トランプ政権、大学進学での白人優遇措置を検討か

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ドナルド・トランプ大統領率いる米政権下の司法省で、新たな戦略が打ち出されたようだ。米紙ニューヨークタイムズが入手した文書によれば、同省は「大学の入学審査における人種差別に関する調査と予想し得る訴訟」を担当する弁護士を探しているという。

つまり、トランプは少数派グループの不利益を是正するためのアファーマティブ・アクション(差別是正措置)を撤廃することに決めたのかもしれない。

差別是正措置にトランプ政権が狙いを定めても、驚くことではない。この措置については長年にわたり、多くの人たちが差別の基準を公平に定めるべきだとして撤廃を求めてきた。言い換えれば、「白人が優先される状況が社会システムの中に根付いていれば問題はない」という考え方が示されてきたということだ。

米国で大学への入学に大きな影響を及ぼすのは、進学する生徒の家庭の経済状況だ。ある調査によれば、エリート大学12校の学生のうち、世帯所得の下位50%に入る世帯の子供が占める割合が13.5%であった一方、上位1%に入る家庭の子供たちは、学生全体の15%近くを占めている。

だが、データが示すところによれば、恐らく白人の学生たちはトランプやジェフ・セッションズ司法長官たちが考えるほど、大学への入学において不利益を被っていない。(彼らが)問題視しているのは、大学の学生に占める白人の割合が、人口全体に占める白人の割合と一致していないということだ(ただし、他の人種についてこの点が問題だと指摘されたことはない)。

割合が異なるのは事実だ。米教育省の全米教育統計センター(NCES)によると、大学生に占める白人の割合は1976年の84%から2014年には58% に低下した。この間、米国の人口に占める白人の割合は、84%から76.9%に減っている。

一方、同じ期間に大学の学生数に占めるその他の人種の割合は、次のように変化した(かっこ内は全人口に占める割合)。

・黒人: 10%→ 14% (11.7%→ 13.3%)
・ヒスパニック系: 4%→ 17% (6.4%→ 17.8%)
・アジア・太平洋諸島系: 2%→ 7% (1.5%→ 5.9%)
・米先住民・アラスカ先住民: 0.7%→ 0.8% (0.6%→ 1.3%)

この統計から見れば、白人が差別されていることは明らかだ── ということだろうか?

だが、人口に占める特定の人種の割合が大学の新入生に占める割合と同じである必要はあるのだろうか?そうではないはずだ。そうだと主張する人は、この統計結果を正しく理解していない。

米国の白人の出生率は低下している。そして、少数民族の子供の数は増加している。大学に入学する学生の人種構成を全人口における各人種の比率と比較しても、正確な状況を把握することはできない。大学に入学する年齢(18〜24歳)の人口が占める割合は、人種によって異なるのだ。

NCESの統計には、より明確にこれらに関する状況を示すものがある。それぞれの人種の18〜24歳の人口のうち、学位取得が可能な中等教育後の教育機関に入学した人の割合を示すものだ。1976年には、白人の27.6%、黒人の22.5%、ヒスパニック系の20%が進学していた(その他の人種はデータなし)。

入手可能な最新のデータである2015年の統計について見てみると、割合は以下のように変化している。

・白人: 41.8%
・黒人: 34.9%
・ヒスパニック系: 36.6%
・アジア系: 62.6%
・混血: 38.3%

差別是正措置があっても、進学者の割合が白人より大きいのはアジア系のみだ。さらに、進学する白人の割合は40年前より増加している。

問題はトランプであれ保守派の誰であれ、こうしたデータを理解できないという点にあるのだろうか。それとも、彼らの関心があらゆる面での白人支配を維持することと、高等教育への進学はその実現のためであると考えているという点にあるのだろうか。トランプ政権のその他の事柄に対するこれまでの言動から見て、問題は後者にあると考えられる。