日ノ本学園、2年ぶり5回目の日本一! 「サボり上手」の2年生FW澁川が激走ヘッド

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耐え忍ぶ展開のなかで、「勝つために相手の嫌がる方をやろうと思った」

 迫力のあるランニングヘッドで日本一の栄光をつかんだ。

 全国高校総体(インターハイ)は4日、ユアテックスタジアム仙台で女子サッカー決勝が行われ、日ノ本学園(兵庫)が1-0で藤枝順心高校(静岡)を下して2年ぶり5回目の優勝を飾った。

 日ノ本学園にとっては、苦しいゲームだった。

 ここまでの3試合を全て大量得点(4点、4点、5点)で勝っている藤枝順心が攻守に積極性を見せ、日ノ本学園は耐え忍ぶ展開となった。田邊友恵監督は「もう少しパスをつなぎたかったけど、つなぎに行ったら、相手のプレスにやられる。それなら、勝つために相手が嫌がる方をやろうと思った」と、前線にエースの宮本華乃(3年)を残してロングパスからカウンターと押し上げを狙うスタイルを貫いた理由を明かした。

 宮本にボールが入ればチャンスだが、いかんせん回数は少ない。前半のシュートは、1本。堅守で無失点を保つことはもちろん、少ないチャンスにどれだけパワーをかけてゴールに結びつけるかが勝利の鍵だった。

監督も同僚も証言する「サボる」の真相

 結果を出したのは、2年生FWの澁川鈴菜だった。

 宮本が右サイドへフリーで抜け出して1対1を仕掛ける素振りで時間を作る間に、前線へ。宮本のバックパスを受けた伊藤美玖(3年)がクロスを上げると「キックの精度が良い選手なので、来ると思った」とそのままゴール前へ走り込み、豪快なヘディングシュートを決めた。苦境を救う一発は、日本一を決める決勝点になった。

 勝利の立役者について話を聞くと、田邊監督は「真面目な子が多いんですけど、あの子は、サッカー的に上手くサボります」と苦笑いを浮かべた。エースの宮本に聞いても「サボりますね」という証言が返ってきた。

 運動量が課題という澁川にも自覚はある。「動かないでいて、相手が離れてフリーになることもある」と積極的にマークを振り切るだけでなく、動かないプレーも狙っていることを明かした。

「二冠」に照準…地元開催の選手権優勝狙う

 ただ、決勝戦は、味方が跳ね返したセカンドボールのキープを狙っていたものの、なかなか収めることができず、田邊監督からハーフタイムに「もっと体を張れ」と檄を飛ばされていた。

 また、試合前にも「味方の動きを見てから走っているプレーが多い。パスが絶対に出て来ると信じて先に走れ」とチーム全体で指摘されていたこともあり、後半は気合いの走りで勝利に貢献。「ゴールシーンは、頑張って走りました。あれは、頑張りました。この試合は信じて走れと言われたので、信じて走りました」と激走を強調した。

 厳しい試合で価値ある一発を決めて日本一に輝いたが、もう一つ、獲りたいタイトルがある。「(冬の)選手権は、兵庫開催。地元でも優勝できるようにチームで気持ちを一つにして頑張りたいです」と澁川は二冠に照準を合わせた。より走り、よりタフになった姿が、冬には見られるかもしれない。

【了】

平野貴也●文 text by Takaya Hirano

平野貴也●写真 photo by Takaya Hirano