングに必要なイニシャルコストとは、グラフィックボードを含めたシステムの価格です。RX Vega 64の価格は499ドル(約5万5000円)であり、GTX 1080 Tiの699ドル(約7万7000円)を下回ることから非常に有利です。もっとも、マイニングでは電気料金というランニングコストはイニシャルコスト以上になり得るため、TDPが295Wと高めのRX Vega 64の実際の消費電力がどの程度になるのかも重要な要素ですが、仮に70MH/s以上の爆速マイニングが可能ならば電力コストは障害にならない可能性が高そうです。

すでに販売されていたAMDのミドルレンジクラスのグラフィックボードRadeon RX480/RX470やRX580/570は、イーサリアムの価格上昇局面でマイニングにおけるコストパフォーマンスが高いことが判明すると中国のマイナーを中心に買いあさられ、市場からグラフィックボードが消え去るという現象が世界的規模で起こりました。マイニングバブルの到来で、グラフィックボードがPCゲーマーの手に渡らないという状況に陥ったというわけです。



なお、AMDやNVIDIAはマイニングバブルによってマイナーがグラフィックボードを買い占めてしまい在庫切れを起こしている状況に対応するために、外部出力端子のないマイニング専用グラフィックボードなどマイニング向けの製品をリリースしましたが、マイニングで酷使されることを想定してゲーム向けグラフィックボードよりも保証期間が短く設置されていることもあり、マイナーがゲーム向けグラフィックボードを買いあさるという状況は改善されませんでした。



AMDは在庫切れを防ぐためにある程度まとまった量のRX Vega 64/56を生産するためにRX Vegaシリーズの発表を遅らせたというウワサがささやかれていますが、RX Vegaシリーズがリーク情報のように高いマイニング性能を持っている場合は、PCゲーマーはマイナーとのグラフィックボードの争奪戦を余儀なくされそうです。