夫が泣いた日、『産後クライシス』がやってきた。――夫婦愛の破壊と再生その6【第44話マンガ連載:鈴木さんちの子育て通信】

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皆さんこんにちは、Chaccoです!

漫画で読む:「夫婦愛の破壊と再生」編

新生児育児のあまりの壮絶さに、夫婦ともに限界をとっくに超えていたある日。

「ちゃんとやってよ!母親なんだから!」

旦那の言葉に緊張の糸がプツンと切れてしまった私は、とうとう言ってしまいました。

「これ見よがしに不機嫌な顔してワタシに文句つけてさぁっ、
一緒に居るとプレシャーで息が詰まるんだよ!
もうヤダ!1人になりたい!!」

一瞬感じたのは『遂に言ってやった…!』という達成感。

憑き物が少し取れてスッキリした気分になったワタシが顔をあげると、
そこには、泣いているムスコを抱いたまま放心して固まっている旦那がいました。

―――ヤバい…コレは言い過ぎた…!―――

そんな後悔をした矢先、旦那の震える声がこう言ったのです。


「じゃあ…なに?…俺が頑張ってきたからChaccoを苦しめたの…?
え…?俺は何もしない方がよかったの…?

俺は家族のこと守んなきゃって…出産の時も、入院中も、退院した後も死に物狂いで
家事と育児と家のこと…頑張ってやってきたのにさ…

もうそれがプレッシャーで嫌だって言うならさぁ…そんなに俺と一緒にいるのが嫌ならさぁ…
もうそれ離婚するしかなくない…っ!?」


予想だにしなかった言葉に、ワタシは一瞬、ヒュッと血の気が引きました。

『離婚…!!?は!?何でそんな大ごとに!?』

しかし、旦那の赤くなった目からはポタポタと涙がーー。


この時、やっと、初めて、この人がどれだけ我慢していたか、どれだけ限界だったかがワタシにも目に見えて分かりました。

『産後クライシス』は夫にも重くのしかかる

今までも夫婦の間で『離婚』の2文字が出た時はあります。

犬も喰わないような、しょうもない言い争いのなかで
「もうコレを聞き入れてくれなかったら離婚も考えてるから!!」
…と、どちらともなく口が滑って言ってしまったものばかりでした。

でも今回はソレとは明らかに違う重みと深刻さを持っていたのです。

旦那がこんな弱った姿を見せることなんて、今までありませんでした。


産後1ヵ月以上経ち、毎日の育児疲れで産後うつ状態がピークに達していたワタシ。

そして、そんなワタシを心配し、仕事以外の全ての時間を家事・育児のサポートにあて、寝不足、ストレス、蓄積疲労でボロボロになっていた旦那。

余裕ゼロのワタシたちでしたが、話し合っているうちに次第に冷静さを取り戻していきました。


ワタシ「でも…きんちゃんと離れるのは…嫌だな…絶対に…それは嫌だ…」

旦那「うん…俺もきんちゃんと…Chaccoとも離れたくはない…」

ワタシ「ワタシもお父さん居なくなったらマジでやってけないよ…」


でも、この中途半端な状態でいったん仲直りしても、育児してたら絶対また同じ事の繰り返しになるのは目に見えている。

うやむやにすべきではないと思ったワタシたちは、ムスコをどうにか寝かしつけ、付き合っていたころからやっていた『ケンカが膠着した時にイチバン効果的な仲直り方法』をやってみることにしました。

夫の悩み、妻の悩み


お茶を飲みながらA4のコピー用紙に向かい、まずは旦那が黙々と紙にペンを走らせます。


『・Chaccoがいつ限界になるか分からないから安心して仕事に行けない。
・俺の仕事は母親の育児より楽だと思われてる。
・俺がしっかりしないと今のChaccoじゃ家のこと守れるのか不安。
・家事・育児を頑張っても文句を言われる。
・1人でゆっくり休める時間がほとんどないし、まとまった時間眠れない。』

気づいたのが『大半の悩みがワタシと同じ』ということです。

ずっと『ワタシばっかりこんなに辛い』と孤独に感じていた思いは、そっくりそのまま旦那も思っていたのです。

旦那はワタシに八つ当たりはしなかった。きっと外でも辛いと言えないでいたんだろう。
仕事と家事と育児に必死だった旦那の苦労を考えずに、自分より楽だと決めつけて妬んでしまってた。
ワタシもずっと旦那に『頑張ってるね、ありがとう』と言われたかったけどソレは旦那も同じだったんだーー。


箇条書きにした文章を見ると言葉で言われる時の不快感が無く、素直に旦那の気持ちが理解できたし、旦那も自分の気持ちが整理されて互い冷静さを取り戻していました。


ワタシ「お父さんの気持ち…やっとわかったよ…今までゴメンね」

やっと素直に、真剣に、ワタシは旦那に謝ると

旦那「……うん……うん……こっちこそゴメン…ありがとう…」

と、ホッと安心していつもの柔らかい表情になった旦那がそこに居ました。


ワタシ「あのね、ワタシもお父さんにおんぶに抱っこで全部の家事・育児を押しつける気はさらさらないんだ。
本当は今すぐにでもチャキチャキ働くキチンとしたお母さんになって早くお父さんに楽させたいなって思ってる。
でも、今の自分にはソレがすぐには出来なくて、出来ない事に罪悪感がつのって行って、焦ってる時にお父さんから育児のこと注意されると図星つかれてカーっとなっちゃんだ…。」

旦那「そっか…そんな風に思ってくれてたなんて知らなかった…てっきり俺がもっと無理すればいいって考えてるんじゃないかと疑ってたよ…」

ワタシ「それは絶対ないから!!この先、少しづつきんちゃんも眠ってくれる時間が増えてきたり、赤ちゃんとの生活にも慣れてきたら、家事も育児も一日に出来る量を増やしていくつもりだよ!
だから…今はワタシが頼りなくて心配かけるけど…もう少し待ってもらうことはできないかな…」

旦那「いやいや、無理してまでそんな頑張らなくていいよ。俺もモチロンサポートする。俺が一人でしょい込まなくていいんだってわかっただけで…ぶっちゃけもう十分安心したよ…」

ワタシ「よかった…じゃあこの紙は忘れないように引き出しにしまっておくね」

ムスコ「ふ…ふぁ―――ん!!」

旦那「あ!俺が立ち揺らしやるよっ」
ワタシ「じゃあワタシはミルク作るね!」


この喧嘩をきっかけに、お互いの気持ちを全て吐き出したことで、初めてワタシたちは『子どもを協力して育てる同志』になれました。

とはいえ、既に気力・体力共にとっくに限界を超えていたことが事の発端であり、不慣れな育児の辛さは変わらないまま……。

お互いに少しでも楽になる方法を模索するため、ワタシたちは次のステップに向かうことに決めました。

つづく